「サリエリのオペラなど」
やきもちやきの学校
第1幕: レチタティーヴォ "La donna quando vuol già ve la fa!"
サリエリのオペラ、『やきもちやきの学校』の台本を読んでいきます。素人ですので間違いが多いと思います。ご参考程度にご覧ください。 ※2022/10/13、訳などの修正をいたしました。
【第1幕】
訪ねてきた伯爵を追い返したブラッシオは、家にしっかりと鍵をかけ『立ち入り禁止』の看板もかけて安心して出かけていきます。
ですがルマーカに合い鍵を買いに行かせていたエルネスティーナが一枚上でした。ブラッシオの態度に腹を立てている彼女は、戻ってきた伯爵と出かけてしまいます。
ひと息ついたルマーカとカルロッタですが、そこへブラッシオが忘れ物を取りに戻って来ました。
レチタティーヴォ・セッコのシーンが続きます。4分の4拍子、ト長調スタートか。
『婦人は、望んだときには "LA DONNA QUANDO VUOL
既にそれをやりとげている』! GIÀ VE LA FA!"
おお、みじめな私! Oh poveretto me!
どうして? どうやって? Come! in qual modo?
エルネスティーナがかけ替えた張り紙で、何が起きたか察したようです。
そこへ突然、伯爵夫人が現れます。
失礼、お邪魔しても? Scusate, se mi avanzo.
(ここに夫が来ているのね。 (Quì venuto è il consorte:
あの人を驚かせてやるわ) io lo sorprendo.)
浮気現場を押さえてやる、と前に言っていたのを実行しに来たようです。有言実行の女、伯爵夫人。
何のご用でしょう、奥さま? Che comanda, Signora?
似ているようで似ていない境遇の2人が出会ってしまった。いや、結果的には同じような境遇と言えるのだろうか。
女中をお借りしにまいりました。 Son venuta a levar la Cameriera.
それから、よろしければ Intanto, s'è permesso
奥方にご挨拶をさせてください。 m'inchino alla Consorte.
カルロッタは伯爵夫人に貸し出されているのでしたね。
2人は家の中に入ります。
おい、カルロッタ、 Olà, Carlotta,
ルマーカ、奉公人ども。 Lumaca, servitori.
エルネスティーナを呼んでこい。 Ernestina chiamate.
(ああ、はらわたが煮えくり返る!) (Ah qual rabbia ho nel seno!)
勢いよく乗り込んできました伯爵夫人、いよいよ夫と浮気相手に対面すると思うと気持ちの昂ぶりが抑えられない様子です。
カルロッタが再び現れ、伯爵夫人に囁きます(想像)。
(冷静になりましょう) (Stiamo freschi.)
(わからないのよ、 (Io non so,
自分を抑える方法が) come mi freno.)
動かないカルロッタに、ブラッシオは言います。
呼びに行けと言っているんだ。 Vanne a chiamarla, dico.
おい、わからないのか? Che! non sei persuasa?
カルロッタは仕方なく答えます。
どなたをお望みですか? Chi vuole?
私の妻だ。 Mia consorte.
ルマーカも仕方なく答えます。
家の外です。 È fuor di casa.
何ですって? Come?
この伯爵夫人のセリフは、ブックレットにありません。楽譜や当時の出版台本にはあるので、書き落とし?(時々書き漏れはある)
家の外だと? Fuori di Casa?
どこへいったんだ、 Dov'è andata,
こののろま。 bifolco?
ブラッシオはルマーカを罵り、伯爵夫人はカルロッタを問い詰めます。
出かけたの? È sortita?
誰と? Con chi?
話せ! Parla.
お言いなさい! Favella.
2人の圧が強い。
まずは買い物をして、 Prima a far delle spese,
その後は精神病院に! va poscia ai pazzarelli!
ここ、ルマーカ役の歌手さんの『圧に負けて吐いちゃう』感じの演技がとてもいいです。
彼女は出かけました、 Ella sortita
あなたのご主人と。 è con vostro marito.
