【お知らせ】「まつもと、景の声」振り返りご飯会、開催決定!

 

このたび、3月2日(日)に出居番丸西にて、「まつもと、景の声」振り返りご飯会を開催することとなりました!

ゲネプロにて、菊の湯についてお話をする下地さんとそれを聴く出演メンバー(加藤蓮撮影)

2月8日、9日に、まつもと市民芸術館2階シアターパークにて大盛況を収めた「まつもと、景の声」。

今回の振り返りご飯会は、上演の様子や、上演までのプロセスを振り返りつつ、みんなでご飯をたべながらお喋りをする会です。

 

上演を観た方も、観られなかった方も、お気軽に遊びにいらしてください!


ゲネプロにて、バーのマスターと常連さんに扮する出演メンバー(加藤蓮撮影)

 

「まつもと、景の声」振り返りご飯会

日付:2025年3月2日(日)

時間:18:30~20:30 入退場自由

会場:出居番丸西

参加費:500円

予約方法:Googleフォーム 〔https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf3VhvAy017Z9rqwte8yZuNrtZX_DtcM9L1-MOWEoix_FaGug/viewform?usp=sharing〕

または電話 070-4002-5458

 

(2025.2.21追記 誤って別のgoogleフォームのリンクを載せていたため、訂正いたしました。)

【取材レポート】波田公民館長の麻田さん、波田地域づくりセンター長の平林さんの声を聞く&波田散策

 

『まつもと、景(けい)の声』プロジェクトでは、これまで、松本の専門学校の代表・内川小百合さんや青葉文庫の太田正子さん、菊の湯の先代・宮坂さんのお話など、主に松本の市街地の様子について様々なお話をお伺いしてきました。

ただ、松本市は城下街だけではありません。平成17年に四賀村・安曇村・奈川村・梓川村と、平成22年に波田町と合併して、現在の蝶のような形になっています。

 

今回、公演にご参加していただく出演メンバーのうち、小池廣美さんは波田出身。

その縁もあり、先日1月23日、企画メンバーで波田公民館長の麻田さん、波田地域づくりセンター長の平林さんのお二人にお話をお伺いしてまいりました。

取材後は、取材で話題に出た場所を散策したので、その様子もご紹介させていただきます!

 

取材の場所は松本市役所・波田支所。人数が多くなってしまったため会議室をお借りして、いざ、インタビュー開始。

 

麻田さんと平林さんに企画について説明をする下地さんと出演メンバー

まずはお二人に、波田がどんな土地であるのかをお伺いしました。

明治時代から大正時代には一帯がお蚕様のための桑畑だったとか。しかし水資源が乏しかったため、梓川の奥の水源から農業用水を引く波田堰を開発しながら水田化が進んでいったのだそうです。

元々桑畑だったからか、あたりに桑の木が残っているそうで、小さい頃は桑の実を取って食べたりしたよ、なんてお話もありました。出演メンバーの小池さん曰く、「熟したら甘くて美味しい」とのこと。

 

今回の企画が「景の声」を聴くというテーマであることもあり、波田の景色、特にかつて遊んでいた遊び場所については、特に関心を持って質問をさせていただきました。

お二人が子供のころは、神社の境内で野球をしたり、波田堰の散策をしたり、先輩から教わった秘密の場所で虫捕りをしたり。あとは夏休みのプールの時間のあとに、梓川に寄ってまた泳いだりしたそう!

最近は、川は危険だからと遊ぶのが禁止なことも多いですが、昔は自由に川で遊んでいたんですね。

 

そのほかにも、お二人が行政の事業で作った竜島温泉のお話や、松本での高校時代の思い出、大学卒業後に波田に戻ってきたころの話など、様々なお話をお伺いしました。

 

今回公演に参加してくれた出演者のひとり、仙波さんからの「波田のことをどう思っていますか?」という質問に、「胸を張って波田出身だと言える」と答えたお二人。

話してくださるお二人が、自分が住んでいる波田という地域に誇りをもっているのが伝わってきて、とても素敵でした。

 

にこやかなお二人

 

 

さて、インタビューが終わったあとは、インタビューで出てきた場所や、おすすめスポットを巡る波田散策をしました!

