ファナックに対するハゲタカのサード・ポイント ローブ氏の挑戦
産業用ロボット事業で驚異的な収益性を実現したファナックは、数十年にわたって外界と距離を置き、謎に包まれた存在となっている。
富士山の麓に黄色いビルが建ち並ぶ同社の生産施設。ここに部外者が立ち入りを許されることはまれだ。窓のない工場の中では年中無休24時間体制で、黄色のロボットがロボットを生産している。
ここではコンピューターウイルスの侵入を防ぎつつ技術を導入するために、ファクスが通信手段として使われることが多い。
電子メールの使用はわずかな例外を除いて禁止されている。投資家向け広報(IR)部門は設置されておらず、アナリストとの電話会議も行われない。
このファナックが、物言う株主として知られるダニエル・ローブ氏が狙う最新のターゲットとなった。ニューヨークのヘッジファンド会社、サード・ポイントを率いるローブ氏(53)は1年5カ月をかけてソニーに変革をもたらそうと活動したが、その試みは昨年10月に成否入り交じりの結果に終わった。同氏は先週の株主に宛てた書簡でファナックの株式を取得したことを明らかにし、同社に株主還元の強化を促した。
ファナックの広報担当者、藤井敬介氏はこの件についてコメントを控えた。同社は今週、16年末までに1,300億円を投じて工場新設など生産能力を増強する計画などを発表。株価はローブ氏の書簡が明らかになって以来、10%余り値上がりしている。
ローブ氏はインタビューで、「事業運営の空気は信じがたいほど革新的で、未来志向が強い」とファナックを評価。「資本の配分という観点からは、さほどでもない」と続けた。
ゴールドマンより25%高い
営業利益率が40%を超える同社では、社員1人当たりの収益がゴールドマン・サックス・グループより25%高いと、ローブ氏は指摘。また、優れた技術の製品ラインアップを絞っている点で、同氏はファナックをアップルに例える。債務負担ゼロのファナックはそれでも、バランスシートに眠る現金の一部を使って自社株を買えば、価値が「著しく」上がると同氏は主張する。
同氏はブルームバーグのデータによると、自身が率いる投資ファンドのサード・ポイントがファナックの上位10位以内の株主になるだろうと語った。
ローブ氏が日本に注目し始めたのは、2012年末に今の安倍晋三政権が発足し、金融緩和と財政投入、規制改革に基づく経済活性化を打ち出したのがきっかけ。ローブ氏は「日本では時代精神が様変わりしようとしている」と述べた。
ファナックのロボドリルはアップルの「iPhone(アイフォーン)」の金属形成工程に使われる。ローブ氏によると、ロボドリルの売上高はこの5年間で6倍となった。
アップルがクライアント
「全体像はこうだ。アップルのような素晴らしいクライアントを持ち、技術力が高く、生産性は向上、さらに労働コストが上昇している環境で、これが成長分野であることは明らかだ」と述べた。
ローブ氏はファナックについて、これまでよりも手ごわい相手だと認めている。ソニーとの公な交渉を開始した13年、同氏は東京に赴いて、平井一夫社長に直接、要求を手渡したが、ファナックとはミーティングが開かれるかどうかも疑わしいと言う。
「株主との会議を開かない会社というのは、あまり聞かないが、それも彼らが昔から維持している方針なのだろう」とローブ氏。「多額の余剰資本があることに、疑いをはさむ余地はほとんどない。21世紀に株式を公開しているのだから、株主と意思疎通を図るのは当然のことだ。それがわれわれが届けたいメッセージだ」と述べた。
以上、ブルーバーグ参照
<ファナックの主要株主>
ファナック 主要株主 平成26年9月30日現在 |
||
氏名又は名称 |
所有株/千株 |
割合(%) |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) |
16,670 |
6.96 |
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) |
12,339 |
5.15 |
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー |
8,865 |
3.7 |
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー |
7,678 |
3.21 |
ザ チェース マンハッタン バンク エヌエイ ロンドン エス エル オムニバス アカウント |
6,375 |
2.66 |
シティバンク エヌエイ エヌワイ アズ ディポジタリー バンク フォー ディポジタリー シェア ホルダーズ |
3,966 |
1.66 |
BNPパリバ証券株式会社 |
3,464 |
1.45 |
ザ バンク オブ ニューヨーク メロン エスエ- エヌブイ 10 |
2,889 |
1.21 |
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505225 |
2,593 |
1.08 |
資産管理サービス信託銀行株式会社(証券投資信託口) |
2,389 |
1 |
計 |
67,228 |
28.08 |
<ファナックの業績推移>
連結/百万円 |
12/3期 |
13/3期 |
14/3期 |
15/3予 |
売上高 |
538,492 |
498,395 |
450,976 |
688,200 |
営業利益 |
221,834 |
184,821 |
164,134 |
268,000 |
経常利益 |
228,578 |
191,242 |
174,360 |
280,900 |
当期利益 |
138,819 |
120,484 |
110,930 |
185,100 |
総資産 |
1,130,625 |
1,219,113 |
1,343,904 |
|
自己資本 |
981,323 |
1,089,260 |
1,194,032 |
|
資本金 |
69,014 |
69,014 |
69,014 |
|
有利子負債 |
0 |
0 |
0 |
|
自己資本率 |
86.8% |
89.3% |
88.8% |
|
昨年5月3日の記事では
投資ファンド、サード・ポイントのダニエル・ローブ最高経営責任者(CEO)が、ソニーやソフトバンクに続き、重機大手IHIに投資していたことが1日判明した。
サード・ポイントの取得株数は不明だが、翌2日の取引でIHIの株価は5%以上上昇した。
ローブCEOは投資家向け書簡の中で、航空機を利用する旅行者の増加や燃費効率の高い自動車需要の高まりなどを背景に、ジェットエンジンからターボチャージャーにわたるIHIの主力事業が急成長を遂げる可能性があると指摘した。
昨年10月22日の記事では
米有力ファンドのサード・ポイントは保有していたソニー株を売却した。サード・ポイントが21日に投資家に送った四半期ごとの書簡で明らかにした。売却時期や手法は不明だが「20%近い利益を得られた」としている。同ファンドはソニーにエンターテインメント事業の分離を求めていた。
(ソニー経営陣が相手にしなかったことによる)
こうしたハゲタカ連中は所有株を高値で売り抜けるたり、高値で買い取らせることが目的であり、株売却益を出すため大法螺ばかり吹く連中ばかりだ。それがハゲタカだが・・・。
会社が自社株買いすることなど真の株主還元策ではまったくない。何か経営者は大きな間違いを犯している。
なお、サード・ポイントが10位以内の大株主に入るには、
購入株価23,000円として、最低240万株が必要でなり総額550億円が必要となる。
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