萌えのベクトル表記に関する試みについて

「萌え」の概念が一般的に理解されがたい原因は「萌え」を観測または検知することがきわめて難しいということがあげられるだろう。
本考察では、萌えを定量的に定義することで、萌えの概念を広く一般人にも認知されることを期待している。
また、萌え巡って繰り広げられてきた多くの争いは、これをもって今後は平和的な解決がされることを望むものである。

萌えと属性

萌えを単純比較しようとした場合、問題となるのは属性という概念である。
萌えには属性があるので単純比較することが困難である。
これら属性はベクトルの概念を置き換えることで、比較可能にしようという試みである。

萌度の定義

属性における萌えベクトルの大きさを「萌度」と定義する。
萌度には属性も含んでいるため、異なる属性で大きさを比較することはできない。

異なる属性を比較する場合はスカラー量に置き換える。
それぞれの属性における萌えベクトルの絶対値を求めることで、異なる萌え属性であっても比較が可能である。
萌えベクトルの絶対値を「絶対萌度」と定義する。

萌えの相対的な比較

属性Aと属性Bでどちらがより萌えるかを比較するときに、どちらかの属性を単位ベクトルに据えて比較することが可能である。
属性Aをいいんちょ萌え、属性Bをメガネっ娘萌えとして、メガネっ娘におけるいいんちょ度を比較する場合は次の方法で求められる。

{b\cos\theta}\over{a}
(a:属性Aのベクトル、b:属性Bのベクトル、θ:aに対するbの偏角)

一般的にはこの式によって得られた解に100を掛けて百分率で表す。
このように相対比較では、属性同士の共通成分を見るには有効である。

萌えの合成

Leaf/AquaplusのToHeartに登場する保科智子を考える。
保科智子に代表される萌え属性は次の通りである。

メガネっ娘萌えといいんちょ萌えを考える。
二つの属性は相性がよいため、偏角(θ)が小さい似通ったベクトルとなる。
この二つを合成する場合、通常の線形代数的なベクトル和を求めた場合、一般的な概念からかけ離れた大きな値となってしまう。
これにおさげ属性を追加した場合は一目瞭然である。

これでは似たような属性を列挙するだけで、絶対萌度が大きくなってしまうという問題点がある。


メガネっ娘萌えには、すでにいいんちょ萌え属性と共通する属性が含まれているため、合成するときに加算する必要はないという考えもできる。

属性が複数になった場合においても、以下によって合成することができる。

\mathbf{m_n}=m_0+\sum_{i=1}^n m_i\sin\theta_i

似たような属性を合成する場合は、この方法を用いるとよい。

例題

Navelでは早くからベクトル表記に取り組んでいる。
オープニングムービーでは、試験的にではあるがキャラごとの属性をベクトルで表示されている。
以下にShuffle!のヒロインの一、芙蓉楓の例を挙げる。(簡単のため、ベクトルは単純合成を行った)

以下は参考。

今後の研究

それぞれの属性を単純なベクトルとしてではなく、もっと範囲を拡大し幾何学的な空間の広がりとしてとらえ、ベクトル場の概念を応用する研究が進められている。
先に述べたNavelではすでに多くの研究成果が出ているようである。

回転(rotation)

\mathrm{rot}\,\mathbf{A} = \nabla \times \mathbf{A}


勾配(gradient)

\mathrm{grad}\.\psi


発散(divergence)

\mathrm{div\,} \mathbf{A} =  \nabla \cdot \mathbf{A}


2005年 Navel入社試験問題


上記の通り、Navel社は萌えベクトル解析学において先駆的な存在である。
社名であるNavelはベクトル作用演算子であるナブラ(Nabla)が語源になっているという説もある。

観測者問題

人にはそれぞれ好みというものがあり、萌えにおいてもそれは例外ではない。
萌え属性をベクトルに置き換える際にこれが大きな問題となることがある。
これについては有名な思考実験が行われている。
美少女の絵がある。これを見た一人が「これにネコミミを付けたら萌える」と言った。
また、別の一人が「ネコミミ付けたら台無しだ。萎える」と発言し、これがきっかけで議論に発展し罵りあいのケンカになったが、結局結論が出るに至らなかった。


つまり、ある属性の状態が萌えなのか萎えなのかは、観測者によって決定づけられることであり、量子萌学の世界では属性の状態は萌えと萎えの重ね合わせの状態であると解釈されている。
しかし、観測者によって観測がなされた場合、それが萌えなのか萎えなのかは明らかであり、萌えと萎えの重ね合わせという概念は通常の概念には馴染まないため、パラドックスとなる。
このことは上記思考実験から「シュレーディンガーのネコミミ」と呼ばれている。