『ライザのアトリエ』と言えば──
「太もも」という単語が頭に浮かんでくる方も、今となっては少なくないのではないだろうか。
はじめに断っておくと、筆者は『ライザのアトリエ』という作品を愛している。だが、SNSを中心に「太もも」が注目を集めたのは紛れもない事実である。
「アトリエ」シリーズの大きな強みのひとつにキャラクターのビジュアルがあるのは間違いないだろう。が、筆者個人としては「アトリエ」のストーリーやシステム面がもっと注目されて欲しい……という思いがあるのだ。
……しかし、ここに来て意外な方向から『ライザのアトリエ』を“分かって”くれる存在が現れた。それがスマートフォン向けRPG『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、アナザーエデン)である。
いたるところに『ライザのアトリエ』プレイヤーが「おっ」と目を引かれるポイントが用意されている、非常に“分かってる”コラボだったのだ。
一例として、今回のコラボバナーである上の画像を見てみて欲しい。お気づきの方も多いかもしれないが、タイトルの作りや彩色も『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』を彷彿とさせるデザインとなっている。
このバナーを筆頭に、本コラボは「そこまでやるの!?」と思うくらい細部までしっかり作り込まれた、非常に愛のあるコラボとなっている。筆者は恥ずかしながら『アナザーエデン』の知識が浅いためストーリーを深く掘り下げることは叶わないが、本記事では代わりに『ライザのアトリエ』ファンとしての視点で本コラボを紹介していきたいと思う。
※この記事は『アナザーエデン 時空を超える猫』の魅力をもっと知ってもらいたいライトフライヤースタジオさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。
「アトリエ」シリーズの代表作となった『ライザのアトリエ』。シリーズを通して成長していく主人公たちを見られるのも嬉しい
『アナザーエデン』とのコラボの内容に入る前に、まずは『ライザのアトリエ』や「アトリエ」シリーズについておさらいしておこう。……という名目で本作について語らせてほしい、というのもあるのだが。
さて、『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』は2019年に発売された、株式会社コーエーテクモゲームスのガストブランドより展開されている「アトリエ」シリーズの第21作目。発売当時からネットを中心にライザのキャラクターデザインやゲームシステムが話題となり、瞬く間に「アトリエ」シリーズ歴代最高売上を叩き出した人気作品である。
「シリーズ作品が多すぎて、どれから遊んでいいか分からない」「気になっているけどシステムが難しいと聞いたことがある」……そんな声をよくリアルやSNS上で見かけるが、筆者は大体『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』から遊んでみるように勧めている。
それは、『ライザのアトリエ』はそれまでのシステムが一新され、まったく新しい「アトリエ」の世界を切り開いた作品だからだ。
戦闘は戦略性の高かったターン制から爽快感のあるアクション要素が強めのバトルシステムに、シリーズおなじみの調合は直感的に素材を入れていくリンケージ調合を採用。
特に調合では一度作ったものを再度“リビルド”できる禁断のシステムも搭載されているので、最初は軽めに作ってあとから強化なんてことも可能になるなど、とにかく遊びやすいように設計されている。
そしてストーリーもめちゃめちゃ良い。作中では「なんてことない」村で「なんてことない」日常に退屈していた平凡な少女・ライザの成長が描かれていく。
遊んだことのある方ならお分かりの通り、本作ではライザたちが一念発起して、立ち入りが禁止されている島の対岸に冒険をしに行くところから物語が始まる。そこで錬金術と出会い、後に大親友以上とも言える関係になるクラウディアと出会うことになるなど、この冒険こそがライザ自身の運命を大きく変えるキッカケとなったのだ。
自分が行動したからこそ、得るものがある。これはゲームだけの話ではなく、日々の生活にも当てはまることなのではないだろうか。普段やらないことでも何かのキッカケがあれば触れることもあるし、そこで得られたものが自身の運命を変え、一生の宝物になることだってあると思う。