 

まず訪れたのは、盛泉寺の近くにある夫婦堤という灌漑用の池です。

麻田さんは子供のころはやんちゃだったそうで、なんと、池のほとりでいかだを作って遊んでいたのだとか! 作っていたら通報されて、先生に随分と怒られたそうです。

また魚も自生しているらしく、釣りをする子もいたとか。

夫婦堤をながめる企画メンバー

池の中心はなんと凍っており、鳥が氷の上を歩いていました。

氷の上を歩く鳥の様子

小池さんは夫婦堤で遊んだことはなかったそうで、「波田にこんな場所があったんだ」と驚いていらっしゃいました。

 

次に訪れたのは、中下原という見晴らしの良い扇状地。目の前には美ヶ原や鉢伏山などの山々が連なり、眼下には松本盆地が広がっています。

 

中下原からの景色

 

中下原について話してくださったのは麻田さん。曰く「下を見ると明るい場所が昔と今で違うんだよね」だそうで、平林さんによればカップルがいたりすることもあるというお話も。麻田さんは「え、カップルがいるんですか?」と驚いていらっしゃいましたが、実際に行ってみるととても景色が美しく、ドライブには最適だと感じました。

麻田さんによれば、「夜に見ると駅前が明るかったけど、今はそうじゃない。明るさが南側、南松のほうに移ってるんですよね。光る景色が横に広がってる。」とのこと。確かに夜に行ってみると、光が帯のように見えました。

こちらは後日、夜に訪れた中下原からの景色

 

周囲は畑で、夏にはスイカを育てているそうです。

平林さんからは、「4、5月は下から中下原を見上げると良いですよ。スイカって苗を植えた後に透明なビニールシートを掛けるんですよ。そこが太陽の光を反射してきらきらした綺麗なのがすーっと広がってる」というお話もお伺いしました。ぜひ5月になったら見に行ってみたいです!

 

最後に、波田駅に車を停めて、波田堰を見に行きました。

上高地線の線路の真横を通り、

線路を渡って、

見えてきたのは、水車!

 

この水車は「波田水車」といって、波田町時代に波田堰を活用した小水力発電の実証試験をした跡なのだそう。

子どものころ、遊びで波田堰沿いの散策をしたという麻田さんと平林さん。

同じ道かはわかりませんが、私たちも波田堰のほとりで、しばし、水の流れに耳を傾けました。

 

 

以上、麻田さんと平林さんへのインタビューと、波田散策の様子をお届けしました!

 

話を聴くだけでなく、実際に話にあった場所に行って、その場に立つことで見えるもの、感じることがあります。土を踏みしめて、電車の音を聞いて、山を眺める。参加者のみなさまがひとつひとつ体験したこと、そこで感じたことを、丁寧に作品に織り込んでいけたらいいな、と制作として感じています。

 

改めまして、インタビューに応じてくださった浅田さん、平林さん、ありがとうございました!

 

(加藤)

 

公演情報はこちら↓

 

まつもと市民芸術館シアターパーク企画
『まつもと、景の声』


2025 年 2 月 8 日(土)9 日(日) 各回15:00 開演
まつもと市民芸術館2階 オープンスペース

出演:下地尚子、玉井夕海、小池廣美、小松由羽、仙波梨英子、前田紗希 他
構成・演出:藤原佳奈
制作:加藤なぎ
宣伝美術:大沢夏海

問合せ:まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)
TEL.0263-33-2200 FAX.0263-33-3830

主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団
後援:松本市、松本市教育委員会
企画制作 :すずめの会
助成:一般財団法人地域創造

*公演の詳細は、まつもと市民芸術館のウェブサイトをご確認ください。

https://www.mpac.jp/event/41284/

 

「まつもと、景の声」第3回ご飯会レポート

 

皆さま、明けましておめでとうございます。2025年に入り、とうとう2月の本番まであと1ヵ月を切りました。

今回は『まつもと景(けい)の声』プロジェクトの進捗を皆様と共有するご飯会、第3回のレポートをお送りします!

