お気に入り曲まとめ (2019.7~8)

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 薄い本の原稿作業で昔の音楽ばっかり聴いてました!! 昔といっても10年代だが…

 

 

 

 

Serani Poji / ワンルームサバイバル、ラビットパニック、スマイリーを探して、ぴぽぴぽ、さかな男の物語

公式サイト?:

www.seranipoji.com

 前回取り上げたSerani Pojiの、『Manamoon (まなもぉん)』の次のアルバム『ワンルームサバイバル』より。『Manamoon』は「ひきこもりのピチカート・ファイヴ」なんて書きましたが、今回はもうひきこもってません。眩しい外の世界へスキップしながら飛び出すような、ポジティブでフレッシュなフィーリングに満ちています。

 音楽性の変化として、全体的に曲のテンポが上がったこと、サウンドのこもった感じがなくなったことがあります。後者については、『Manamoon』を聴いたときにはなんとも思わなかったのですが、『Manamoon』に続けて『ワンルームサバイバル』を聴くとけっこうはっきりと違いが感じられると思います。前作はまさにハウス的な、エレクトリックなアプローチでおそらく作られていて、全体的に音色が柔らかく聴き手を音で包み込むような感じがありました(そしてその「感じ」が部屋でのリスニングにマッチしていた)。それが今作では……なんというか、全体的に音がシャキシャキ・ハキハキしていて、とても「外向き」な感じになっているのです。アコースティックなサウンドの比率が増えているのも原因の一つかと思いますが…。

 そしてもっとも大きな変化が、メインのメロディーを担当するボーカルの存在感が増したこと。…もう少し言うと、楽曲が「トラック」から「ソング」に寄ったということです。前作はそもそもゲーム内での使用を前提とした作りで、音楽性もBGMの大枠を外れないものになっていましたが、今作ではそこから一歩飛び出し、アーティスト独自の表現が追究されています。

 うだうだ書きましたが、とにかく爽やかなのがいいです。ちょうどジャケットに描かれている清涼飲料水みたいな…。ゲーム音楽ディスクガイドに感謝。。

 

 

 

 

 

 

 

Nauts, ESTi, TAK / The Q Field, Homework, Q. Ra. Re. Step, Enjoy with Us!, Funtime Pleasure, The Q World, Qupid's Mischief, Quraressimo

vgmdb.net

 「魔法図書館キュラレ」という、韓国のゲーム開発会社Smilegate制作のソシャゲ?のサウンドトラックより。DOMMUNEで行われたゲーム音楽ディスクガイド刊行記念特番「Diggin’ In The VIDEO GAME MUSIC」の二部・DJパートで、おっこれいい曲…と思ったものを調べてみたらこの作品の楽曲だったという…。

 

当日プレイされた楽曲の一部:

 

 ネットで検索すると上に貼った謎のユーザーがサウンドクラウドにアップしたものがヒットする。しかしそれ以外の、公的に聴けそうなページ・販売しているページは見つからず…。ディスクガイドによればクラウドファンディングのリターンとして配布されたのみとのこと。以下、関連するツイをぺたぺたと…

 

 今作はNauts, ESTi, TAKの三人体制で作られたそうです。韓国勢!

 

 Ragnarok Online、TALESWEAVER、TREE of SAVIORなどのゲームは音楽を韓国のアーティストが担当しているようですね。

 

 

 

 

 

 

 とても自分好みの音楽でした。いや本当、すごくよくできた作品なので、ぜひダウンロード販売などしてほしいのですが… これはキュラレに限った話ではなく、いま世に出ているあらゆるゲームに言ってますからね! スマホゲーにブラウザゲー、まあゲーム以外の映像作品もそうなんですけど。別にきちんとフィジカルを作れと言っているわけではないんで……音楽が聴ければいいので……

 

 

 

 

 

 

 

金延幸子 / 時にまかせて
大滝詠一 / びんぼう
岡林信康 / 自由への長い旅
岡林信康 / だからここに来た

www.youtube.com

 動画冒頭で流れている曲が「だからここに来た」(テイクも同じ)。

www.nytimes.com

 地味に消化をつづけているはっぴいえんどBOXの、Disc 8『はっぴいえんど -バッキング音源集-』より。最近よく名前を見かける金延幸子の「時にまかせて」はジョニ・ミッチェルを彷彿とさせる爽やかなフォーク。大滝の投げやり?な歌唱が印象的な「びんぼう」ははっぴいえんどのファンキーなバックがとてもよく嚙み合っている。岡林信康の2曲はどっからのテイクなのかわからんけど、とにかくいい。ライブ盤TSUTAYAで探してこよう…。

