たまごまごごはん

たまごまごのたまごなひとことメモ

「あの花」あなるの友達、春菜と亜紀のささやかな成長

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」終わりましたね。
もう何度見たか分からないのに、見るたびにいろんな思いがこみ上げてきて大変になります。
なんとかこの気持を整理してまとまなきゃーとか思いつつも、なかなかどうにも。今はまだ、すごく好きな作品です、でいいかなと。
ただ、書きたいことは山ほどあるので、小ネタ出していきます。
今回はあなるの友人、春菜と亜紀の話。
 

●衣装やらで何かに変わらなきゃやり過ごせないんでしょ●


色黒の方が春菜。ショートが亜紀。
この3人かなーり仲良しです。常時一緒にいます。
けれども、上のは二話、そして五話の合コンの時、不審なにおいをぷんぷんさせており、5話時点で「もしかしたらあなるをいじめるんじゃないか」という説もあちこちで上がっていました。
それもそのはず。あなる目線で見るとこの子達、ちょっと怖いんですよ。
別に格差が彼女たちの間にあるわけじゃないです。友人です。
友人ですが、付き合い悪いとハブられる。
これは他の子にしても同じ。すごく微妙な「付き合い」の距離感でつながっています。水素結合レベルです。ちょっとしたことですぐ離れてしまう。
 
こういう時に「つながる」ポイントになるのは、悪口とシモネタだったりします。
そもそも上のカットも、「ヒキコモリの宿海」をばかにする会話でした。
「ヒキコモリの相手させられて最悪」「あんな暗い奴と一緒にされたくねぇ」「今頃鳴子でエロい事考えてるよ、絶対」

これは、それを聞いて顔をしかめて去っていったつるこに対して、「うぜー」と愚痴っているところです。
めんまの最近は、楽しいコトばっか!「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」第二話

つるこは「一緒にいた股の緩そうな女たちとそっくり」と言い切りました。
今思うと、イヤだったんでしょうね。悪口でつながる中にあなるがいるのが。
 
じんたんに対しての春菜と亜紀はもっと辛辣でした。

これは3話。学校に行こうとしたところを、小馬鹿にしてしまう二人。
まー、今思うと茶化しただけなんですが、「何を言えばどう相手が傷つくか」を本人らは分かっていなかった時です。
「愛の力って偉大じゃね? あんたが家行ってあげたから?」「あつい、愛があついよー!」
「やめてよ、こんなやつと」
ここまでセットになるであろうことは予想済み。そうやって「自分より下の宿海」を作ることで、彼女らはつながっていました。
ちくりと、あなるの胸に傷がつく瞬間でした。
 

これは、五話であなるが過去のことを思い出したり、じんたんやめんまのことを考えてばかりいて、気がそぞろになって居るシーン。
合コンの誘いも、一度断っています。だよね、あなるは男性耐性全然ないので、合コン自体興味なさそうですし。
すかさず「あー鳴子来てくれてよかったー」と嫌味っぽく言います。

「鳴子近頃人付き合い悪くなったからさー」と、続けます。
「友達やめようかって言ってたんだよね、うちら」「もー春菜冗談きついよ、ね、鳴子?」
キミ達の言葉がキツい。
 
見ている側としてはなんとも気分の悪いシーンなんですが、これはあくまでもあなる目線だというのは注目しておきたいところです。

あなるは、友達に離れられるのが、怖い。
でもおかしいでしょう?
「友達」って、やめるものなの?
友達は友達で、やめるとかやめないとかってもんじゃないんじゃないの?
うん。でもその段階じゃなかった。いわば「友達」という立ち位置を保持するかどうか。
あなるに気づく余裕はないですが、逆を返せばこの子達もまた、ハブられる可能性は大です。
そしてもっと気づいていないですが、ハブられたから人生が終わるわけでもない。
すっごい狭い、教室の中の話です。
 
つるこはそんな彼女たちやあなるに対して、言います。

「衣装やらで何かに変わらなきゃやり過ごせないんでしょ」
基本はあなるに言った言葉です。めんまやじんたんの悶々に対して、彼女の目から見たらそうにしか見えないよと。
衣装を変えれば、「あの頃のあなる」ではなくなる。鳴子になる。
もちろん、上辺を取り繕ったってなにも変わらないのにね。
 
それは、春菜と亜紀も同じです。

つるこのセリフを聞いた後に春菜と亜紀を見ると、その空虚さが浮き彫りになります。
すごく弱いつながりを求めて、刹那の快楽を楽しんで、フラフラと流行に流されて。
友人を、危険にさらして。
刹那の快楽が悪いわけでは決して無い。ただ、「友達」なのか「友達の立ち位置」なのかが、彼女たちにもまだ見えていなかった。
 

