まなび場ブログ

若い人たちとの対話

人とぶつかり合える場

「学校に行かないことで学べたことは?」と人から聞かれたとき、「まなび場(*注)で、人とぶつかっても、話し合って、仲直りしていったことかな。学校では、そういうことがなくて、関係が切れてしまったから」と、卒業生が答えていた。そういえば、先日、「人を理解するには何が大切か」というテーマで話し合っていたとき、ある中学生は「喧嘩すること」と言っていた。この人も、ここで、そうやって関係を作ってきたのだった。

 

この人達が言っているぶつかり合いや喧嘩というのは、個人と個人だけでなく、個人と周囲との衝突をも指している。周囲が考える“こうすべき”に反する態度をとった人が周囲と衝突し、シビアな話し合いになることがよくあったのだ。

 

いろんな方向を向いた人が一緒に過ごしていれば、互いに気に入らないことだってある。それを言い合うことで、はじめて、自分や他人のことが少し見えてきたりもする。でも、多くの場合、学校では、自分達の“こうすべき”が通じない人とは関わり合うこと自体が避けられてしまって、考えをぶつけ合ったりはしない。みんなに合わせない人が学校に来なくなって教室に居なかったりもする。まわりに合わせて自分の本当の気持ちを抑えてしまっている人も少なくない。学校の中では、個人と周囲が真剣に向き合って話し合うということが起こりにくくなっているのではないか。

 

いつでも人がぶつかり合っているのも疲れるけれど、違和感があっても言うことを避けている場というのも風通しが悪い。言い合っているうちに、相手に何かが通じるということもあるし、自分の感じ方が修正されることもある。喧嘩のようになってしまっても関係は修復できるという体験も、人間関係を築いていく自信になる。教育の場は、時々はみんなの中でぶつかり合いが生じているくらいがよいと思う。

 

*注:私は「まなび場」というフリースクールを運営している。