政治と秋刀魚 240919

 ことし、食欲の秋は政治の秋でもあると『日報抄(240916新潟日報)』は語る▼与野党でかじ取り役を決める選挙が本格化。米国でも大統領選が熱を帯びる。米国の知日派政治学者ジェラルド・カーティスさんに「政治と秋刀魚」という自伝風の日本観察記がある▼カーティスさんは1964年に初来日し、東京の郊外で下宿生活。毎日、大衆食堂で焼いたサンマやお新香、みそ汁などを口にして、和食にはまってしまう▼「お金がなくてもリッチな人生を送れる-。これは、私がその頃の日本人から学んだ大切な教訓である」と記した▼私たちの生活は彼が初来日した頃より豊かになったのか▼庶民の味覚が食卓から遠のき、政治も沈滞したとしたら…。カーティスさんでなくても、そんな秋は迎えたくない。
 (私たちは)裕福で自由な世界を実現できたのか。敗戦後、アメリカ資本主義を受け入れながら、日本経済は半世紀、拡大を続け、そして停滞期に。稼げ稼げと追い立てられ、今の姿は求めていたものか。大事なものを失い、それに代わって何を受け入れたのか。経済力で自由を得ることができたのか。昭和が平成・令和に苦悩を与えていないか。
*画像は24年9月15日の朝日新聞および日本経済新聞より。

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