沙東すず

以前はメレ山メレ子という名前で「メレンゲが腐るほど恋したい」というブログを書いていました

日記(2024年10月7日~2024年10月13日)

2024年10月7日 月曜日
お昼休み、インスタのDMを見ると二件のフォロー外からのメッセージがあった。通知を切っていて数日気づかなかったのだが、二件ともプチ衝撃の内容だった。
一件は「この芸人さんのリールの背景に使われているのは、あなたの書斎の写真ではないですか?」というもの。
もうひとつは「別府出身の有名人を検索していてあなたにたどり着いたのですが、地元で同じクラスではありませんでしたか?」
それぞれ返事に気を遣う内容で、ただでさえ散らかっている脳がいっそう混乱する。


とりあえず一件目について、リールを確認してみるとたしかに芸人さんが喋っている背景がわたしの本棚。「男女は脳のつくりから違うのよ」みたいなことを言っていて、内容にもちょっとカチンとくる。
わたしの書斎は「男の書斎」への軽いアンチテーゼなので、それを「拾い絵」として、男の人の男女語りの背景にされるのって、なんだか腹立つなあ。
とりあえず背景は変えてほしいし、他にも無断使用をたくさんしていそうなのでやめろと伝えたい。コメントしたほうがいいのか…いやDM…?と悩んで、そっちの業界に詳しそうな友達にLINEで訊くと「あーこれは良くないですね。事務所に電話するといいですよ!マネージャーと本人にすぐ伝えてくれるから、アナログなようでいちばん効きますよ」とのこと。
たしかに、本人(またはSNS係)とやりとりすることで余計なストレスが溜まるかもしれないし、それがいちばん事務的かも。
東京事務所の電話を教えてもらい、さっそく電話してみたらずっと話し中だ。またかけ直すか…と思っていたら、また友達から連絡があり「別の人の不祥事で電話がパンクしているようです」とのことだった。
仕方ない…日を改めよう…。


もうひとつのメッセージについては、相手の情報がほとんどないため「たぶんそうだと思います!」と返信する。「これからもがんばってください!応援してます!」とのことでした。


はやく飲み会で、すずの奇妙な事件簿をしゃべりたい…しゃべりまくりたい…あまり爽快なエピソードがなくて恐縮だが…。
そう思いながら早めに帰り、ただただ眠って過ごす。


2024年10月8日 火曜日
チームでお昼に豪華なお弁当を食べた。ローストビーフとうなぎがのっていて、食べながら「この献立、バカが考えましたみたいな…」と思わず言ってしまう。
「どこに住んでみたいか」という話題になり、「昔は西荻窪に住みたかった…」と言ったら「それっぽい〜」と言われる。最近はだいぶ西荻窪に住みたさは落ち着いてきた。西荻窪にあるいい感じのお店は、結局勤め人はなかなか開店時間に行けないし休日は混んでいるからね。


午後に上期の考課面談があり、あまり派手な仕事をしていないのでビクビクしてしまうがほめてもらえてほっとする。
気をよくして面倒な作業を21時ごろまでやり、帰宅。明日はお休みをいただきます。


2024年10月9日 水曜日
今日は絵付教室。先月は行けなかったのでふた月空いてしまった。
先日わさお皿に油染み(皮脂や食べ物の油分が皿の表面について、焼成することで黒い染みになってしまうもの)をつけてしまったショックを引きずっているが、割り切って頑張るしかない。



焼成で上がってきたお皿を見るとだいぶ色が薄い。絵具をなるべく盛るようにしているのだが、どうもふのりの量を増やしすぎる癖があるらしい。
先生は「これはこれでそういうものみたいな雰囲気がありますね、アリゾナとか」とコメントしており、わたしもどこか乾いた気候の国を思い浮かべた。アリゾナの気候、よう知らんけども……。
とりあえずお皿の裏側も塗って焼成してもらう。九谷の器は、裏側もビシッと絵付するかどうかで同じ作家でも格とお値段がだいぶ変わるそうだ。
このまえ油染みをやらかしたお皿についても、とりあえず試せそうな修正法を教えてもらってだいぶ元気になる。


