「オスプレイ」とは結局何だったのか? 米軍以外の採用“陸自だけ”という辛らつ現実、26年生産終了で総括する

キーワード :
, ,
屋久島での墜落死亡事故により、運用が一時停止されているV-22オスプレイだが、米国が同機の調達を終了する方針を固めたと報じられた。これによって、2026年に最終号機が納入された後、メーカーのオスプレイ生産ラインは閉鎖される。

生産終了が決定

V-22オスプレイ(画像:写真AC)
V-22オスプレイ(画像:写真AC)

 屋久島での墜落死亡事故により、運用が一時停止されているV-22オスプレイだが、米国が同機の調達を終了する方針を固めたと報じられた。これによって、2026年に最終号機が納入された後、メーカーのオスプレイ生産ラインは閉鎖される。

 生産終了の理由は、既に予定調達機数が満たされ、

・米軍が追加調達を行う意向がない
・外国による注文も獲得できていない

ことだという。米軍以外にオスプレイを採用したのは、

「日本の陸上自衛隊だけ」

となる。量産型のオスプレイには、

・海兵隊向け:MV-22B
・空軍向け:CV-22B
・海軍向け:CMV-22B

があるが、機体システムは基本的に同一である。本機の開発は陸軍を含む4軍共同の「統合垂直離着陸機(JVX)」構想によって始まったが、肝心の陸軍は後述するとおり計画を離脱し、オスプレイを運用していない。

 陸軍に見放されたオスプレイの開発は、海兵隊を中心に進められることになったが、その目的は老朽化したCH-46ヘリコプターの置き換えであった。CH-46は日本の川崎重工でもV-107としてライセンス生産され、陸海空の自衛隊で各種任務に使用された汎用(はんよう)ヘリコプターである。

 自衛隊ではV-107の後継としてH-60シリーズのヘリコプターを運用しているが、米国海兵隊はH-60シリーズを(大統領輸送機を除いて)採用していない。そのため海兵隊は、自衛隊よりも遅くまでCH-46を使い続け、オスプレイの完成を待つことになった。

 ヘリコプターと飛行機という、両方の飛行形態を兼ね備えるティルト・ローターというアイデアは、古くから存在していた。しかし、それを実現するメカニズムや制御機構の実現は困難で、形態を遷移するときの姿勢制御など、

「人間の操縦に頼れない問題」

もあった。

全てのコメントを見る