書評 発達障害サバイバルガイド――「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47 借金玉 2020

発達障害サバイバルガイド――「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47

書評 発達障害サバイバルガイド――「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47 借金玉 2020

あれ、あの本に似てる

発達障害サバイバルガイドを読み終えた。

この本は医療関係者や学者ではなく発達障害当事者の目線で書かれているような気がして新鮮だった。

この本はね。 あれ、あの本に似てると思う。

――完全自殺マニュアル――

「完全自殺マニュアル」は名前の通り自殺の方法が書かれている本である。

「発達障害サバイバルガイド」は「完全自殺マニュアル」と真逆の内容が書かれている感じ。

要するに考え方と環境を変えて生き残るための具体的な方法が書かれている。作中にも自殺予防についても触れていたりするので、死にたい思うほどの辛さを抱えこまないようにするための術がこの本には書かれているような気がした。

本の感想

発達障害者の著者がどうにか生きていくために編み出した47個のコツが収録されている。生活改善の具体的方法から自炊に役立つ調理法、メンタルケアなど、生活全般のライフハックが一冊の本にまとめられている。

この本は実用書なので自分が実践することが大切だと思うのでハック法は自身の目で確認して欲しい。

この本の面白いところは自分が努力しても問題は一時的にしか解決しないことが多いと散々に述べているところ。じゃあどうすれば問題が解決するかというと根本的な問題を解決するためには生活環境に投資して改善する重要だと著者が述べている。ここが面白いと思った。

ハックの注意点としては、実際に借金玉流ハック実践するには、生活の考え方からガラリと変えなきゃいけない場合が多いこと。ライフハックを実践し、失敗しても実践し続けることだとすることだということをこの本から学び取る必要があるということです。

Hack04「ぶっこみ収納」で汚部屋から脱出せよ

モノに投資して環境改善する方法が書かれた本だと思うと興味深く読めたけど、実践しないと自分の生活を変えられないと思うわけで、なので私の実践したHack04の過程とハックについて紹介しましょう。

『Hack04「ぶっこみ収納」で汚部屋から脱出せよ』

・デカいゴミ箱を3つ用意せよ

本著p,42より引用


最初に実践したものは「ゴミ箱を増やすとゴミ捨てに意思の力を使わなくて済むし掃除をサボれる」みたいなハック。

実際にハックを実践しようとすると、ゴミ箱はいくらなのか、サイズ感、や使用時にゴミの臭いなど気にならないだろうか等色々と悩みました。

もう悩むのが面倒なので本で紹介されていた箱を買っていました。Amazonで4箱を購入。


箱が届くと、ゴミ箱として使うには浅い箱でしたがこの箱は有用で、今は綿棒や爪切り、電動ひげそりを突っ込む場所として大変重宝しています。

ゴミ箱増やすだけでも、ゴミ箱の用途や、位置やサイズによって最適なゴミ箱は異なると思ったし。それと、モノの値段に悩み続けました。

結局、ベスト・オブゴミ箱とベストポジションも決めることができませんでした。あと、ゴミ箱3つってけっこう高くない?高いよね?

ハックの実践はひたすらに試行錯誤の繰り返しで大変さも感じました。「サボる」を「ハックする」に置き換えて考えるようになった。そうしたら部屋の掃除も楽しいしハックのせいで貯金が減っていても趣味だと考えられるようになったかな。

ハックの失敗と目的

今気づいたけど、私がハックに失敗したのはサバイバルガイドを真面目に読んでないだけなのかもしれない。

Hack04を確認すると

ページ46の表「ゴミ箱が来いのルール」に""「45リットル・プラスチック製・フタつき」を3つ用意する""

あれ、めっちゃ詳細に書かれてました。あ、ここはちゃんと読んでいたな。確か、路地裏に置いてあるようなポリバケツをイメージしちゃって、そんなゴミ箱を置くのは保留にしたいと思ったんだった。

ゴミ箱ハックの代わりにぶっこみボックスを用意するっていうハックを実践するために箱を買ったことを思い出すことができました。よし、今度こそゴミ箱ハックに挑戦しようかな。

こんな感じでハックも環境改善は楽ではないよってお伝えしたかった。本にも「この本には美味しい一切話は書いてないからね」みたいな文言が冒頭にもあったな。

ハックに失敗することで、私もそのハックの意味がわかってきた感じがします。

最初のハックから最適解を導き出せると思わないほうがいいと思います。なぜかというと、この本はお金でモノを買って生活を改善を狙うハック多いからです。お金がないとハックの実践も厳しいものに見えてしまうことが多い。

みなさんがハックのためにゴミ箱を買うにしても、きっと悩むことでしょう。それは用途に合った形なのか、それは生活にマッチした色と材質なのか、そういった知識を身につけて、ようやくAmazonをクリックする決心がつく。



私が本書で得たもの

本で語られる「楽で快適な生活のために設備投資する」って考え方、好きだ。

ハックを実践したら、ゴミ箱に悩む日々だったし、ゴミ箱に金をかけたいと語る人間というのは周囲からは全く理解が得られないとうこともわかった。だから、ハックを実践すると周囲から理解されない辛さも経験することになるかもしれない。