 

1月6日、出居番丸西にてこれまで三か月にわたり行ってきたご飯会も、今回で最終回です。

当日はあいにくの大雨。足元も非常に悪いなか、参加してくださった皆さま、ありがとうございます。

 

今回のご飯は、前回非常に好評だったこともあり、再びカレーをつくりました!キーマカレー風です。出居番丸西のオーナー、岩田さんからは山賊焼きをいただいたほか、参加者の皆さまからも様々な差し入れをいただき、大変豪華な夕飯になりました。

 

下地さんのカレーと玉井さん(撮影:下地)

 

また、今回のご飯会は、出演者のひとり、ウタウタイの玉井夕海さんにもご参加いただきました!

そこで、今回のご飯会は、前半は玉井さんの紹介と、第1回のご飯会でも話題に上がったまつもとフィルムコモンズさんの『まつもと日和』の映像を見ながら、ご飯を食べつつ参加者の皆さまと歓談。

後半は、せっかく玉井さんがいらっしゃるため、参加者の皆さまにご協力いただき、音楽クリエイションを実験的に試みました。

 

 

2011年の3月11日の東日本大震災をきっかけに、単身、松本に1年間の移住を決めた玉井さん。曰く、「松本に来ると壊れていた水道管がひゅっとなおるような感覚があった」そうで、そうして玉井さんは松本で1年間、様々な場所で働きながらスマートフォンとギターを片手に曲を作り、作り上げたのが、CDアルバム『ales』だそうです。

何を隠そう、今回の企画の構成・演出の藤原さんが松本に移住したきっかけも、玉井さんが松本で1年間住んだ共同住宅の居住者を探している際に、偶然、藤原さんを誘ったからだとか。

藤原さんが「今日(玉井さんがこの松本のご飯会に)呼ばれたのは、自分が蒔いた種だったんだよ」と言えば、玉井さんも「責任を取って音楽をつくろうとおもいます」と、笑いながら返していました。

 

こうして玉井さんのお話を聞いたあと、玉井さんのご厚意で、『ales』に収録した楽曲のうちの一曲、「葡萄畑の真ん中で」を、アコーディオンで弾き語りしていただきました。

 

思わず目を瞑って聴いてしまう玉井さんの弾き語り

 

アコーディオンは蛇腹を開閉することで音を鳴らす楽器なので、身体全体で空気を入れるように音を奏でます。そのため、玉井さんの呼吸に合わせて音が奏でられて、まるで玉井さんとアコーディオンがひとつのいきもののように感じられました!

玉井さんの柔らかに包み込むような歌声を聴きながら、脳裏に葡萄畑の美しい景色が見えてきて、あたたかくて、でもどこかに切なさも感じる旋律に、筆者はほろりと涙がでてしまいました。

 

 

『まつもと日和』は、全編を見ることはできなかったのですが、これまでお話を聴いたなかで印象的だった伊勢町のアーケードなどを映像で見ることができました。

特に、第2回のご飯会でも話題に出した「お菜洗い」の様子が映っていたことを参加者の方にご指摘いただき、制作陣は大興奮!

