これが渋谷すばる第三章のエンタテインメント、クリスマスライブで届けた思い「僕にはあなたが必要です」

渋谷すばるのライブツアー「Lov U」が、12月24日と25日の埼玉・三郷市文化会館公演でファイナルを迎えた。

今年8月にトイズファクトリーとの契約を発表し、10月には多数のクリエイターからの楽曲提供を受けたニューアルバム「Lov U」をリリースした渋谷。今回のツアーでは新たな一歩を踏み出した現在の渋谷のモードが、さまざまな演出を通じて表現された。この記事では24日公演の模様をレポートする。

ダンサーとともに「Lov U」を踊る

ライブのオープニングではステージ前に下げられた紗幕に、渋谷がギターを爪弾き歌詞を書き留める映像が映し出される。アップになった渋谷がこちらに手を伸ばしたところでステージが明るくなり、1曲目「First Song」が始まった。紗幕の向こう側の渋谷は「Lov U」収録曲のうち唯一の自作曲を、これから始まるライブへの決意を表すように「歌うよ最初のうた」と丁寧に歌い上げる。「君らしくね」で紗幕が上がり、続く「Lov U」では赤い衣装に身を包んだ2人の女性ダンサーが登場。スタンドマイクに向かった渋谷もサビでは同じ振付を踊り、観客を大いに沸かせた。

「寒い中、来てくれてありがとうございます」とクリスマスイブの会場に足を運んだファンに感謝を述べた渋谷は「“渋谷すばる第三章”ということで夏ぐらいからいろいろやってきて、10月にアルバム『Lov U』を出しました。今日は『Lov U』の曲もですが……すごいっすよ？」とここからのセットリストに対する期待を煽る。そして「最高のクリスマスイブにしましょう！」とオーディエンスに呼びかけた。カラフルな映像とともに披露された「ライム」では、渋谷がステージを行き来し客席ギリギリまで身を乗り出し「でもまだ感じていたい君を」と手を伸ばしつつ熱唱。「アオ」「ロマンス横丁」では渋谷の煽りに応えて、客席からハンドクラップやコールが次々と起こった。

「Lov U」に収録されたポップなナンバーを連投したあとは「ニューアルバム以外の曲をやります」と言葉を添え、「トラブルトラベラ」「ベルトコンベアー」「爆音」と、1stソロアルバム「二歳」の収録曲をメドレー形式で披露する。いずれも初期衝動に満ちたストレートなロックチューンだがリリース当時とはまた異なり、オーディエンスにぶつけるのではなく共に熱量を上げて巻き込んでいくようなパフォーマンスで、渋谷のエンターテイナーとしての意識を感じさせるひとときとなった。「クリスマスイブにないしょのダンスを踊りませんか？」という言葉からは「ないしょダンス」へ。アウトロで高らかにブルースハープを吹き鳴らした渋谷は「いい感じですね！ ホント楽しいです」と心からの笑顔を見せた。

“天の声”の質問に「しばくぞ！」レアな過去曲も披露

中盤のMCで渋谷はアルバム「Lov U」について「たくさんのクリエイターの方とコミュニケーションを取って、1曲1曲が濃い、宝物のようなアルバムができました」と振り返り「どの曲も最高やろ？」とファンに語りかけて大きな拍手を浴びる。その後はこのツアー恒例となった、渋谷が“天の声”の質問に応えるコーナーへ。12月15日に行った初の上海公演の思い出を尋ねられた渋谷は現地のグルメを堪能したことを明かすが、天の声から「食事のことを心配して、空港のコンビニでおにぎりとお味噌汁を買ってましたねえ？」と暴露され「お前なんやその言い方、イジってんのか！ しばくぞ！」とキレてみせてファンを笑わせる。一方「ライブはすごく楽しかったです。2020年に中止になってしまって悔しかったし『絶対いつかやりたい』と決めていたので。皆さんが待ってくださっていたのも伝わりました」とライブ当日の心境も振り返り「また中国にも、いろんなところにも行きたいです」と新たな海外公演にも意欲を燃やした。