●後悔、そして、友達●

結局5話ではお持ち帰り未遂にあったあなる。
最初のうちは浮かれていた春菜と亜紀も、それが「援交疑惑」になった時に青ざめることになります。

春菜は「しくったねー」と話しかけますが、本当はそんな軽い物じゃないのを彼女達も気づいてしまっています。
あなるが、どれだけ傷ついて、悲しんでいるか、分かってしまった。
それは自分たちがやったことなんだ、と。
春菜と亜紀は、この時点では何もあなるのためにはしてあげられません。
でもそれはそれでいいんです、ほら、じんたんが頑張ったから。
彼女たちに必要なのは。

気づくこと。
後悔すること。
春菜と亜紀は、あなるが本当に傷ついていたこと、自分たちが馬鹿にしていたじんたん、宿海とあなるが真の意味で友人だった場面を見ます。
 
自分たちのつながりは友達だったんだろうか。
自分たちは、何かを今失いかけているんじゃないだろうか。
 
ここからしばらくは、あなるも学校に行きませんし、めんまの騒ぎでそれどころじゃなくなってしまうため春案と亜紀は出番が激減します。というか無いです。
学校に来なかった間、彼女たちは何を考えていたんだろう?
以前の論理どおりならば、学校に来ないから、「友達やめる」だったのか?
あなるは、それを覚悟していたかもしれません。実際あなるは学校行かなくなってから彼女たちの話を一切していません。
 
でも、違いました。
最終回です。

あなるにハンカチを返すじんたんを殴りつける春菜。ガードする亜紀。
本来であれば「じんたんとあなるがちゃんと学校に行くようになった上に仲良しだ!」と喜ぶところなんですが、ここは……キますよ。
ずっと待ち続けていた春菜と亜紀が、あなるの本当の意味での友達になってるんだ!って。
 
あなるは本当の意味で嬉しくて泣き、そして笑います。
亜紀はあなるの涙を見て、彼女のことを心から守りたいと思ってこういう行動を取ったんでしょう。
二話で「ヒキコモリの」と言っていたのとまたちょっと別の、もっと純粋な思い。
もう、6話の時みたいに傷つけたくない、という思い。
春菜のこの顔もいいですね。
3話のときは「愛のチカラって」なんて茶化していたけども、あなるは今心の底から笑っているじゃないか。
なんでこうなっているか分からないけど、本当に後悔している気持ちと、笑っている彼女を見てほっとしている気持ちと。
感情が入り交じった彼女は、これが何か分からないまま、でも以前よりも「友達」としてあなると仲良くしていくんだろうな。
どんな形かは、彼女たち自身にしかわからないけれども。
 
超平和バスターズ6人は、11話を通じて大きく成長しました。
狭い狭い視野から解き放たれて、本当の意味で心を丸裸にすることを覚えました。
春菜と亜紀も、じんたん達ほどじゃないけれども今回の物語で、「友達ごっこ」ではなく「友達」を見つけました。
これって、素敵なことじゃないか。
 

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おまけ。
ここまで心をキャラクターが開いてくれると、こっちもおおらかな気持ちになるっていうのか・・・。
一人どうしても許せない存在がいたわけですよ。
あなるにエロいことしようとしたサラリーマン。

こいつね。
あなるたち女子高生組はジュースで、男性二人はお酒だったので大人でしょう。大学生かも?でもスーツだしサラリーマンかなあ。
まあー、5話見ていたときはそりゃあもう苛立ちましたね。口説き文句どころか強引だし、「所詮女子高生の遊び人なんて」みたいに小馬鹿にして。
「『あの花』には悪人はほとんどいない、でもこいつは納得できない!」とまで思いましたとも。
ところが、友人とふと話していて、ありうるかもな、と思ったことが。
秩父にこのサラリーマン転勤してきて、日々のストレス抱えている中で暮らしていたら、こんなことくらいしか生きる楽しみが無いのかなと。
女子高生口説いて、酔っ払って適当なこといって、また仕事に戻って。
ああ、やりきれないな。
あなるやじんたんは、充実することを覚えました。体に刻みました。
だから彼のようにはならないでしょう。
でも、こうなってしまった人もいるんだ、という見方をするとなるほど、納得できるわけじゃないけど「いるだろうな」になりました。
「世の中そんなに甘くない」オオカミキャラに見せかけて、なんとなーく背景が透けて見える気がするのはちょっと面白い。
今彼や、つるこを罵っていた女の子たちは、どんな顔して暮らしているんだろうなあ。
 

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あなるグッズ多いなあ。
つるこグッズまだですか。小説きたあ!
くぱあ。