そして自分が主体で行動した結果、周りも連鎖的に変わっていくこともある。ライザが錬金術士のアンペルに弟子入りし、成長したライザがその錬金術でアンペルのために「あるもの」を作成するシーンなどはまさにその例だろう。
また、本作は同時に普通の日常がどれだけ大切なのかを思い出させてくれる作品でもある。「なんてことない」が当たり前の日々に慣れ切っていると、そのありがたみが薄れてしまう作中のライザたちの気持ちも分かるような気がした。
しかし、そんな彼女たちが「なんてことない」日常を守り、最後にはそれぞれが見つけた道へと歩んでゆく……。その流れが非常に美しく、とても良いストーリーだったと今でも鮮明に覚えている。
本シリーズはその後、2020年に『ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~』、2023年に『ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』が発売されていくのだが、実はこれまで「アトリエ」シリーズは同じ主人公で続編を出したことがなかった。
しかし本作は一貫して主人公はライザなので、シリーズを経るごとに成長するライザたちを見ることができる点も新しく、作品を追うごとにキャラクターたちに愛着が湧いてくるのも本シリーズの特徴のひとつだ。特に『ライザのアトリエ2』は初代から3年後の話ということで、あれから成長したみんなを見る時のワクワク感がすごかった。
なので『ライザのアトリエ』は、システムやストーリーの観点から見ても、まったく新しい「アトリエ」の世界を生み出した作品であると言いたい。そしてこのコラボが実現したからこそ、筆者も『アナザーエデン』を本格的に知るキッカケになったのだ。
コラボでは「ライザ」「クラウディア」「アンペル」の3人がプレイアブルで登場。全員「フェイタルドライブ」のデザインになっていたり、本当に芸が細かい
少々『ライザのアトリエ』を語りすぎてしまったが、ここからは『アナザーエデン』とのコラボについて紹介しよう。
『アナザーエデン』は、株式会社WFSより開発され、2017年にGREEよりスマートフォン向けに配信されている基本プレイ無料のRPG。本作はフレンドやマルチプレイなどの要素を排除して“シングルプレイ”に特化したゲームとなっており、スマホプレイながら家庭用ゲームのような冒険が楽しめる作品だ。
「殺された未来を、救けに行こう」というめちゃめちゃカッコいいキャッチフレーズが示すように、本作では主人公のアルドが過去・現在・未来の3つの時代を跳び越えながら物語が展開されていく。シナリオライターが『クロノ・トリガー』、『クロノ・クロス』などを手掛けた加藤正人氏ということで、AD〜年、BC〜年という時代表記に馴染みのある方もいるだろう。
作中では決められた目的地に行き、イベントやバトルを経てさらに新たな時代へと進んでいくというゲームサイクルとなっている。RPGの名の通り、ゲーム内ではクエストが発生したり、キャラクターを強化するアビリティが存在したり、クラスチェンジをしたりすることができる。
筆者は恥ずかしながら今回初めて本作に触れたのだが、まず最初に思ったのはコンテンツに対する熱量が凄まじいということだ。メインストーリーやイベント、過去に開催されたコラボなどが全部公式サイト上で“特設サイト”として個別に制作されているし、ほぼすべてのイベントにPVが存在するのにも驚かされた。
そして今回のコラボでは、「ライザ」「クラウディア」「アンペル」の3人がプレイアブルキャラとして参戦するようだ。なお「レント」「タオ」「リラ」の3人もコラボストーリー上でちゃんと登場する。
ストーリーも見てみると、ライザサイドのメンバーの間でも、ある程度の関係値が築かれた状態であるようだ。
さらにイベント中には専用のスチルもいくつか登場するので、ライザたちとアルドたちが織りなす新たな物語をぜひ実際にプレイして確かめていただきたい。
なお詳細は後述するが、コラボ中には『アナザーエデン』をあまり知らなくても、『ライザのアトリエ』をプレイしたことがある方ならおなじみのシステムも数多く登場する。さらにそれらのシステムがうまく『アナザーエデン』に落とし込まれているので、スムーズにゲームに入っていくことができる。
先ほど紹介したコラボバナーのように、細部まで世界観を再現しようするコンテンツへの熱量が凄まじい『アナザーエデン』は、コラボ先のことを非常に“分かってる”作品と言えるのだ。