「いまの業務は自分に合っていない」「自分のやりたい仕事ができない」、若手に限らず、多くのビジネスパーソンから、そんな悩みをよく聞きます。

今日は、私が実際にしてしまったものを中心に、「自分がやりたい仕事」を実現していく上で陥りがちな「しなくていい努力」のいくつかを紹介します。

  • 「やりたい仕事ができない」と悩んだことはありますか?(写真:マイナビニュース)

    「やりたい仕事ができない」と悩んだことはありますか?

「お客様として好きなこと」では仕事にならない

「食べることが好き」「旅行が好き」という理由で仕事を探す人がいます。しかし、食べる、旅行する、という「お客様の行為」をそのまま仕事にするのは難しいと思います。

食べたり、旅行したりするのは、価値をもらう(インプット)行為です。仕事は、価値を提供(アウトプット)し、お金をもらうこと。ですから、価値をもらいながら(インプットしながら)、お金をもらう(インプットする)ことはできないのです。

グルメ番組や旅行番組のように、食事風景、旅行風景が、それを見る人にとって価値がある芸能人なら可能かもしれませんが。「自分のやりたいこと」がはたしてきちんとした価値のアウトプットにつながるのか、まずはここの確認が重要です。

業種や職種で仕事を探す

「不動産の仕事がしたい」「医薬業界で働きたい」といった業種や、「商品を企画したい」「人事の仕事がしたい」といった職種から仕事を探している人は多いと思います。

しかし、不動産会社に行っても、情報システム部に配属されるとIT業務の毎日ですし、商品企画の部署に入っても、工場や研究所とのタフな交渉といった「営業」に近い業務も含まれていたりします。

もちろん、中には、「大好きな不動産に少しでも関わりがあるのなら、どんな仕事でも大丈夫!」という人もいます。しかし、自分に合う仕事を単純に「業種」「職種」で考えているならば、その点を含めて、もう少し掘り下げてみることをお勧めします。

最初は必ず「不快」だ

これは、知人から頂いた金言です。ギターの演奏でもサッカーでもスキーでも、そして仕事でも、いきなりはうまくできず最初は必ず「不快」を感じます。

そしてこの不快な時期を乗り越えたあとに、「自分に合う」「自分には合わない」を判定できる日が初めてきます。それなのに、最初の不快な時期に、すぐに自分に合っていないと決めつけてしまう人が実はすごく多いのです。

自分が一番「自分」をわからない

私は営業としてキャリアをスタートしました。白状しますと、当時、営業はあまり好きではありませんでした。本当はマーケティングがやりたくて、入社したのです。そして、28歳の時、運よく、行きたかったマーケティングの部署に異動することができました! しかし、その第一希望の部署で大きな挫折をして30歳で休職することになるのです。

復職後、34歳のとき、私は人事部に異動しました。まさに青天のへきれき。「人事部」など、私はそれまでの人生で一度も考えたことがありません。これは、会社(上司)が決めた異動でした。その結果……、人材育成の仕事が私のライフワークになり、私は40歳で独立して、企業研修講師になるのです!

私が考えていた(思い込んでいた)「自分に合った仕事」は、まったく自分には合わずに、他人(上司)が選んでくれた仕事の方が、結果的には、自分にジャストフィットしたのです。

人間の目は、日頃、自分をまったく見ていません。自分の適性は、案外自分が一番わかっていないのかもしれないのです。

執筆者プロフィール

堀田孝治(ほった・こうじ)
クリエイトJ株式会社代表取締役

1989年に味の素に入社。営業、マーケティング、"休職"、総務、人事、広告部マネージャーを経て2007年に企業研修講師として独立。2年目には170日/年の研修を行う人気講師になる。休職にまで至った20代の自分のような「しなくていい努力」を、これからの若手ビジネスパーソンがしないように、「7つの行動原則」を考案。オリジナルメソッドである「7つの行動原則」研修は大手企業を中心に多くの企業で採用され、現在ではのべ1万人以上が受講している。著書『入社3年目の心得』(総合法令出版)、『自分を仕事のプロフェッショナルに磨き上げる7つの行動原則』(総合法令出版)他。