日韓戦2連敗中---無線業界で、イチローを待望する

野球は特に好きではないのだが、このところのWBCにはコーフンしている。西海岸にいるせいもあって、松井よりイチローのほうがもともと好きだが、彼の一連の物議発言とその行動にはちょっとビックリ、かつ見直してしまった。どこまでワザとやっているのかわからないが、彼のあの発言や行動が、他の日本選手にとって何かの材料になったと思うし、唯一(?ですよね)の大リーグ組のリーダーとしての役割を果たしていると思う。そして、アメリカのマスコミも彼にはおおむね好意的なようである。すでに、地位を築きしっかりファンを持っているからである。

さて、無線業界でも、目下日韓戦は2連敗中である。一戦目、デジタルへの移行の際には、日本市場を重視してアメリカを捨てた日本の端末メーカーに対し、韓国は政府をあげてアメリカのキャリアにはいりこみ、SamsungとLGはすっかり人気ブランドとして定着した。日本は、ドコモがW-CDMAで世界標準をつくり、その優位を生かして世界に出る予定だったのが、W-CDMAがコケたのと、日本市場の「ガラパゴス化」(どなたかのブログで使われていた用語ですが、あまりにぴったりですばらしいのに、出所をBMするのを忘れました・・ご存知の方がおられましたら、教えてください)のために、日本メーカーは完敗した。

(・・と思っていたら、ガラパゴス化はすでに普通名詞化しているようだ・・・http://techon.nikkeibp.co.jp/free/article/20040310/102355/)

二戦目は、まだ幕があがったばかりのブロードバンド無線。といっても、昨年のモバイルWiMAXの標準化での暗闘では、日本はもう参戦すらしていないといったほうが正確。韓国勢は、なんだかんだで、自国標準のWiBroを802.16eにうまいこと押し込んでしまった。世界の実験場となっている韓国で、WiBroを先行して展開し、標準分裂の危機を演出して、WiMAX陣営の大将インテルにプレッシャーを与え、妥協に持ち込んだ。W-CDMAの標準化のときのドコモと似たような経緯だが、大きな違いは、すでにSamsungとLGが欧米でキャリアに食い込んでいることだ。このため、スプリント・ネクステルの2.5GHzサービス向けに、いくつか試されている技術候補には、SamsungのWiBroも並んでいる。

二戦目は、まだ決着がついたわけではない。標準に押し込んだといっても、WiBroをサポートしている欧米のメーカーは今のところなく、スプリント・ネクステルもWiBroは候補の一つというだけで、他にもWiMAXやTD-CDMAなども試している。でも、日本メーカーでは、過疎地向け固定WiMAXで富士通が頑張っている程度しか、この分野では私は知らない。(WiMAXをやるというと、ドコモの逆鱗に触れるからだろうと思うが・・・)それも、今のところ期待より静かなのである。

まだまだ、本当に使えるのかどうか、市場があるのかどうか、わからない無線ブロードバンドだが、アメリカではすでに2.5GHzがあるし、新しい周波数を割り当てる動きもあり、ゾンビ化している700MHzが生き返ったりしたらこれまた面白い。3Gと違って、需給に直接インパクトのある技術であるため、市場の大きな不連続を引き起こす可能性がある。どういうことかというと、マスコミは3Gというと、動画だのマルチメディアだのと騒ぐが、本来音声に最適化された技術の続きであり、音声チャンネルでみた容量は、2Gデジタルと大して変わらない。1.5倍とか言われている。その割に、設備にも端末機器開発にも莫大な投資がかかる。割に合わない技術だと私には思える。これに対し、無線ブロードバンドは、まだ種々未知数の部分も多いが、いろんな意味で、無線データ通信のインフラ供給量がどーんと増えるはずなのだ。

で、新規参入しようと思ったら、技術の不連続点の時期を狙う必要があるとしたら、もうこの世界で戦おうと思っているメーカーは、名乗りを上げていなければいけない。うーん、また日本は連敗かな・・・

日本の連敗を、イーアクセスの千本さんや、下記記事のように、政府のせいにするのは私は好きでない。ドコモのせいと言えばそういう面もあるかもしれないが、基本的にはメーカーの戦略の問題だと思っている。

http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/425062

誰か、イチローみたいに、アメリカでもリスペクトされ人気を得て、実力で地位を築いたリーダーが、出てきてほしいものだと思う。

なぜ、松井でなくイチローなのか、という話もあるのだが、これは次に書きます。