もちもちおねいまんと4枚の絵

もちはもちや おねいまんはもちもちおねいまんです

効果

かぜをひくわけにはいかないのだよと猫背ぎみであるいている。オリオン座が刻一刻とのしかかる道の途中で、スーパーマーケットに入りためらいながら一番高いヤクルトY1000を買った。春の野原は緑、空は青く雲は白く。ゴールデンレトリーバーをよーしよーしと両手で撫でている。起き上がってみるとよく寝ていた気がする。熱も疲れもストレスさえもなくなってしまった。

春野翠空碧犬毛撫者在 不亦楽乎

 

光線

16階の休憩室はいつもより静かで少しあかるい気がする。16時、北と東それぞれにあるビルのその大ガラスに反射した西の太陽光線がまわりこんでここに集まっていいるからなのである。クレームを引きずりながらも弁当を広げているもちもちおねいまん。小松菜、唐揚げ、つや姫、江戸紫。みんなのこのよきアフタヌーン。

金色の光

 

韜晦

人の心も、物語の先もよめないので、ただ出てきた言葉を追っていくだけ。つかまえようとしないで、触れようとしないでいる。察したとしても打ち消して、言葉だけを待っている。たとえ本当のことではないとしてもいいし、正直にならなくてもいい。深くて暗いところを通って出てきたそれはこれだってことだね。

ふゆげ

 

朝活

銭湯のまんが図書コーナーは畳に座布団。腹ばいになってあからはじまる棚の三段目に並んだ「頭文字D」をひとり畳の上で読んでいる早朝。ガソリンスタンドのレギュラー96円の看板の描写で心をわしづかみにされてしまった。私がプレセアを買ったころの空気だ!じーんとしてごろごろ。それがだいたい一年位前のこと。で今38巻目。

 

    

              ダーツの旅(つづく)

 

彫刻

日本国憲法の第十三条の文字たちは、みんながわかるように、誤解もないように動かないことに決めた。大きく重くなって広々とした丘に順番にそびえたっている。表面は日本刀のように鋭く研ぎ澄まされて日光にも月光にもきらめく。ときどき一文字ずつ回り込んで鑑賞を。

まだ秋でいいかな

 

落葉

今年の感じは嘘でしょ。えーほんとうに?うそでしょみたいな場面があった。たくさん、どっちなのかなあと首を左右に振りながら、地面には昨日の雨がたまっていて、朝日がさして三角形のビリがきらっとかがやく瞬間を見て、ロックミーキスミーベイベーを歌ってしまう。菊水のごろはちを吞んでいて、秋の実りの宝くじが3枚あったことを思い出し一等からしらべてぶん投げてしまう。

あかい糸 りぼん?

 

闘牛

アメリカの地図は選挙速報仕様になって赤に塗りつぶされていく。ひとつひとつの州が牛肉の部位のように見える。例えばこの地図に顔をつけてみたら。その牛が猪突猛進でこっちに駆けてきたら。アメリカ人がマタドールとなる運命しかないとすれば、心が通い合い処しやすいと感じるほうを選ぶしかなかったのではないか。その国はこれ以上の恐怖はあるかと震えた後に作者が赤ボーダーの服で飛び出てきてくれるおとぎの国ではないのだから。

ピクニック 楳図かずお先生を偲んで

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