きちログ

よくネットワークの勉強をしています

2年間のネットワークの学習を振り返る

はじめに

ネットワークをやってみたいけど、前提知識が多そうだしなにからやればいいのか分からない、という声を最近何度か聞くので、私がネットワークについて学習したことをまとめていこうと思います。 誰にでも再現性がある話ではなく私自身まだ未熟ですが、私はここ2年間でほぼゼロの状態からネットワークの学習を始めてネットワークエンジニアに転職しているので、割と短期間でネットワークを学習した例として、なにか参考になればと思います。

2021年秋(大学3年生)

ネットワークがなにも分からなかった時期です。
L2スイッチとL3スイッチの違いも、プロキシの意味すら知らなかったです。ネットワークについて分からないことを調べても、解説記事の内容が理解できない状態でした。しかしこのタイミングで応用情報技術者試験を受験して、午後の選択科目ではネットワークを選択していました。(ネットワークは2問しか正解していませんでした。そして運よく合格しました)

2022年秋(大学4年生)

ネットワークが少し分かるようになった時期です。
当時は内定先の企業の方に「秋に支援士受けます!」と軽率に宣言した責任をとるため、情報処理安全確保支援士の勉強をしていました。DNSを用いた攻撃の勉強を通してCNAMEレコードの意味を知ったり、認証サーバーの問題を通して認証のフローを知ったり、というように、セキュリティを通じてネットワークの基礎知識を学んでいました。

2022年冬(大学4年生)

ネットワークにのめり込んだ時期です。
きっかけは本当にしょうもないのですが、当時仲良くなった友達とネットワークジョークを楽しみたいというものでした。ネットワークジョークを楽しむために、1日3~6時間くらいネットワークを勉強しました。勉強したのは大体このあたり。

  • マスタリングTCP/IP
    初心者向けに主要プロトコルを解説している書籍です。まずはこの本から読み始めましたが分かりやすく、1か月くらいで2周読みました。歯医者の待ち時間や電車でも読んでいました。

  • ネットワークエンジニアとして
    ネットワークの基礎から応用までを幅広く解説しているサイトです。CCNAイージスを端から端まで読んでいました。毎日新しいネットワークやサーバーについて勉強できて楽しかったです。

  • ネットワークスペシャリスト試験
    ネスぺの参考書です。少し難しそうだったので、マスタリングTCP/IPを読了してから読みました。この本は今でも分からないことを調べるのに使います。

  • CCNA完全合格テキスト&問題集
    Cisco機器の仕様や設定方法、主要プロトコルを解説している書籍です。実機操作も勉強したくなり、大学で本を借りて読みました。CCNAについては1か月だけping-tに課金して問題演習をしましたが、受験料が高かったので試験は受けませんでした。

  • まさるの勉強部屋
    ネットワークやセキュリティについて、非常に分かりやすい解説動画を上げているYouTubeチャンネルです。よく本で見るネットワーク構成を実際に動かして解説する動画もあるので、実際のネットワークのイメージをつけることができました。

    きっかけは些細なものでしたが、段々と「面白いから勉強している」状態になりました。当時私は大学の備品置き場で学生に機材を貸し出すアルバイトをしていましたが、3時間に1回くらいしか貸出業務が発生していなかった(誰も来なくて暇だった)ので、バイト中によくネットワークの勉強をしていました。
    この時期にネットワークの基礎が固まったと思います。L2スイッチとL3スイッチの違い、ダイナミックルーティング、ループはどんな仕組みで防止しているとか、トンネリングとか暗号化とか、色々広く勉強しました。

2023年春~冬(新卒1年目)

仕事でネットワークを扱うようになりました。
SIerに就職したのでプログラマーになるつもりでしたが、偶然ネットワークの業務を中心に携わることができ、小規模社内ネットワークの導入から保守まで担当しました。あとネットワークスペシャリスト試験に合格しました。
実はこの年に大きめの手術をしました。そのため春~冬はとにかく体が弱く、空き時間に勉強するのが難しくなりましたが、『ネットワークはなぜつながるのか』は面白すぎて読了しました。この本は自宅のPCのリクエストがインターネットを経由してWebサーバーに至るまでの道のりが解説されていますが、特にWANについては知識が薄かったため、非常に参考になりました。入院中も気晴らしに読んでいた記憶があります。

2024年春(新卒2年目)

転職の準備を始めた時期です。
実はSIerでは一時的にネットワーク系の業務をできているだけで、数年以内に異動してプログラマーになることが確定していました。同時に配属後の業務を通じて、オンプレミスのネットワーク構築を仕事でやってみたいと考えるようになっていました。
転職にあたってネットワーク系の業務経験が少ないと感じて、おうちKubernetesをしたり、自宅にNASを建てたりして自主開発の実績を作りました。あとはInterop Tokyo 2024に参加して、生成AIを使ってネットワークの運用管理のコストを下げられるお話を聞いていました。また、ping-tでCCNAの勉強をして受かりました。試験の難易度の割に受験料が高いので誰もが受験する必要はないと思いますが、試験対策に使ったping-tは問題演習を中心に進めていくので、良い学習になりました。

2024年夏(新卒2年目)

転職が無事終わり、IT企業からネットワークエンジニアとして内定をいただきました。
忙しい転職活動から解放された勢いで、自宅に小さなサーバーラックを設置して、ルーターと内線電話機2台を置きました。内線電話機は互いに電話を掛けたり、モーニングコールを設定したりできるようにしました。ルーターの設定とトラブルシューティングを自力でなんとかできるようになっていたのは、CCNAの試験対策をしたことが大きかったです。

2024年秋(中途3か月)

転職先に中途入社しました。ここでは実機を触ることが多く、毎日コンソールケーブルを抜き挿しするようになりました。DHCPリレーエージェントとかPPPoEとか、知っていたけど試したことがない技術を実際に試していました。やはり手を動かしながら学ぶことの効果は大きいなと感じています。

結論

ネットワークの勉強をなにから始めたらいいのか、という方にはマスタリングTCP/IPをお勧めします。その上で、実機を触ってみたい方は中古で購入して、実際に触ってみるとよいと思います。ちなみに私が初めて購入したのはCisco 891FJです。設定方法はネット上に解説記事がたくさんありますし、CCNAの参考書を買って掲載コマンドを試してみても面白いと思います。
実機を触るハードルが高い方は、まさるの勉強部屋を覗いてみてください。実機を組み合わせて実現できることのイメージが具体的になると思います。まさるさんと同様、Cisco Packet Tracerで勉強した技術を手軽に試してみるのもありだと思います。