大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は15日、中央線延伸区間(コスモスクエア~夢洲間)の1月19日開業に先立ち、ひと足早く同区間の列車に乗車できる試乗会を開催した。中央線の車両400系を使用し、森ノ宮~夢洲間を往復。夢洲駅で自由見学の時間が設けられた。
1月15日の試乗会は全3回行われ、報道関係者らは第1回の試乗会に同乗した。400系の専用列車は森ノ宮駅1番線から10時20分に発車し、中央線の地下区間・地上区間を走行して大阪港駅へ。発車後、車内放送で、「これから海底トンネルへ進入します。これまで地下鉄の最高速度は70km/hでしたが、大阪港駅~コスモスクエア駅~夢洲駅は他の区間と比べて距離があるため、最高速度が95km/hに変更され、実際には90km/h前後で走行しています」と説明があった。コスモスクエア駅で一旦停車するも、あまり間を置かずに発車し、新規開業区間に入った。
大阪・関西万博の会場最寄り駅として開業する夢洲駅のホームは1面2線で、長さ160m(駅利用者の通路長は約150m)、ホーム幅10m。400系の専用列車が2番線に到着すると、数分後に1番線から400系の回送列車がコスモスクエア方面へ発車した。夢洲駅での自由見学は約30分間とされ、参加者たちはホーム階およびコンコース階のデザインや各設備など見学していた。
ホーム階の壁は黒色塗装とし、中央線の路線カラーである緑色のライン照明で駅サインを際立たせる。軌道部の天井や可動式ホーム柵も黒色塗装で、ホーム中央部の「折り紙天井」と対比させた。「折り紙天井」は金属パネルを使用し、人々の動きと大阪の技術を見せるとのこと。ホームの「門型照明」も特徴的だった。床は高耐久で美観を維持する磁器質タイルを採用した。
コンコース階(改札内)も「折り紙天井」と「門型照明」の空間とし、床に磁器質タイルを採用。メインとなる南改札まで続く大型のサイネージパネルも印象的で、高さ約3m、幅は約55mにも及ぶ。南改札の前に可変サイネージ(透過型)も設置し、試乗会では「改札 Gate」の表示に加え、各国の挨拶や「ようこそ夢洲へ」などの表示が見られた。南改札では16台の改札機が並び、うち9台はQR・タッチ対応。顔認証改札機も1台設置されている。改札外は円形広場となっており、改札外とは異なるデザインの「折り紙天井」とすることで、コンコース階を動きのある空間とした。
ホーム階からコンコース階へ、3連エスカレーター(片側空け抑止機能付き)やエレベーターなども整備。トイレは男性用・女性用の他にオールジェンダートイレ(完全個室型トイレ6室)を用意し、出入口付近にトイレ案内サイネージも設置した。トイレに隣接してベビーケアルーム(2室)もあり、これらの設備に興味を示す参加者もいた様子だった。
自由見学が終了した後、400系の専用列車はコスモスクエア方面からの回送列車(近鉄けいはんな線の車両7020系)を待ち、11時16分に夢洲駅を発車。新規開業区間などを折り返し、11時41分に森ノ宮駅1番線へ到着したところで試乗会は解散となった。
中央線は1月11日のダイヤ改正で、大阪港~コスモスクエア間の最高速度を70km/hから95km/hに引き上げ、同区間の走行時間を短縮するとともに、可動式ホーム柵の設置に伴う各駅の停車時間見直し、平日朝ラッシュ時間帯における一部区間の運転間隔調整とそれに伴う増発等を行った。同日以降、平日の運行本数は上り177本・下り193本、休日の運行本数は上り151本・下り156本に。夢洲駅開業に伴う1月19日のダイヤ改正後も、運行本数は変更せず、現行のコスモスクエア駅発着を夢洲駅発着に変更して運行する。なお、コスモスクエア~夢洲間の利用に対して加算運賃が適用され、同区間の運賃は330円に。本町駅や弁天町駅などから夢洲駅までの運賃は380円とのこと。