2012年11月21日、埼玉・SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザに企画展「メディア / アイドル ミュージアム」がオープンした。埼玉県が主催する同イベントは、2013年4月7日まで開催され、アイドル文化の進化の歴史を、アイドルを扱った映像コンテンツの変遷の中にたどることで、映像表現やメディアの進化について読み解くことができる。
企画展のオープンを記念して24日、AKB48を愛してやまない中森明夫(アイドル評論家、編集者)、小林よしのり(漫画家、思想家、社会評論家)、宇野常寛(評論家)、濱野智史(社会学者・批評家)が彩の国ビジュアルプラザに集結。彼らを交え、本企画展のアドバイザーでアイドル専門ライターの岡島紳士が司会を務めるトークショー「AKB48白熱論争 延長戦」を行った。4人は今年の8月に幻冬舎から発売された「AKB48白熱論争」でも語り尽くした間柄で、この日もまさに議論が白熱。冒頭には名誉館長に就任したAKB48の佐藤すみれも参加し、4人のテンションが最高潮に高まる中、トークイベントはスタートした。
佐藤すみれ |
SNSとファンとの交流
岡島紳士(以下岡島):AKB48はGoogle+とかtwitterなどを使ってファンと交流していると思いますが、使ってみてどうですか?
佐藤すみれ(以下佐藤):私はGoogle+、twitter、ブログとかほかにもいくつか使っているんですけど、やっぱりファンの方から直接コメントが返って来るのがいいですね。自分がこう思っていることをファンの方がどう思っているのかなとか、その返しがうれしいです。
岡島:濱野さんは握手会なんかに行く時も使っていたりするんですか。
濱野智史(以下濱野):使いますよ。バリバリ。さっきありがとね、とかつぶやいたりしますよ。もちろん、読んでないと思いますけど。
佐藤:読んでますよ!
濱野:えっ、そうなんですか(笑)。でも、僕ちょっと弱点があって、Google+に実名で登録してるんですよ。みなさんあだ名とかで登録してると思うんですけど。あとからあだ名の方が(メンバーに)認知されやすいと聞いて、ちょっとそれずるいなと。
佐藤:ニックネームを付けてもらったらいいと思います。
濱野:ぱるる(島崎遥香)とかにね。絶対つけてくれないでしょ、そこはさすがに(笑)。
中森明夫(以下中森):はまのんは、この前何枚CD買ったんだっけ?
濱野:えっと、「永遠プレッシャー」は166枚。「UZA」は185枚買いました。今年だけで800枚CD買ってますから。ガチオタです!
佐藤:すごーい!
濱野:ざっと、80万円ですよね。でも、まぁ大人の趣味としてはそんなもんじゃないかな。
佐藤:大人はスゴイです(笑)。
中森:ネットとかでディスられたりしない? 僕らめっちゃディスられてるわけ。はまのんをはじめ、暑苦しいオヤジ達かAKB利権に群がってるみたいに言われるのよ。だいぶ慣れたけど。
佐藤:私も慣れました。最初はすごく気にしちゃってたんですけど、その時期は通り過ぎました。
小林:それは絶対に気にしない方がいいよ。ワシなんかしきりにAKBのことを書くもんだから。ワシ、自分の読者に向けてブログに書いてるものを、あっちこっちに勝手に貼られて、必死に罵詈雑言を浴びせられるという、そういうことになっちゃってるんだけれども。秋元康から金もらって書いてるんだろとかね。全然、金もらってないから(笑)。勝手に好きで書いてるだけですからね。
中森:小林さんはアンチの数がむっちゃ多い。漫画界のさっしー(指原莉乃)と言われてるぐらいね(笑)。
佐藤:でも、アンチの数だけ人気があるって言いますしね。
小林:メンバーの中にそういうことを気にしてる子もいるって、それこそさっしーから聞いたけども。
佐藤:まぁ、でも気にしますけどね。自分が気にしてることを、言われたりすると落ち込んじゃう時もあります。
小林:そういうのは見ない方がいいしね。とにかく自分に自信を持ちなさいよ!
佐藤:はい!
岡島:そんな中、そろそろ佐藤さんがお時間ということで…。
一同:えー!
佐藤:楽しかったです! ありがとうございました~!
著書「AKB48白熱論争」
岡島:読まれてない方のために、この本の内容の説明をお願いしたいんですけれども。じゃあ、濱野さん。
濱野:僕ですか? 要約はしにくい本ですよね。はじめは総選挙の感想から入っているんで、普通に誰々が何を言ったとか、しょうもないオタトークが展開されてて、何も知らない人が読むと面をくらうと思います。時期的には総選挙と、さっしー問題があった頃なんで、そういうことをワーッとしゃべった本です。AKBの話をしていたんですが、結果的には日本社会、現代文明を語っていると思いますね。っていっても、これ説明になってないですかね。ほか何かあります?
宇野常寛(以下宇野):濱野くんが言ってるのは、ほぼ本質をついていて。誰かが誰かを推すっていうのはすごく個人的なことなんですよね。たまたま見ていたドラマに出ていたからとか、たまたま好みのタイプだったとか、ググたす(Google+)のこの発言に惹かれたとか。そんな理由でみんな好きになっちゃうんですよね。その推しメンを応援していきたいという気持ちをみんなで集まって話していくと、いつの間にか社会だったりとか国家だったりとかこの先のメディア状況についてとかを気づいたら話しているんです。今のAKBは結成から7年が経ち、日本国内で最大級の文化運動になっている。この規模の現象が起きてると、すごく個人的なこととすごく社会的なことが自然に結びついているんですよね。それができたから、僕はこんなにAKBが長続きしてるし、こんなに大きくなってるんだと思います。だから、AKBを語ることによって、今の世の中と自分がどう関わっているのかとかが結果的に現れてしまっていることなんですね。
岡島紳士 |
小林:なぜ、AKB48ってこんなに巨大になって、ブームになったのかということ。そんで、なんで一人で100枚も200枚もCDを買うような、ちょっとイカれた連中が出てくるのかとか。そういう現象をみんなで分析し合ってるって本ですよね。それともう1つ言うんならね、いい年こいたおっさんがアイドルにハマるということは、ロリコンではないんだと。そういうことを話して、年輩の人でも公演に行くことが恥ずかしいと思わないように、そういう垣根を低くしてあげるっていう効果があった本だと思いますよ。
中森:僕はアイドル評論をやってるでしょ? アイドル評論本ってあまりなかったんですけど、最近どっと出てきてね。この本は売れたのみならず、異様に反響があったんですよ。それで、こんなに話題になると批判も出てくるわけですよ。面白いなと思ったのがさ、『ももクロのことが書いてない!』って。そりゃあ、書いてないよ(笑)。岡島さんと岡田康宏さんの「グループアイドル進化論」っていうすばらしい本があって、ものすごい情報が詰まっているの。ところがね、最近は紙の本に情報は求めてないんじゃないかなって。情報はタダだから、ネットで探せばいいじゃん。ということは、この「AKB48白熱論争」は、情報以外のものがあったから反響があったと思うわけ。さっき小林さんもおっしゃってたけど、もうこれはガチなのよ。この本を読んで興奮した、俺もやるぞっていうかなり自己啓発的な本ですね。……続きを読む。