 

 

 

 

 

 

 

Caetano Veloso / Você É Minha, How Beautiful Could a Beeing Be, O Navio Negreiro (excerto), Não Enche, Alexandre, Pra Ninguém

www.youtube.com

 1997年発表の名盤『Livro』より。前半も最高でしたが、後半部分がようやく消化できてきたので改めて。#8「How Beautiful Could a Beeing Be」以降の、パーカッシブで元気いっぱいな流れがすばらしい。#8・#9で少し実験的と言えるくらいにリズムに寄った後で、徐々に歌が戻ってきて今まで以上にテンションを上げていく。

 本人の歌はすごく柔らかくて優しげなのに、サウンド的には非常に尖ったこともやっているという、なんというかギャップがあるところが素敵。あとデフォルトで楽曲のアレンジと各楽器の録り音が豊かすぎる。完全にパラメーター振り切れてます。最高に豊かなアルバム。

 

 

 

 

 

 

 

Frank Ocean / Biking (Solo), Provider, Moon River

www.youtube.com

sublyrics.info

 Frank Oceanの、『Blonde』後にリリースされたシングル群をまとめて買って聴いたりしていました。「Biking (Solo)」は歌いだしからもう哀愁~という雰囲気なんですが、最後の「Got, got me fucked up Got a million dollar bike」と連呼するパートが虚しい感じが出ててすばらしい。「Provider」抑制された曲調で、フランクのボーカルもはじめは落ち着いているのだけど、だんだんと溢れる想いが抑えられなくなっていく様子が最高にエモい。2分過ぎ~2分50秒の部分がもうね、本当に最高なんですけど、ここからコーラスに入って一瞬で元の落ち着いたテンションに戻るところもね、必至で取り繕ってるような感じで最高なんですよ…。コーラスで聞こえる高音のなんか、バイオリンのピチカートみたいな音は『Endless』収録の「Comme Des Garçons」って曲を思い出します。「Moon River」デジタル・ゴスペル。複数重ねられたボーカルが神々しい響きを放つ。

 

 

 

 

 

 

 

横沢俊一郎 / 愛してみたり愛されたり

 『ハイジ』の9曲目。ゴツゴツしたリズム隊にギターのアルペジオ、あるいはストロークが乗っかるシンプルな構成で、そうすると歌詞に耳がいくのだけど普通に刺さってくるのであんま意味は理解したくないなあとか思ってしまう。ただの名曲。弾き語りでも良さげ。

 

 

 

 

 

 

 

Moodymann / I'll Provide, Got Me Coming Back Rite Now, If I Gave U My Love, Downtown, Deeper Shadow

jp.residentadvisor.net

 

www.ele-king.net

 Moodymannの新譜『SINNER』より。bandcampでのデジタル版とレコードでは収録曲が違うので注意。自分のはデジタル版です。

 彼の今までの作品すべてを聴いたわけではないですが、今作は史上一番ポップでキャッチーにまとまっているのではないか。#1「I'll Provide」で顕著ですが(というかアルバム全体で顕著だ)、消えたり現れたりする印象的なコードによって巧みに聴き手の気を惹いていきます。ハウス流の飴と鞭とでも言いますか… いややっぱ今までよりも飴の量が多くない? 今まで彼の作品を最初から最後まで聴き通せたことなかったんだけど、今作は普通~にそれができてしまったんだよな… 往年のソウル・R&Bにあったような"甘さ"が今作にもある(Al Greenの『Let's Stay Together』などを思い出す)。

 なんかだんだん楽曲がSSW的になってきているような気もする。単純に曲数・収録時間ともにコンパクトにまとまっているのでこのアーティストの入門としてもちょうどいい作品だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

Thom Yorke / Last I Heard (...He Was Circling the Drain), Twist, I Am a Very Rude Person, The Axe

 レディオヘッドのフロントマン、トム・ヨークの新作『Anima』より。バンド作は聴いててもメンバーのソロ作は聴いてない感じの自分ですが、今作については各所で良い評判を聞いていたので聴いてみたところ、非常に良かったです。

 #2「Last I Heard (...He Was Circling the Drain)」、#3「Twist」どちらも長い時間をかけてビルドアップしていくタイプの楽曲で(ライブで映えそう~)、2つ合わせて前半のハイライトといった感じ。たぶんこれらの曲にハマれればアルバム自体にもハマることができると思います。主要な曲のメロディーが……というか曲の構造もなんですけど、これらの曲の変奏みたいな感じなので。とりあえずこの2曲を続けて聴いてみましょう。とても盛り上がる曲なので大音量で…

 #4「Dawn Chorus」~#5「I Am a Very Rude Person」は#3で上がった温度を冷ますような穏やかでチルな流れ。『The King Of Limbs』の後半の流れを思い出します。というか今作、全体的に『The King Of Limbs』っぽいです。『The King Of Limbs』がトムのソロっぽいのか? 