16時にバタバタと片付けをしてお教室を上がり、後楽園に向かう。
ラクーアでゾネ会のメンバーと待ち合わせ。ラクーアに来るのは何年ぶりだろう、デリなどのお店がやけに充実している。ここで外の空気を感じながらビールを一杯やって次のお店に行く計画なのたが、いきなり冷えこんだためめちゃくちゃ寒い。もう意地でドイツビールやモヒートを買う。
ラクーアの遊具は閑散としていて心配だが、メリーゴーランドが回ってジェットコースターからたまに絶叫が聞こえてくるこの光景が都心にあるのはやはり愉快である。

スプラッシュマウンテンみたいなやつの横にある椅子につき、ビールをすすりながら近況交換する。スプラッシュマウンテンみたいなやつは無人のまま回遊してバッシャンバッシャンと水しぶきを立て、「うるせえな!!」と言いながら話しつづける。その困難さも含めて愉快な気分になる。子供の頃より遊園地が好きかもしれない…。


ひとしきり話したところで予約時間が迫り、歩いて水道橋のムンド不二へ。前から行ってみたかったお店。



メニューが素敵な店って、黒板だけで飲めそう。お酒に合うようにアレンジされたインド料理レストランが大好き。
最初は乏しい語彙でお料理を口々に褒めそやしていたが、赤ワインをボトルで頼んだころからだんだんわからなくなってきて、楽しさだけが空回りするいつもの状態に。岩手行こうとか大分行こうとか、基本的にはいつも同じような話をしている。
三本めに白ワインを頼んだところで完全に思考判断力を失っており、ひとりは「朝が早かったからもうダメ〜」と帰って行ったが、残りのふたりもそこそこに切り上げて帰る。楽しすぎるとストッパーが効かない。楽しかった…。


2024年10月10日 木曜日
昨日の参加者から「わたしはお金を払ったでしょうか?!」「記憶が…」というお便りが続々と寄せられる。みんな払ってたから大丈夫だよ!わたしはかろうじて記憶はあるが、帰ってから吐いてスッキリして寝た。
最高のお店だったのに、吐くような飲み方をして申し訳ないと思う。次は節度を保ちたい…。
酔っぱらってから寝ると、起きたときに「なにか変なツイートをしていませんでしたでしょうか?!」と不安になる。この翌朝の不安を「外科室」と呼んでいる。そんな汚え泉鏡花があるか。
ふだんからうわごとみたいな呟きしかしていないだろうと思いましたか?わたしが本当の本音を言いはじめたら、あんたたちみんなちびりますよ。


海外出張が近づいて来ていて、三連休に休日出勤すべきか思い悩む。しかし私生活のほうもやることが溜まっているので、その進み具合によって考えよう…と思い直す。焦りばかりが膨らむぜ。


2024年10月11日 金曜日
最近いきなり寒いので、ついにかえる水槽のサーモヒーターを入れる。自分のふとんはまだ夏掛けのままだが、チャンケロは変温動物だから彼を優先するのはあたりまえ。
たまにご機嫌でグッグッと鳴いている。手もかからず本当によい子。

先月行けなかった絵付教室の振替受講日。こんなタイミングに振替を入れなくてもよかったのでは…と自分に言いたくなるが、教室自体は楽しい。
水曜日に焼成に出したお皿が戻ってきていて、絵付した場所が今度はしっかり発色しているのを確認する。菊花の皿は、裏に勝手に描いたかえるも含めてかわいいと思う。


菊花の表側には再度彩色をした。その後、新しい六寸皿に竹の図案を描くことにする。お手本はかっこいい柄なのだが、なにかまたオリジナル要素を加えたい。
スタビロ鉛筆で下書きしていたら、笹が元気がよすぎてアロエみたいになってしまった。それを見て、南インドの下調べで見たベンガルトラを思い出す。竹に虎、いいかもしれない。

見回りに来た先生に下書きを見せて「勝手に…虎を…」とおそるおそる申告したら「どんどんやってください!!」と言ってもらう。
Googleフォトの過去写真などを見ながら虎を描いていたら、虎という生きものの完成度にどんどん魅せられて陶然とする。特に前脚の、柔らかそうでありながら爪の存在を感じさせる陰影が怖い。神様も虎を作った日は酒がうまかったことと思う。