厚かましい! Impertinente!
身の程知らず! Temeraria!
図々しい! sfacciata!
ああ、見つけ出して Ah se la trovo
思い知らせてやりたい。 vo lasciarle un ricordo.
さぞ素敵なお姿でしょうね、 O che bella figura
下々のものとうろつき回るのは。 da girar col bracciante!
平民の、 Una plebea
商人の妻と。 moglie d'un Mercatante.
頭が下がるわ、恥じないなんて Stimo, non si vergogna
私の夫と出かけることを! d'andar con mio marito.
マントに隠れてもわかるものよ、 Benchè vada in mantiglia
誰の妻で、 si sa ben di chi è moglie
誰の娘なのかね! e di chi è figlia.
頭に血が上った伯爵夫人、優美さとは無縁なお言葉をぽろぽろと……。中尉が聞いていなくて良かった。
そう言いたい気持ちはわからないでもないですが、一応、ここ、他人の家ですし。
この人、なんていうか、あのひねくれた夫を相手にするには単純すぎるのかもなあ。
『私の夫と出かけても d'andar con mio marito』は、ブックレットには載っていません。楽譜にはありますが、当時の出版台本でも消されています。
おお、みじめな私。 O poveretto me!
ブラッシオはなぜ嫁に対してはそんなに弱気なのか。惚れた弱みなのか。
素晴らしい、 Bravo,
素晴らしすぎるわ。 bravissimo!
なんて都合のいい夫! Che comodo marito!
伯爵夫人。素の(きつい)性格が出ちゃってます、落ち着いて。
そのあざけりの言葉に自分を取り戻したのか、
私もたいへん驚いています。 Io sono sbalordito.
ルマーカ、私と来い。 Lumaca, viemmi appresso.
彼らを見つけ出します。 Li voglio ritrovar.
それでは失礼。 Con suo permesso.
ブラッシオは伯爵夫人にお辞儀をし、ルマーカを連れて立ち去ります。
ここから伯爵夫人のアリアですが、次のパートが長いので今回はここまでにいたします。
お付き合いいただきありがとうございました。
=続きます=
【第1幕】
訪ねてきた伯爵を追い返したブラッシオは、家にしっかりと鍵をかけ『立ち入り禁止』の看板もかけて安心して出かけていきます。
ですがルマーカに合い鍵を買いに行かせていたエルネスティーナが一枚上でした。ブラッシオの態度に腹を立てている彼女は、戻ってきた伯爵と出かけてしまいます。
ひと息ついたルマーカとカルロッタですが、そこへブラッシオが忘れ物を取りに戻って来ました。
レチタティーヴォ・セッコのシーンが続きます。4分の4拍子、ト長調スタートか。
『婦人は、望んだときには "LA DONNA QUANDO VUOL
既にそれをやりとげている』! GIÀ VE LA FA!"
おお、みじめな私! Oh poveretto me!
どうして? どうやって? Come! in qual modo?
エルネスティーナがかけ替えた張り紙で、何が起きたか察したようです。
そこへ突然、伯爵夫人が現れます。
失礼、お邪魔しても? Scusate, se mi avanzo.
(ここに夫が来ているのね。 (Quì venuto è il consorte:
あの人を驚かせてやるわ) io lo sorprendo.)
浮気現場を押さえてやる、と前に言っていたのを実行しに来たようです。有言実行の女、伯爵夫人。
何のご用でしょう、奥さま? Che comanda, Signora?
似ているようで似ていない境遇の2人が出会ってしまった。いや、結果的には同じような境遇と言えるのだろうか。
女中をお借りしにまいりました。 Son venuta a levar la Cameriera.
それから、よろしければ Intanto, s'è permesso
奥方にご挨拶をさせてください。 m'inchino alla Consorte.
カルロッタは伯爵夫人に貸し出されているのでしたね。
2人は家の中に入ります。
おい、カルロッタ、 Olà, Carlotta,
ルマーカ、奉公人ども。 Lumaca, servitori.
