ベストパートナー解消の危機！？ 『ひゃくえん！』 3巻

ひゃくえん!(3) (ガンガンコミックスＯＮＬＩＮＥ)

それぞれが己の目的を達成するために節約生活で貯金を続ける百円コンビ。
奇妙な隣人も増え、何かと浪費することも多い生活だけれども、
今日も二人は爪に火を灯す勢いで貯金を続けるのであった・・・
非常に作品のジャンルや作品数自体も非常に多岐に渡る遠山えま作品ですが、
今月頭に出た同氏の作品である×しなと比較しても、
よくぞここまで逆方向のベクトルである両作を同時に連載できるなーと。
野菜を育てようとしたら育つまで待てないので成長の早いカイワレ三昧と、
現実的に節約生活をしている場合にありそうなリアル寄りでややシュールなネタもあれば、

新キャラも交えての節約料理対決あり、
こう言う作品として一度は通らねばならない喧嘩もありと、
非常にバラエティー豊かであり、目標までの前途は多難だと実感できます。
のっけから物価の値上がりを直撃した野菜の高騰っぷりに驚愕するところから始まりますし、
一人暮らしとかしてる人にとってはリアルなことこの上ないんだろうなぁ。
そうでなくても食べるラー油フィーバーに踊らされたりとか、庶民的ネタ全開ですよ。
そんな自分は手元に金があると、
ついつい手を出して浪費してしまう百に激しく同意してしまったりしつつ、
そう思ってしまったことに激しく敗北感を感じずにはいられません。
ぃゃもうね、浪費して怒られたときの言い訳が『明日から本気出す』ですよ？

完全にニートの理屈じゃないか・・・

節約アイドルは腹黒く。
本作に新たに参入してきたのは、黒い人こと十夜の妹にして、
節約アイドルグループ『MTN(もったいない)68』に所属する現役アイドルのリン。

ぃゃー実に最近のアイドルってぇのは人数的な意味でインフレが止まりませんなー。
真面目でストイックな兄を持つ妹キャラとして、
かなりヤンデレ入ってるくらいのブラコンと、基本は抑えてますし、
兄と同じ鬼太郎ヘアにツインテールと、なかなかに良いパーツをお持ちです。
ぁ、黒髪ツインテールと言ってもあずにゃんではありませんのであしからず。
更にはブラコンすぎるが故の黒さも兼ね備えていて、
極め付けには中学生ときたもんだ。

このあざとい設定の重装備っぷりがたまらない。
ええ、見事にやられたよ。
可愛いじゃないかこんちくしょう。
と言うか、このグループ、本当にアイドルか？
衣装から食材に至るまで全てが自給自足で、
番組企画・撮影も全て自分たちでって・・・

最早黄金伝説なんてレベルじゃなかった。
と、非常に強烈な個性を持ったキャラクターなので、
兄の十夜が百円コンビの隣人であることも相まって、
今後もちょくちょく登場することになるのかな。
当の節約料理対決は正統派で攻めて来るリンに対し、
百円コンビが完全にぶっ飛んだ返しをする展開に。
まさか1巻のときのそうめん三昧だったことがここで活きてくるとは思いませんでしたけどね。
締めの一品は本作のギャグとしての側面が全面に押し出された形となりました。

うん、馬鹿だけど、そのそうめんは食いたい。

ほんの些細なきっかけから生じた歪みはコンビ解消の危機へと陥れ・・・
同居していると、どこかしらは互いに譲れないところが出てくるものですが、
本作においてもそれは例外ではありませんでした。
きっかけは料理の食べ方についての差異。
自分は手前が食えれば他人の食い方はあまり気にする方ではないけれど、
それでも米粒を残すとかは見てられないところはあったりするから、
やっぱこういう食のこだわり論争って譲れないものがあると
互いに一歩も引けなくなってしまうんですよね。

ちなみに百みたいにカレーにソースをかけたことはないけど、
カレーホットならこれでもかってくらいかけたりはするかな。
(と言うかあれってラー油みたいだけど、厳密には違うみたいですね)
しかしこの手の喧嘩別れは、一度距離を置いてみると、
互いに互いの存在の大きさに気が付くというもの。
しっかりと元鞘に戻ってくれてよかったよかった。

と思ったら、わらしべ長者の回で夢がマイホームまで飛躍していて、
何気に百合度も上がった！？
ここでマイホームなのはあくまで家賃不要だからって意味ではあるのですが・・・

本編とはまた別でぶっ飛んでるのが京華さん。
プリンにしょうゆでウニを躊躇なく挑戦してしまうとは・・・

きっとあれだ、今度はきゅうりに蜂蜜でメロンとかやりだすに違いない。