 

 

 

 

 

 

 

Special Occasion / Jet Ski, Let Me In, Big Wheel

 自分がフォローしている方のbandcampのコレクションで見つけた作品『Ibiza Redux』より。Domenique Dumontの作品を彷彿とさせる、ファニーな音色が特徴のバレアリック・シンセ・ポップ。#3「Jet Ski」なんかはまさに!という感じなのだけど、こういうとぼけたような音色が好きなんですよね…。

 

 

 

 

 
なみのり / 、ワンダー、surf、猫の目

 自分の大好きなバンド、Ragchewshack。のコア的な存在と勝手に思っているボーカル・作曲担当の大野義明さんをたまにネットで検索してるんだけどなんも引っかからないんだよな~…と思っていたんですが、ある日聴いた、「なみのり」という名前のバンドの曲のボーカルがすごくRagchewshackに似てる…!となってから、バンドのツイを遡って遡っていったらやっぱり参加してた~! 支離滅裂な文章ですが、まあそういうことです。

 とりあえず上に貼った「surf」を聴いてみてください。めっちゃいいでしょ? なみのりというバンド名からするにバンドのテーマ曲的な一曲だったりするんだろうか。こんないい曲が無料で聴けるなんて……というのはRagchewshackのときにも思ったことです。10/5にアルバムを出すそうなので期待して待ちます。うへへ…(嬉しくて笑いが漏れてしまう)

 

 

 

 

 

 

 

Kokoroko / Adwa, Abusey Junction 

www.ele-king.net

 自分はまったく知らなかったけれどエレキングの野田努が激推ししているロンドンのバンドKokorokoの、バンド名を冠したEPより。基本的にはエレキングのレビューを読んでほしいのだけど…とりあえず1曲目の「Adwa」を聴いてみてほしい。落ち着いたアフロ・ビートの上でどことなくストリートを感じさせるブルージーなギターが朗々と歌うインスト・ナンバーで、他の人が同様に感じるかは分からないのですが、自分はこの曲から日本のバンドの「さかな」に通じる空気を感じました。なんというかな…いろんなものに翻弄されながらもしたたかに生きる人間の生命力みたいな…なんか急に真面目になってどうしたという感じですが、そういうようなものを感じるんですよね。レベル・ミュージック的魅力というかな…

 #1「Adwa」#3「Uman」がチル力(りょく)高くてよく流すんですけど、他の元気な曲も魅力的です。傑作だと思います。だんだん涼しくなってくる今の季節に最適かも?

 

 

 

 

 

 

 

Disconscious / Hologram Plaza(アルバム)

 ヴェイパーの界隈ではけっこう有名らしい作品。Down Hazard『Afterparty』みたいな…GASの音響でラウンジミュージックやってみたみたいな音楽ないかなあとmallsoftを漁っているときに見つけた作品。『Afterparty』より一年早い!

 どんなに元気のいい曲でもこのモコモコ音響で鳴らされればアンビエントに聞こえてしまう…。このスタイルはだれが完成させたのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

Miami Vice / CULTURE ISLAND

 

 

 フロッピーディスクでのフィジカルリリースということで発表当時からけっこう話題になっていたらしい作品。内容は↑に引き続きもやもやラウンジミュージック。上より約半年早い!けどもやもや度は上ほど強烈ではない。

 別段もやもやラウンジスタイルに特化した作品というわけではなく、いろんなタイプの楽曲が収録されている。括るならば「ヴェイパーウェイブ黎明期の作品」としてくらいで、実際、印象はINTERNET CLUB『DREAMS 3D』などに似ている。なんか中盤でボリュームレベルが急に上がったりするのが玉に瑕だが、基本穏やかで心地よいアルバムである。

 

 

 

 

 

 ようやくリアルに追いつきました。いまだにやることが溜まっているので頑張って消化していきたい。10月中には一度まっさらな状態になりたい…