NATROMのブログ

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数学的に憲法9条堅持を論破する

9条堅持の立場を自称する「きくちゆみ」氏が、9.11陰謀論(自作自演説)を支持していることが問題視されています(参照:■9.11陰謀論はカンベンしてくださいよ(good2nd)、■憲法9条と911陰謀論、または安斎先生はどう考えておられるのだろう(kikulog))。きくちゆみ氏は、911陰謀論のほかに、■水道水で走る夢の自動車(水素自動車ではない。なにしろ、「排気ガスは酸素」だ)や、「エイズも治す酵素風呂*1」についても述べています。きくちゆみ氏は科学をほとんど何も理解していないか、あるいは理解していないように見せかける意図があるかのどちらかです。エネルギー問題を論じようかという人物が、エネルギー保存則すら知らないというのは、きわめて不自然です。そこまで愚かな人間が存在するなんて物理的にありえないので、後者の可能性、すなわち、きくちゆみ氏は、わざとトンデモと見なされるように振舞っている可能性が高いと思われます。

9条堅持の立場を貶めるネガティブキャンペーンと考えるのが自然です。「平和運動や護憲はうさんくさい」と思わせたい勢力による陰謀に違いありません。対抗言論として、「9条堅持はトンデモと必然的に結びついてるわけではない」と主張するのもいいですが、それだけでは十分とは言えません。目には目を。彼らのやり方をこちらが真似するのです。無能な味方、獅子身中の虫と言えば、我らが柳生すばる先生です。「右翼は馬鹿」というキャンペーンをさせて、柳生先生の右に出るものはいません。真の憲法9条堅持派・柳生昴(すばる)先生の新作を紹介します。


■偽善9条教を数学的に論破する!*2(EmpireoftheSun太陽の帝国)


数学の証明法の1つに

対偶(たいぐう)

というものがある。

簡単に言えば

「犬は動物である」 ←命題

「動物でなければ犬でもない」 ←対偶

ということだ。

この場合「正(の命題)と対偶は
同値である」と言う。

「どちらを証明しても良い」(両方成り立つ)

ということだ。

これを現在日本の平和主義者たちが言うところの

「日本国憲法第9条」に当てはめるとどうなるか?

「9条があれば平和になる」 ←命題

「平和でないのは9条が無いからだ」 ←対偶

↑これは論理的におかしい!?

「ローマの平和 Pax Romana」とか Pax Americana とかがあるからだ。

第一・9条が出来たのは1946年のことだから

「それ以前の平和」は説明が出来ない。

人類史に平和な時代はいくらでもあったからだ。

よって「9条があれば平和になるという命題」は

証明できない!

つまり

「9条があっても戦争は防げない!」 

ということでもある。


「9条があれば平和になる」という主張に反論する方法は他にあるのに、わざわざ数学的に論破する!ところが柳生先生らしいところです。柳生先生を知らない読者のために言っておきますが、「憲法9条に反対するウヨクは馬鹿である」ことを明示するために、先生はわざとやっているんですよ。きくちゆみと同じ手法です。考えてもごらんなさい。憲法9条以前の平和の存在が「9条があれば平和になる」という命題を否定することにならないのは、ほんのちょっとの数学的能力があれば理解できることです。柳生先生自身が出された例、「犬は動物である」の対偶は「動物でなければ犬ではない*3」という例を考えれば明らかです。

憲法9条以前に平和があっても「9条があれば平和になる」ことを否定できないのと同様に、犬以外の動物がいても「犬は動物である」は否定できません。数学が苦手な人が誤解するならともかくとして、自信満々に「数学的に論破する!」などと言っている人がかような極々基本的な誤りに陥っているのはきわめて不自然です。ここまで愚かな人間が存在するなんて、数学的にありえないことです。先生の意図は、きくちゆみ氏による「9条堅持はトンデモと結びついている」というキャンペーンに対抗するために、「9条批判もまた、トンデモと結びつくこともあるのだ」ということを我々に示すことにあるのです。ひいては、きくちゆみ氏のような人物がいるからといって「左はダメだ」「リベラルはダメだ」「平和運動は胡散臭い」などと短絡的に考えてはいけないことを、先生は教えてくださいました。さすが先生です。

*1:きくちゆみの地球平和ニュース/Global Peace News URL:http://archive.mag2.com/0000172015/20051229025010000.html

*2:URL:http://empire.cocolog-nifty.com/sun/2008/05/post_a474.html

*3:引用元では「動物でなければ犬でもない」となっていたのを訂正。もちろん、先生はわざとやっているのですよ