遠近法ノート

本好きのデザイナー、西岡裕二の日記帳なのです。デザインと読書について書くはず。

『本とデザイン研究ノート』通販はじめました。

totika.booth.pm

先日の文学フリマ東京39にて頒布した『本とデザイン研究ノート 本ってだいたいこうなってますよね?』の通販をはじめました。

会場に搬入したぶん(70部)は2時間ほどで完売しました。どうもありがとうございました。

一方、せっかく来ていただいたのに買えなかった方も多くいらっしゃいました。たいへん申し訳ありません。部数の読みは難しいです……。

手元在庫はそれほど多くありません。お早めにどうぞ。

追記:本屋B&Bさんに卸したぶんも完売。12月19日、BOOTH販売分(50部)も完売となりました。

 

内容:

文学フリマのWebカタログ c.bunfree.net/p/tokyo39/42107

文学フリマに出ます(2024/12/1・F-19 遠近法ノートAnnex 『本とデザイン研究ノート』) - 遠近法ノート

文学フリマに出ます(2024/12/1・F-19 遠近法ノートAnnex 『本とデザイン研究ノート』)

12月1日の文学フリマに出ます。
頒布するのは、『本とデザイン研究ノート 本ってだいたいこうなってますよね?』。

編集とデザインのための、書物研究の本です。

本づくりに携わる方(もしくそちらを目指す方々)に向けて書きました(同人誌製作のための本ではありません)。

本の世界には、なんとなく常識のようになっているが明文化されていない知識や、特に決まり事はないけどだいたいこうだという仕様がいっぱいあります。本書では、「本って実際こうなってます」という、本の外側の姿を観察・解説しています。多くの資料と実物観察で得た知見で、本のしくみや紙のスペックがわかるようになる……はず。

教科書的な内容ではなくノウハウを教える本でもなく、研究ノート。でも、仕事に役立ちます。著者自身がすでに手元に置いて役立てているくらいですからね(本書を20年前の自分に渡せば、あれもこれもうまくいったはずだぞ!)。

 

▲B5判で128ページもある。会場頒価は2000円。装丁はいたって簡素です。

 

▲目次はこんな感じ。本文は2色刷りです(採算が合わねえな!)。

 

▲誌面はこんなです。既存のデザイン本等では扱わないようなところを解説しています。デザインの本じゃないみたいです。

 

▲参考文献の山(これで全部ではなく8割ぐらいかな)。文献リストだけで2ページ使っちゃった。日本の古本屋さんには大変お世話になりました。

 

c.bunfree.net

最近手がけた本

 

 

最近手がけた本

 

 

イラレで特色を使った印刷物のデザインをする場合、既存のDICスウォッチを使うのはやめて、RGBでスウォッチを作る

以下の記事は、Adobe Illustratorを使用した特色データ作成のコツです。ただしこれは、正しいデータの作り方とか、RGB入稿とか、そういう話ではまったくありません。特色をCMYKで出すやつとも無関係です。印刷通販の入稿ガイドなどとは、まるっきり違う話を書いています。初心者の方は読まないほうが良いです。

画面の色はあてにならない

Illustratorで特色を使う場合(CMYK+特色の5色刷りや、スミ+特色の2色刷り/3色刷りなど)、たいてい、DICのスウォッチ「スウォッチライブラリ→カラーブック→DIC カラーガイド」を使うと思います。データ作成としてはそれでいいんですが、作り慣れてくると、画面に表示される色味に不満をおぼえますよね。なんでこんなにくすんだ色味なんだって。
表示を「オーバープリントプレビュー」にすればだいぶ鮮やかになります。それでもまだ現物とはかけ離れた色が出ることがよくあります。

DICのスウォッチを使うのはやめる

Illustratorに付属するDICのスウォッチですけど、これはいったいどういう出自のものだかよく分かりません。CMYKのLab近似値なんでしょうか? いつまで経っても追加色が追加されないし、版による差も反映されておらず、疑似色が割り当てられているだけのものです。
ディスプレイはRGBなんだからもっと鮮やかな色も出せます。DICのスウォッチの色に縛られる必要はないんです。
デザインをするにあたって、くすんだ色ではテンションが上がりません。DICのスウォッチは使うのをやめ、現物のDICカラーガイドの色を自前でシミュレーションしたほうが、デザインがうまくいきます。

スウォッチをRGBで作る

というわけで、特色スウォッチは、自分で作りましょう。「新規スウォッチ」でカラータイプを特色とします。カラーモードはRGB。現物のDICカラーガイドを見ながらRGBスライダを動かし、おおよそのイメージで色を合わせるんです。そんないいかげんなことでいいのかと思われるかもしれませんけど、これでいいんです。画面の見た目のイメージだけの話ですから。

既存作成したもの

 

ちなみにDICのサイトではRGB値を検索できますが、
https://www.dic-graphics.co.jp/color/search/
イメージ通りとは行かないようです(sRGBだから?)ので、まあ参考程度に。ともあれ、現物を見ながら自分で調整したほうがずっとマシです。そもそも特色は、光源や角度によって見え方がかなり異なります。使う紙でもだいぶ色が違います。デザインにおいては、数字よりも感覚のほうが重要です。
DICの伝統色シリーズやDIC以外の特色(TOKAとか)を使う場合も、自分で作ってしまえばいい話です。

RGBで大丈夫なの?

スウォッチをRGBで作ると、版が1つ増えるだけです。分版プレビューを確認すれば分かります。その版の、画面での見た目の色を調整しているに過ぎないので。
もちろん、入稿用に使うファイルに特色スウォッチをいっぱい入れるのはやめましょう。作った色は別のファイルにまとめておくと流用に便利です*1。

画像も使う場合は?

Photoshopでスポットカラーを作り、Illustratorに貼ると特色スウォッチになります。このスポットカラーも既存のDICを選ぶ必要はなくて、RGB値を入力して自分で作ります。

出ない色は出ない

ディスプレイですべての色が出せるなんてのはただの錯覚です。ディスプレイの性能に依存すると思いますけど、シアン系(DIC-577,640)とか、薄い蛍光オレンジ(DIC-588あたり)とか全然出ませんですね……。
おなじみのKP(DIC-584B)もそこまで再現できないです。
蛍光グリーン(DIC-598)や深い青(DIC-579C,D)などはうまく出せます。

PDFでデザイン案を出そう

さて、デザイン案ができたら、クライアントにPDFを送りますよね。PDFを作成するときに、色をCMYKに変換してはダメです。
以下の設定でカラー変換をなしとすれば、Illustratorの画面と同じ色のPDFが出力されます。これをPDFのビューワで閲覧すれば、鮮やかな特色も再現されているはず(Acrobat DCではちょくちょく色が化けるのだけど、どうすれば……うまくいかないときはここでRGBに変換してしまいましょう)。
もちろん、先方の環境とこちらとは同じではないので、まったく同じ色が見られるわけはありません。それでも、くすんだCMYK色よりはマシ。ある程度できあがりがシミュレートされていれば、クライアント側にもメリットがあります。
特色の何番を使うかはちゃんと伝えましょう。

入稿データは

文字をアウトライン化し、Illustratorのネイティブデータで入れてます(自分の担当ジャンルでは、これが普通のやり方)。
入稿データでも、カラーはそのまま。なにかに変換したりはしていません。

 

*1:ただし1ファイルに保存できるのは27色まで。