JR東海は9日、次世代バイオディーゼル燃料の実用性検証試験を報道関係者らに公開した。在来線の次期特急車両HC85系の試験走行車が使用され、次世代バイオディーゼル燃料を給油した後、5~15km/h以下で構内走行を行った。
次世代バイオディーゼル燃料の実用性検証試験は、JR東海とユーグレナ社により、地球環境保全を通じた持続可能な社会の実現に向けた取組みの一環で実施される。JR東海のHC85系試験走行車において、ユーグレナ社が開発・販売する次世代バイオディーゼル燃料を使用。エンジンの性能に与える影響を確認するとともに、実車による走行試験を通じて、鉄道車両においても軽油と同様に使用できることを確認するという。
報道公開は名古屋車両区で行われた。給油車からHC85系へ次世代バイオディーゼル燃料が給油され、数分ほどで給油が終了。その後、警笛を合図にHC85系が動き出し、洗浄機の手前まで5km/h以下でゆっくり走行した。一旦停止した後、再び警笛を鳴らして動き出し、15km/h以下で走行。HC85系の投入に伴う置換え対象となっている特急形気動車キハ85系とも並んだ。
次世代バイオディーゼル燃料は、従来型のバイオディーゼル燃料と異なり、軽油など石油由来の燃料と同じく炭化水素からなるバイオ燃料。適切なプロセスで製造することにより、軽油と同様の燃焼特性を実現でき、エンジンに変更を加えることなく使用できるとされる。バイオ燃料は軽油と同様、燃焼するとCO2を排出するが、バイオマス(生物資源)原料が成長過程で光合成によって大気中のCO2を吸収するため、燃焼時のCO2排出は実質ゼロと考えられるという。ディーゼル車両の燃料として使用している軽油をバイオ燃料に置き換え、化石燃料の使用を減らすことにより、列車運行に伴う地球環境への負荷を低減できるとしている。
HC85系の試験走行車を用いた試験の今後のスケジュールとして、車両基地内での走行試験の後、今月中旬から下旬にかけて紀勢本線での本線走行試験が予定されている。