エルネスティーナを呼んでこい。 Ernestina chiamate.
(ああ、はらわたが煮えくり返る!) (Ah qual rabbia ho nel seno!)
勢いよく乗り込んできました伯爵夫人、いよいよ夫と浮気相手に対面すると思うと気持ちの昂ぶりが抑えられない様子です。
カルロッタが再び現れ、伯爵夫人に囁きます(想像)。
(冷静になりましょう) (Stiamo freschi.)
(わからないのよ、 (Io non so,
自分を抑える方法が) come mi freno.)
動かないカルロッタに、ブラッシオは言います。
呼びに行けと言っているんだ。 Vanne a chiamarla, dico.
おい、わからないのか? Che! non sei persuasa?
カルロッタは仕方なく答えます。
どなたをお望みですか? Chi vuole?
私の妻だ。 Mia consorte.
ルマーカも仕方なく答えます。
家の外です。 È fuor di casa.
何ですって? Come?
この伯爵夫人のセリフは、ブックレットにありません。楽譜や当時の出版台本にはあるので、書き落とし?(時々書き漏れはある)
家の外だと? Fuori di Casa?
どこへいったんだ、 Dov'è andata,
こののろま。 bifolco?
ブラッシオはルマーカを罵り、伯爵夫人はカルロッタを問い詰めます。
出かけたの? È sortita?
誰と? Con chi?
話せ! Parla.
お言いなさい! Favella.
2人の圧が強い。
まずは買い物をして、 Prima a far delle spese,
その後は精神病院に! va poscia ai pazzarelli!
ここ、ルマーカ役の歌手さんの『圧に負けて吐いちゃう』感じの演技がとてもいいです。
彼女は出かけました、 Ella sortita
あなたのご主人と。 è con vostro marito.
厚かましい! Impertinente!
身の程知らず! Temeraria!
図々しい! sfacciata!
ああ、見つけ出して Ah se la trovo
思い知らせてやりたい。 vo lasciarle un ricordo.
さぞ素敵なお姿でしょうね、 O che bella figura
下々のものとうろつき回るのは。 da girar col bracciante!
平民の、 Una plebea
商人の妻と。 moglie d'un Mercatante.
頭が下がるわ、恥じないなんて Stimo, non si vergogna
私の夫と出かけることを! d'andar con mio marito.
マントに隠れてもわかるものよ、 Benchè vada in mantiglia
誰の妻で、 si sa ben di chi è moglie
誰の娘なのかね! e di chi è figlia.
頭に血が上った伯爵夫人、優美さとは無縁なお言葉をぽろぽろと……。中尉が聞いていなくて良かった。
そう言いたい気持ちはわからないでもないですが、一応、ここ、他人の家ですし。
この人、なんていうか、あのひねくれた夫を相手にするには単純すぎるのかもなあ。
『私の夫と出かけても d'andar con mio marito』は、ブックレットには載っていません。楽譜にはありますが、当時の出版台本でも消されています。
おお、みじめな私。 O poveretto me!
ブラッシオはなぜ嫁に対してはそんなに弱気なのか。惚れた弱みなのか。
素晴らしい、 Bravo,
素晴らしすぎるわ。 bravissimo!
なんて都合のいい夫! Che comodo marito!
伯爵夫人。素の(きつい)性格が出ちゃってます、落ち着いて。
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私もたいへん驚いています。 Io sono sbalordito.
ルマーカ、私と来い。 Lumaca, viemmi appresso.
彼らを見つけ出します。 Li voglio ritrovar.
それでは失礼。 Con suo permesso.