2024年10月12日 土曜日
昼からクリニックでシミ取りレーザー。レーザー自体は一瞬で終わったが、三か月分もらうはずだった内服薬は「説明が一か月前なので二か月分しか出せない」とのこと。無駄にクリニックに行く機会が増えて面倒〜ッ。


いったん家に帰り、準備をして丸山宗利先生の受賞記念パーティーへ。手前でSさんとお茶することになっている。
ダウンタイムにハレの会に行けるなら、もうシミがあるままでいいんじゃないか?という気もしますが、美容術は自己満足なので…。
電車ではミン・ジン・リー『パチンコ』を読む。まだ冒頭だが、強烈に引きこまれて乗り過ごしかける。


仲御徒町の「229」で京都の虫屋・Sさんと待ち合わせ。「立食だからあまり食べないかもね」と言いながら、コーヒーブリューとツナサンドをいただく。Sさんが最近行ってきたペルー(アマゾン!)の話を聞く。皮膚に食いついてくるドクターフィッシュやワニやピラルクがいたが、虫は乾季かつ森が深すぎてほとんど見られなかったそう。
Sさんが「つけていくアクセサリーを一緒に選んでください」とイヤリングを並べるので、グリーン系のオフスリーブドレスに合わせてハエトリグサのピアスをすすめる。さらにクワガタのイヤカフを追加していた。

わたしはマメコ商会のワンピースを着てきたのだが、パーティーバッグがないことに気づいて困る。
しかし、みつさんに作っていただいたiPadケースに文庫本を入れており、これがクラッチバッグにも見えることを発見。名刺入れと財布とスマホが入るし、柄にも高級感がある!


時間になって会場に移動。
今日の参加者は約90名。出版関係の方、研究関係者や教え子、虫友達などが集まったそう。おたがい名刺交換などして交流を深めてほしいとの主催の意向で、ネームプレートが配られる。名前に添えられた肩書きは先生が勝手につけたもので、みんな「作家!」「虫友達!」と笑いながら受け取る。
会の前に全員で記念撮影。遅れてきた人の分は、別撮りして合成してくれるそう。
会場司会はTokyo Bug Boysの平井さんだった。


先生の乾杯あいさつ。今回受賞された「動物学教育賞」は、日本動物行動学会が動物学の社会への普及啓蒙に協力した個人・団体に贈るもの。これまでにはムツゴロウさんや矢島稔さんも受賞している。
矢島稔さんといえば多摩動物公園昆虫館などの設立に関わるほか、幾多の名作昆虫図鑑を監修してきた人。矢島先生の図鑑を読んで育ってきた丸山さんは、それをさらに次世代に引き継ぐような仕事を意識してきたので、受賞がことほどに嬉しかったそう。そのため、この賞への推薦の話が出たときにお祝いの会を提案してもらって「お世話になった人たちに報告するための会にしたい」と希望されたのだそうだ。


関係者の方々のスピーチもあり、特に小松貴さんのトークは最高だった。
歓談タイムでは人見知りを発動しつつ、知り合いを探してちょっとだけウロウロする。ひさしぶりに挨拶する方も多く、昆虫大学の話もちょこちょこ相談ができてよかった。こういう場があるのはありがたい。丸山先生も意識して、虫に関わる人たちに交流の場を作ってくれてるんだろうな。


一次会では緊張のほうが勝っていたが、二次会の中華料理店でも30人弱が盛り上がって、これくらいの規模だと話しやすかった。
マダガスカル、カメルーン、フランス領ギアナなどの地名が飛びかうのがいかにも虫屋の集まり。
日付が変わるころに帰宅。楽しかった!
丸山先生とはじめてお会いしたのは2012年の昆虫大学の準備中だった。その頃から着実に活躍されていて、他の方々もどんどん名を上げているのでイベントが勝手に豪華になっていく。すごいことである。


2024年10月13日 日曜日
自分の部屋の写真が勝手に芸人さんのInstagramのリール背景に使われていた件だが、事務所には電話がつながらないまま。結局メッセージを直接送ってみる。
即座に削除してはもらえたが「フリーの項目のところにあった」という謎の弁明で、明らかにめんどくさそうな様子だった。腹立つな~。
この三連休が準備の正念場と思いつつ、ぜんぜん作業進まず。今年は三連休が多いのに、こんな気持ちばかりで過ごしています。