俳優の妻夫木聡が主演を務める日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系 毎週日曜21:00~)が10月12日にスタートする。ドラマで描かれるのは、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語だ。同作のプロデューサーを務める加藤章一氏に、主演の妻夫木をはじめとするキャストの起用理由や魅力、ドラマの見どころなど話を聞いた。

  • 『ザ・ロイヤルファミリー』場面写真

    『ザ・ロイヤルファミリー』場面写真

人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー

山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真氏の小説『ザ・ロイヤルファミリー』(新潮文庫刊)を原作とするこのドラマは、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大なストーリー。大手税理士法人に勤める税理士の主人公・栗須栄治を妻夫木が演じる。

ドラマ化について、原作を読んで「非常に素敵だなと思った」と加藤氏。本作の「継承」というテーマは、サラブレッドのみならず人間にも当てはまるものだと感じたという。

「原作が出版されてすぐに、知り合いの方から『すごく面白い本だから』と渡されて読み、ストーリーとしても題材としても面白いなと感じました。また、『継承』がテーマになっていて、サラブレッドは走るために何代も継承していくけど、人間もそうだよなという思いがあって、それが素敵だなと。たとえば仕事でも、後輩に何かを教えていったり、次に繋げていったりすることが大事。人と人を繋げていくというのは大事だな、ぜひ映像化したいなと思いました」

妻夫木聡の座長としての姿も称賛

妻夫木演じる栗須は、あることをきっかけに税理士としての挫折を味わい、希望を見出せなくなってしまった人物。そんな中、佐藤浩市が演じる馬主の山王耕造と出会い、止まってしまった人生が大きく動き出す。加藤氏は、これまで同じ作品に携わったことはなかったが、そんな栗須役に妻夫木の芝居が合うのではと感じたという。

「栗須は、原作だとドラマよりもストーリーテラー的な役割ですが、ドラマではいろいろなバランスを取らなければいけない役で、かつ(ストーリーを)引っ張っていかなければいけない難しい役ですが、妻夫木さんのお芝居が合うんじゃないかと思いました。また、たまたま過去の作品で関りがあって妻夫木さんと仲が良い早見先生からも『妻夫木さんみたいな方はいかがですか』と言っていただけて。自分の思いと合致したので良かったです」

実際に撮影がスタートし、妻夫木の演技に「想像していたよりもいいものを出していただけて『すごいな』と思いました」と加藤氏。また、座長としての姿にも感じ入ることがあったという。

「クランクインの時に台本が半分以上できていて、妻夫木さんとも相談しながら進めていくのですが、妻夫木さんは展開がほとんど頭に入っているんです。俳優だけど、ストーリーの流れや各話のセリフの流れなど、もっと広い目で作品全体を見ていて、良いアドバイスをいただくこともあります。自分の芝居だけを考えるのではなく、スタッフ、キャストをまとめることにも慣れていて、それは他の役者さんよりもすごいなと思いました」

妻夫木聡と佐藤浩市の“兄弟っぽい”関係性が役ともマッチ

そんな妻夫木演じる栗須にとって大きな出会いとなるのが、佐藤が演じる典型的なワンマン社長・山王耕造だ。山王について、加藤氏は「昭和っぽいおじさんで、今はなかなかいないような役」と説明。ワンマンである一方、情に深く、人とのつながりも大切にする魅力的な人物だ。

「佐藤さんはスマートでかっこいいし、昭和のおじさんという感じの方ではないんですが、逆に説得力があるというか……山王は『絶対一緒にいたくないな』と思う人だけど、すごく魅力もある人。そういう部分を表現するうえで佐藤さんがぴったりだと考えました。また、妻夫木さんと佐藤さんはもともと仲が良いんです。年は親子ぐらい離れているけど、親子というより兄弟っぽいんですよね。その感じが劇中の山王と栗須の関係にいい意味で作用していて。2人が並んで調教を見ているシーンでは、2人が何気ない会話をしている時に泣きそうになってしまって。『思った通りだ!』と、すごくうれしかったですね」

目黒蓮の役は「のちのち物語を左右する大事な役」

さらに、公式サイトの相関図で役名が伏せられており、「物語の鍵を握る重要な人物」とだけ記されている目黒蓮の役柄については、「非常に繊細な役」だと加藤氏。これまでにも目黒とは映画『わたしの幸せな結婚』や連続ドラマ『トリリオンゲーム』などで組んでおり、今回も目黒の顔が浮かんだという。

「非常に繊細な役であり、のちのち物語を左右する大事な役。最初に『目黒くんにやってほしい』という考えが浮かんで、かなり早い段階にオファーしました。目黒くんが牧場で馬に触れるシーンがあるのですが、見ていて涙が出てきちゃって……。セリフがないシーンですが、もう想像通りというか、想像以上の絵柄が非常に良くて。本当に演じていただいて良かったなと思っています」

本作は競馬の世界が舞台で、妻夫木をはじめキャスト陣が馬と触れ合うシーンも多い。加藤氏は「妻夫木さんと佐藤さんは、時代劇も含めて馬に乗るお芝居も多いので、慣れられているんですよね」と明かし、「佐藤さんは、機嫌が悪い馬でも近づいていって自分で慣らし、怖がらずにやられているのですごいなと思いました。妻夫木さんも慣れていて、なかなか上手く乗れない時でも自分で馬を洗ったら心を開いてくれたそうで。そのあたりはお分かりになられているので、苦労はなかったです」とエピソードを話す。

「継承」というテーマのもと、競馬の世界を描く本作。迫力あるレースシーンはもちろんだが、ほかにも日曜劇場ならではのさまざまな見どころが用意されていると加藤氏は言う。

「大枠ではエキサイティングな競馬のシーンなど熱くなるようなシーンがメインですが、家族の温かさや仲間との絆などの部分も楽しんで見ていただきたいですね。日曜劇場はいろいろな層に見てもらえる枠で、皆さんが楽しめる要素がたくさん入っているので、日曜の夜、ぜひ楽しんでみていただきたいなと思います」

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