2011年02月10日
FRP離型剤の実験。 身近な代用品を探せ!
予定では、今年はFRP製のカヌーやパドル、その他いろいろなパーツをFRPで作る計画があります。(このブログで公開予定ですよー!)
その際に、重要な工程となる「離型」について、もう少しノウハウを蓄えたい。
そう、思い立ったんです!
世の中の量産品は、ほとんど「メス型」から作られる
身の回りの製品、シャーペンや筆箱、キッチンのタッパーやコップ等、僕らの周囲にあるプラスチック製品は、すべて「メス型」によって作られています。
同じものを量産しようとすると、「メス型」を作って、その中にプラスチックを流し込んで固めて作るのが、一番効率的です。
身近なところでは、お菓子やケーキの世界でも、「型」はよく使われますし、コンクリート住宅も、型枠(メス型)にコンクリートを流し込んで作る手法ですね。
離型は、造形のカナメ!
個人でも、型を使って、同じ物を複数作ることは可能です。
でも、「メス型」を作ってパーツを量産しようとすると、離型がうまく行くかどうかが、工作の成否を左右します。
注型(流しこんで固める手法)に使われる材質。
‥プラスチックやコンクリート、シリコンゴム、金属等、注型用の素材は、接着性が高いものがほとんど。
離型は重要な工程なので、工業用の離型剤は、多種多様な目的用の物が市販されています。
← 写真は以前、カヌーを作った際のもの。離型には、少し苦労しました。
同じパーツをいくつも作りたい!
大物のFRP製品を作る時は、専用の離型剤やワックスを買い揃えるのが普通ですが、普通の人はそうそう、そんな機会は無いと思います。
離型剤は、種類により高価な物もあります。どれを選ぶか、どう組み合わせるかも、悩むところ。
→ 離型剤の例
ていうか、大げさな物ではなく、机の上で、ほんの些細な物を作りたいだけなんです。
‥でも、同じ物を複数欲しいし‥。
現在の僕は、そんな状態。
以前はFRPでカヌーやバイクのパーツを作ったり、そのための道具をいろいろ揃えていたのですが、ほとんど処分してしまいました。
再び買い揃えるのもお金がかかるし、身近な物を工夫して、使えないかなぁ?
と、ここからやっと、本題です。
くっつきにくいものを、探せ!
身の回りで、離型剤に使えそうな、くっつきにくい物を探してみます。
僕の部屋の中で見つかったのが、以下の製品。
1,シリコン・コーキング剤
2,自動車用・液体ワックス
3,調理用油(ごま油)
4,レインガード(スプレー)
5,自動車用、ガラス撥水剤
6,木工用ボンド
ほとんど、ベタベタorヌルヌルして、後から他の物を接着できない液体です。
樹脂と樹脂の間に‥
不飽和ポリエステル樹脂とは、FRPを積層する際に使われる、プラスチックの一種。液体状で、硬化剤を入れるとカチカチに固まります。
僕は、主に高透明タイプを利用しています(後日解説予定)。
適当な樹脂のブロックに、それぞれの離型剤を塗りつけます。(樹脂の表面はツヤなし梨地仕上げ)
そして、その上から樹脂を流しこみ、完全硬化してから、両方を分割してみました。
離型剤の代用品。結果発表!
1,シリコン・コーキング剤
両方とも、ヌルッと簡単に剥がれます。
シリコンは柔らかいので、抜きにくい型だと、擦れる部分が所々破れます。
量産に使う場合、一回ごとに掃除して最処理。というのは、ちょっと面倒かな。
2,自動車用・液体ワックス
ワックスの拭きとりが甘いと、分割した両方に、白いワックス成分が残ります。
ワックス成分をよく拭き取っても、効果は残るようです。
3,調理用油(ごま油)
後から流し込んだ樹脂の表面側に、油を塗った模様が残りました。
時間を置くと、油が付いていない所が固着するかも‥。
紙で型枠が作れたら便利だと思ったのですが‥。
4,レインガード(スプレー)
一応、使えそうです
5,自動車用、ガラス撥水剤
一部は相手の樹脂を剥がして壊しています。
6,木工用ボンド
塗ったボンドは、後から流し込んだ樹脂の表面側に移りました。
総括すると、やはりワックスが安心。
注:実際の離型も、専用ワックスを使います(自動車用でも可)。普通は固形タイプを「何度か塗り込み、乾いたら拭き取る」を繰り返して処理します。
それと、複雑な型や、ここ一番の際は、シリコンもアリかな。絶対に付かなそうな安心感は魅力です。
追記:ちなみに、この後の別の工作時、液体ワックスを筆で一回塗り(拭き取りなし)で作業しましたが、何度試しても大丈夫でした。
その他
他にも、いくつか離型用に利用可能な物が有ります。
これらも、僕はよく使います。
カヌーを作った時は、コックピットのまわりはダンボールにクラフトテープを貼った型で、整形した覚えがあります。
ポリプロピレンは、台所用のタッパー等に使われる素材。
難接着性なので、樹脂を混ぜる容器などに重宝します。
ちなみに僕は、ほんの少量の樹脂や塗料を扱う際、製氷皿を切り分けた容器を愛用しています。
▲左:製氷皿を切り分けた容器で樹脂を攪拌。 / 右:樹脂は硬化後、簡単に剥がれます。掃除が簡単で再利用可能。
なお、今回は不飽和ポリエステル樹脂の離型についてでしたが、シリコン樹脂の離型、コンクリートの離型等、素材によって方法はいろいろ変わってきます。
これらはまた、それぞれ別々のノウハウが必要となります。
という訳で、今回は身の回りで応用できる離型剤(代用品)の実験でした。
意外と、いろいろな素材が離型に使える事が分かりました。
ちょっとした工作程度なら、わざわざ専用離型剤を買わなくても何とかなりそうです。
次回は、格安で注型用レジンの代用になる「不飽和ポリエステル樹脂」を紹介します。
→ 「レジン」の代用。不飽和ポリエステル樹脂についてのまとめ。
Posted by IGU at 14:27│Comments(0)
│工作、いろいろ
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