CAT GETTING OUT OF A BAG

What the tester is thinking.

しいばさんのこと

しいばさんに感じる「良いイメージ」は、いったいどこからくるのだろうと、前から思っていた。昨日おしゃべりしてわかった感じがする。いや、5年前にとちぎでお会いして、そのときからたぶんわかっていた。この感じを、忘れないうちに書き留めておこうと思う。

しいばさんは、より良い開発がしたくて、いろんな仕組みを取り入れながら、試行錯誤をくりかえし、チームや組織がいい感じになるようにサポートしている。また、アプリケーションアーキテクトとしても活躍している。

一緒に仕事したこともないし、しいばさんの職場を見学したわけでもないけど、ブログや講演スライドから伝わってくる「それ」から嫌な感じを受けないのは、なんでなんだろうと不思議に思っていたのだ。*1

良いイメージはどこから?

  • 周囲の人たちに気を配り、みんなが気持ちよく仕事ができるようにするには、どうしたらいいかなって、いつも考えてるところ。
  • じぶんの手柄にするみたいなの、まったく感じない(感じさせない)ところ。
  • かっこつけないところ。
  • どこかで見たようなフレーズではなく、自分の言葉で話してくれるところ。
  • むずかしい言葉を使わないところ。
  • 知ったかぶりをしないところ。
  • 人の話をそのまま聞いてくれるところ。
  • ほんとうに自分でやってるところ。(号令をかけるだけ、仕組みを用意するだけではない)
  • いつも穏やかそうなところ。
  • なんでもまず受け入れてくれそうなところ。
  • わからないことはわからないなーと言ってくれそうなところ。
  • 嘘がなさそうなところ。

わたしだって、周囲の人たちが嫌な気持ちにならないように言動には注意してる。たいていの場合はそのように行動できてると思う。しかし「前からそうなってます(だから直さなくていい)」などと言われると「なにーーー!!」(すべてのバグはだいたい前からそうなってるだろ!!!その論理が通るならすべてのバグは直さなくていいってことになるだろ!!そうじゃないだろ!!)という気持ちが溢れ出てしまう。言葉を発しなくても、まわりの人たちに伝わっていると思う。そういうダークな部分がしいばさんからは感じられない。はっ、もしかしたら単にこちらには見えてないだけなのかな。ということは、わたしももうすこし工夫すれば……と、考えてしまうあたりが、惜しいよね。

ラクティスありきではない

これはしいばさんご本人のことではなく、しいばさんがやってること、やろうとしていることについての感想。しいばさんの話は「プラクティスありきではない」と感じるから、気持ちいい。アジャイルアジャイルしてないし、スクラムスクラムしてないのがいい。しいばさんのブログを読むとアジャイルだしスクラムなので、なにを言ってるのか、わからないかもしれないが。

bufferings.hatenablog.com

普段やってることをブログにまとめたり、誰かに伝えるために、わざわざ書き起こそうとすると、どうしてもそういったプラクティス(名前)が前面に出てきてしまう。言葉にするとそうなってしまうのだ。*2

言葉としてのプラクティスは強すぎて、暴力的に感じることすらある。「うちも朝会やってますよ。同じですね!」とか。そうなんだけど、そうじゃないんだよな……同じではないと思うんだよ……と思っている。

「プラクティスありきではない」と感じるのは、どんなときも解決したいことに目が向いてるからだ。昨日聞いた話もまさにそうだった。「うちのチームも朝会をやってみよう。昨日何をやったか? 今日何をやるか? 困っていることは? を、ひとりずつまわして話してみよう」ではなく「開発で問題になる前の個人の気がかりを、なるべく早くみんなのものにしたいな。運用の問い合わせや調査の依頼、突発の対応もあるんだよ。チームとして今日1日をどう過ごすのかの計画を立てたいんだ。どうすればいいかな。エンジニアだけでなく、プロデューサーもいたほうがいいよね。それから……」これらの活動や仕掛けを全部ひっくるめて「朝会」とか「デイリースクラム」と呼んでいるだけに過ぎない。この違いは大きい。

おしゃべりのあと

うちのチームの @vestige_ が「しいばさんが眩しい」とツイートしていて、ほんとうにそうだなと思った。キラキラではないほうの眩しさを感じた。

使用したマイク

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ソフトウェアテスト293の鉄則

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もしかして

druby.hatenablog.com

*1:会社員としてのわたしが「開発プロセス◯◯活動」や「なんとか推進ワーキンググループ」などに、これまであまり良いイメージを持ってこなかったのも影響していると思う。

*2:このへんは、ラムダノートの鹿野さん(編集者)のようなプロの手にかかれば、どうにかなるのかもしれない。