もし、辛くなったらハックを理解してもらうためのハックを実践すればいいんじゃないかなって考えるようにして試行錯誤を続けようって思ってる。

本書のライフハックを自分なりに紹介

楽で快適な生活を手に入れるために、必要なモノ、考え方簡単にして少し紹介

  • 生活環境に(特に寝具・椅子・机)に投資しよう
  • 毎日使う道具あるでしょ?もっとこだわろうよ
  • 道具の使い方や組み合わせを工夫しよう
  • 自分のための環境を最適化していこう
  • そうやって毎日努力する必要のない仕組みを作っていけば楽だよ
  • 生きづらさ、悩み、自分自身を最優先にできてますか?
  • 「身体を労る」「無理をしない」の意味、立ち止まってもう一度考えてみたら?
  • 生活の面倒事、問題、それは環境の問題かもね

良い考え方がたくさんある本。記憶の限界もあるから今はこれくらい簡単に考えて、ハックを楽しんでいます。

本書に対する批判

本著のように環境に合わせようと努力するのではなく設備投資や道具を使って環境を改善させる方法は有効だと思った。素晴らしい考えだ。

個人的に料理法やスーツの手入れのハックなんかも結構好き。

私はこの本を良書だと思っている。そのため、ハックコミュニティのために貢献するために本の批判や問題点も指摘していきます。

  • 金かかるハックばっか
  • 男の一人暮らしを想定したハックばっか
  • 年齢や性別次第では使えないハックばっか
  • ハック失敗も醍醐味なのにほとんど書いてない
  • 大体2019年以降に考案されたハックは未成熟な印象
  • 著者にとっての古典的なハックがあまり紹介されていないように思う
  • 本著を読んでから本人のブログ記事を読むと気持ちが萎える構造がよくない
  • リラックス法は写真や具体的な記述が少ない
  • Hackとライフハックという言葉が曖昧、章によって読者に誤解を与える書き方になってる
  • モノばかり紹介するのではなく参考文献をもっと紹介してほしい
  • 著者はライターではなくハック研究者としても活動して欲しいと願う
  • 著者の知識や考え方がハックの真髄であるならば、ハックの方法だけでは満足できない
  • ハックに注力しすぎて美味しい所削ってる気がする。もったいない

借金玉氏への提案「ハック成熟のためにコミュニティとラボに設備投資しよう」

  • 本著には発展途上のハックが掲載されている印象
  • 著者のnoteã‚„twitterなどにも独自のハック文化があるはず、文化についても本でも触れてほしかったな
  • 本著からはハック発展させる文化やラボを作ろうと姿勢を感じないからハック文化が途絶えそうで心配になる
  • 脆弱性のあるハックは文化やラボに投資していないせいではないかと考えた
  • 価値観が違えば道具選びには正解がないから読者にとっての工夫と努力のきっかけとなるコミュニティが必要とされているはずだ
  • 借金玉氏はハックコミュニティ作って稼いで欲しいと願う
  • 借金玉氏主催のイベントやワークショップに期待
  • 私は思う。文化とハックあっての借金玉ブランドだと

楽で快適な生活を送ってみた感想

「この本は意識低い系自己啓発書」だと著者が謳っているし、意志の力を極力減らして楽して快適に過ごしましょうと書かれている。がんばって休息しましょうとは書かれているけど、がんばって成功しましょうという雰囲気は一切ない。

著者の特徴は金の使い方だ。借金氏は、椅子は毎日使うから16万円の椅子を使っているし、腕時計マウントを回避するために5万のApple Watchをオススメしている。そういうトコ、うん、豪快でいいと思うよ。むしろ好き。でもさ、高いよ、借金玉、貴方は豪快すぎるのよ。

狂ったように豪快な投資額と身体を労ることへの真剣な語り口。「努力して徹夜するのは怠慢、休息は意思の賜物」といった投げかけ。

ハック法から醸し出される著者のだらしなさ、空気感、雰囲気、借金玉の考え方、私は好きだ。

というわけでこの本は広告収益型ブログの類を書籍化したような本だ。そう言える根拠は著者のブログとnote。

ほんとこの本からはモノを買わせようとする圧をバリバリ感じたね。私は圧に屈して、高級マットレスまで買っちゃいましたよ。貯金は底を尽きたけど寝心地は・・・サイコー♪って感じ。

この本、良書です。

謝辞
この本は読んだ私は大変感銘を受けてたので批判ばかりの記事を書いていました。そんなわけで、公開を迷っていたら、いつの間にか記事の存在を忘却して、お蔵入りしかけていましたが周りの方に協力してもらい改訂版の記事を公開することができました。協力していただいた皆様に感謝申し上げます。

借金玉@syakkin_dama ブログ情報
はてなブログ
http://syakkin-dama.hatenablog.com/
note
https://note.com/syakkindama

引用文献
発達障害サバイバルガイド――「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47 借金玉 2020 ダイアモンド社 pp,42-pp47

参考文献
Arduinoをはじめよう 第3版 (Make:PROJECTS)
完全自殺マニュアル
発達障害サバイバルガイド――「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47

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