ブラッシオは伯爵夫人にお辞儀をし、ルマーカを連れて立ち去ります。
ここから伯爵夫人のアリアですが、次のパートが長いので今回はここまでにいたします。
お付き合いいただきありがとうございました。
=続きます=
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Re: ツバサさん
コメントありがとうございます。
時限爆弾がついに爆発! という感じですね(^^;
伯爵夫人は真面目だけれど感情的になりやすいタイプかもですね。
そろそろ第1幕も大詰めですので、お付き合いいただけましたら幸いです(^^)/
時限爆弾がついに爆発! という感じですね(^^;
伯爵夫人は真面目だけれど感情的になりやすいタイプかもですね。
そろそろ第1幕も大詰めですので、お付き合いいただけましたら幸いです(^^)/
- #16241 椿
- URL
- 2020.11/14 15:35
- ▲EntryTop
NoTitle
結論が出ました。もし二組の夫婦の組み合わせを変えても、
こいつらでは結婚生活がうまくいくわけがありません(笑)。
一刻も早く思想を改造する必要があります(^^;)
こいつらでは結婚生活がうまくいくわけがありません(笑)。
一刻も早く思想を改造する必要があります(^^;)
Re: ポール・ブリッツ さん
コメントありがとうございます。
ひとりひとりが、夫婦としての相手とのつきあいかたをよくわかっていないんでしょうね(^^;
パートナーを尊重して、適正な距離を取ることができていない。
一番距離感が取れていないのはブラッシオでしょうが、エルネスティーナもまだまだ妻というより娘気分だし。
伯爵夫人も夫に自分の理想を押し付けすぎだし、伯爵に至っては結婚制度を理解している感じがしませんし(笑)
これじゃうまくいきようがないですね……。
ひとりひとりが、夫婦としての相手とのつきあいかたをよくわかっていないんでしょうね(^^;
パートナーを尊重して、適正な距離を取ることができていない。
一番距離感が取れていないのはブラッシオでしょうが、エルネスティーナもまだまだ妻というより娘気分だし。
伯爵夫人も夫に自分の理想を押し付けすぎだし、伯爵に至っては結婚制度を理解している感じがしませんし(笑)
これじゃうまくいきようがないですね……。
- #16247 椿
- URL
- 2020.11/15 14:32
- ▲EntryTop
NoTitle
>まずは買い物に、その後は…
東京ウォーカー(←死語w)でさえ、思いつかないような絶品デートコース!(^^;
>おお、みじめな私
♪しーらけどーり とーんでいーく 南のそぉぉらーへ
東京ウォーカー(←死語w)でさえ、思いつかないような絶品デートコース!(^^;
>おお、みじめな私
♪しーらけどーり とーんでいーく 南のそぉぉらーへ
- #16249 ひゃくはヘンタイ(^^)/
- URL
- 2020.11/15 15:42
- ▲EntryTop
Re: ひゃくはヘンタイ(^^)/ さん
コメントありがとうございます。
> 絶品デートコース!(^^;
趣味が悪すぎますよね……(;・∀・)
> 南のそぉぉらーへ
あれ、何だか知らないけど大好きだったんですよねえ……。
よく歌っていたものです。
> 絶品デートコース!(^^;
趣味が悪すぎますよね……(;・∀・)
> 南のそぉぉらーへ
あれ、何だか知らないけど大好きだったんですよねえ……。
よく歌っていたものです。
- #16279 椿
- URL
- 2020.11/15 22:00
- ▲EntryTop
Re: 花よりラーメン、紅葉よりひゃく さん
コメントありがとうございます。
しかも踊ってました(笑)
小学生女子なんてバカなものですね……(^^;
しかも踊ってました(笑)
小学生女子なんてバカなものですね……(^^;
- #16360 椿
- URL
- 2020.11/23 22:00
- ▲EntryTop
Re: ひゃくらを見る会 さん
コメントありがとうございます。
> オトナになっても、そんなものさ(爆)
残酷な真実……(^^;
> オトナになっても、そんなものさ(爆)
残酷な真実……(^^;
- #16446 椿
- URL
- 2020.12/01 18:27
- ▲EntryTop
NoTitle
思わぬところ伯爵夫人が登場しましたね。
そして、二人で出掛けてしまったという事がバレて、
ここから更に大変な事になりそうですね^^;
伯爵夫人もかなりお冠のようですし、
この怒りは当分収まりそうにないですね~。
伯爵夫人のアリアも楽しみです(´∀`)