ここで渋谷が「次はすごい昔の曲をやります」と話し、客席から悲鳴に近いどよめきが起こる中で披露されたのは2007年に発表されたソロ曲「琉我」。ブルージーなサウンドのこの曲を、渋谷は円熟味を増したボーカルで届けて客席を圧倒。積み上げてきたキャリアと歌唱力の確かさを改めて印象付けた。さらに渋谷は「初めてやる曲なんですが……」と、この日がライブ初披露となる次の曲を紹介。この曲はもともと人前では披露しないつもりだったというが「せっかくクリスマスのツアーファイナルなので『ここかなあ』と。せっかくなのでクリスマス感満載のアレンジにしました（笑）」という言葉に続き、「二歳」のオフィシャルファンクラブ「Shubabu」特典「全部一人でやってみたCD」に収録されたバラード「LOVE」がリリースから5年を経て披露された。渋谷の言葉通りサウンドには鐘の音が取り入れられ、ステージにはミラーボールがきらめき白い紙吹雪が舞うというクリスマスムードたっぷりの演出を、オーディエンスは笑顔で楽しんでいた。

「また来てください、絶対幸せにしますんで」

サポートメンバーの大宮啓之（G）、本間ドミノ（Key / THE BOHEMIANS）、安達貴史（B）、茂木左（Dr / ピーズ）が奏でたインターセッションに続いて渋谷が衣装を改め、ライブは後半戦に突入。ステージ下手側のソファに腰かけた渋谷が思いを吐露するように歌った「一眼レフノ君」、さわやかな空気を場内にもたらした「渚と台風」のあとは、このツアーのために制作された未音源化曲「赤い花」へ。グッズの“赤い花”を手にした観客は、渋谷のSNSアカウントで公開されていた振付を一緒に踊り、心地よい一体感を楽しんだ。

「ルピナス」「ストライクゾーン」、さらにライブではひさびさに披露された「ココロオドレバ」で会場が盛り上がったあとも「池」「ワレワレハニンゲンダ」とパワフルなナンバーがドロップされ、ホール内はすさまじい熱気に包まれた。最後のMCで渋谷は「やってよかった、生きててよかったという感じです。ずっとやってくからまた来てください。僕にはあなたが必要です。あなただけの居場所を俺に作らせてください」と話し、「まだ迷ってるやつもいっぱいいると思うけど『来て』って言ったって（笑）。絶対幸せにしますんで」と“第三章”を広げていきたい思いを熱く語る。そんな思いを体現するかのように、渋谷は本編最後の楽曲「人間讃歌」を力強く歌った。

アンコールでは渋谷が3月にファンミーティングを開催すること、さらに今回のツアーの模様を収録したライブBlu-rayをリリースすることを発表。「最後は楽しんでいきましょう、僕と君はニャーン！」と叫び、「僕と君はネコ」を軽やかに歌った。客席との記念撮影を行い、渋谷はこのステージを作り上げたスタッフと会場、そして集まったファンへの感謝を改めて語り、「渋谷すばるでした。ありがとうございました！」と叫んでステージを降りていった。

セットリスト

「渋谷すばる LIVE TOUR 2024『Lov U』」2024年12月24日 三郷市文化会館

01. First Song
02. 君らしくね
03. Lov U
04. ライム
05. アオ
06. ロマンス横丁
07. トラブルトラベラ～ベルトコンベアー～爆音
08. ないしょダンス
09. 琉我
10. LOVE
11. 一眼レフノ君
12. 渚と台風
13. 赤い花
14. ルピナス
15. ストライクゾ―ン
16. ココロオドレバ
17. æ± 
18. ワレワレハニンゲンダ
19. 人間讃歌
＜アンコール＞
20. 僕と君はネコ