2024年7月2日(火)
6月議会、一般質問の2つ目は、国会で可決したばかりの離婚後「共同親権」導入について質問しました。
本法案最大の問題は、離婚する父母が同意していなくても、裁判所が離婚後「共同親権」を定め得る点にあります。
私も、家族の暴力を避け、住所をそのままに他市に避難されている方の相談を受けたこともあります。逆に家族の暴力を受けながら、避難できずにいる人もいます。
今回の民法改定案は、5月17日の参議院本会議で可決、成立しました。
具体的には今後2年以内に施行となる予定ですが、父母の合意がないまま、裁判所が親権の「共同行使」を求めれば、再び虐待にあいかねないという指摘もあります。それを裁判所が決することはリーガルアビューズ(法的な虐待)となりかねない…とも。
実際、別居や離婚経験者の58%が離婚後の虐待にあったと答えており、しかも子どもの面前で虐待を経験した人は調査した582人中431人にのぼるとのデータもあり、深刻な事態が避けられないと指摘されています。
しかも、過去のDVや虐待についても、被害者のみの証言では証拠とされず、「共同親権」になりかねないという心配もあります。配偶者からの暴力によるけがを治療する医療機関ですら、裁判所が「共同親権」とすれば、医療機関がリスクを避けるために、医療行為を控えざるを得ないケースもあり得るとの指摘もされています。
もし、池田市でこうした事態が起きた時どう対応するのか、国連・子どもの権利条約はもとより、池田市も子ども条例に加えた「子どもの最善の利益」が損なわれかねないのではないか…と市の見解を求めました。
この点について、市長は、「父母間の協議が整わず、裁判所が父母の双方又は一方を親権者と指定する場合には、子への虐待やDVの恐れがある等この利益を害する場合には単独親権とすると、法に規定されている」との答弁にとどまりました。
現実の裁判では、被害者本人のみの証言では証拠とされないという事例もあり、裁判所が被害者の立場に立ちきれない可能性が残されています。
こうした中でせっかく避難してこられている人たちが、守られるのか、その時池田市は被害者を守り切れるのか、法令順守だからこそ、法が正しく子どもを守れるのかが問われることになります。
答弁では、衆議院・参議院の付帯決議で、子の利益の確保状況等について不断に検証し、必要に応じて制度見直しの検討を求められていることから、今後とも国の動向を注視していく…とのことでした。
何よりも「子どもの最善の利益」とは何か、裁判の決定が被害者を生み出すことの無いよう、チェック機能の果たせる裁定がなされることを期待します。「虎に翼」(NHK)の寅子のように…。