冒頭にあった映像を確認したのですが、川ではなく大きな樽に水を貯めて野沢菜らしき菜っ葉を洗っている様子が映されていました。

大量に洗うというお話は聞いていましたが、樽に山盛りになった菜っ葉は衝撃的で、ここまでの量を処理するのは大変だっただろうなとかつての苦労を思い、うなってしまいました。

 

matsumoto8mm.com

 

 

後半のクリエイションでは、玉井さんのアコーディオンの演奏をBGMに、まずは松本の好きなところや懐かしい風景について、みんなで話してキーワードを引き出しました。玉井さんの奏でる柔らかな旋律にいざなわれて、参加者の方々がそれぞれの思い出の景色を脳裏に浮かべ、口々にその情景を語り合います。

そして、参加者の皆さまの会話を聴きながら、藤原さんが出てきた言葉をつかって簡易的な台本をつくっていきます。

 

台本を編集する藤原さん

 

最後に、出来上がった台本を試しに読んでみることに。

今回のご飯会には、本番で実際に出演してくださる地域の有志の方も参加してくださっていたため、それぞれに当てられた台本の言葉を読んでいきます。

玉井さんの音楽に合わせて、まずは俳優の下地さんの語りが。そこに地域の有志のみなさまの掛け合いが入り、おわりに玉井さんの歌声が出居番丸西に響きました。

みんなで台本を見る様子

 

以上、第3回ご飯会レポートでした!

今回で『まつもと、景の声』ご飯会レポートは最終回となります。

2月8日(土)、9日(日)の本番まであと3週間。こちらのブログでは、これまでの取材レポートに加え、練習の様子なども記録してきたいと思っています。

ぜひ本番までチェックしていただけたら幸いです!

 

(記.加藤)

 

『まつもと、景(けい)の声』では、玉井さんの奏でるアコーディオンやアコースティックギターでの音楽と共に作品をお届けします。

チケットが僅かとなっている日もありますので、ご購入を検討の方はお早めに、ぜひいらしてください!

公演情報・チケットの購入はこちらから↓

 

www.mpac.jp

【取材レポート】菊の湯 先代・宮坂さんの話を聞く

久しぶりのレポートがすっかり年を跨いでしまいました。
公演まで1ヶ月を切り、そろそろ本格的なクリエーションに入っていきたいところですが、まだいくつか取材したいこと、まとめたいことが山ほど。

まず、出演メンバーに地域の方4名にもご参加いただくことになりました。
まつもとの街や地域との関わり、年齢もさまざま。
これまでは主に、藤原さん、制作の加藤さん、私の3人が中心となって行ってきた取材ですが、新たに加わっていただいた出演者の皆様とも取材を重ねていく予定です。

プロジェクトメンバーでの打ち合わせの様子。
出演者の皆さんのご紹介は、またいずれ……


会場となるまつもと市民芸術館 2階・オープンスペースで、みんなで打ち合わせをした時の様子。
写真ではカーテンがほとんど閉まっておりますが、大きな窓ガラスを背景に、街が見える形での公演となります。

写真の、ちょうどカーテンの開いてるところから外が見えますが、四角い白い建物があるのが見えますね。
こちら、取材でお伺いした施設、銭湯の菊の湯さんです。

駅前大通にある、銭湯の菊の湯さんです。


菊の湯さんは約100年の歴史を持つ老浦の銭湯。
街に住む人にとっては、お馴染みなのではないでしょうか。

2回目のご飯会の際に、参加いただいた方々に「この後どこに取材に行くのが良いだろう?」とご意見を頂戴した時に挙がったのが、菊の湯さんでした。
オープンスペースからちょうど見える建物ということもあり、取材させていただくことになりました。

取材に応じていただいたのは、菊の湯三代目の宮坂賢吾さん。
家族代々営んできた銭湯についてや、かつての街並みを、あれこれお聞きしました。

現在の菊の湯さんは、2020年に車道を挟んだ向かいにあるブックカフェ・栞日さんが運営を継承されてますが、それ以前は宮坂さんのご家族が代々営んできた家業でした。

現在の菊の湯さんの建物は、高度経済成長期に伴った街の変革の中で建て直されたものだそうで、それ以前の建物は瓦屋根の建物でした。

宮坂さんからご提供いただいた写真。
1989年の菊の湯さんの正面。大きな煙突も見えます。

 

私の知る駅前通りの印象と全く違うので驚きです。
今は駅前の銭湯は数えるほどですが、当時の駅前市街地には40軒を超える銭湯があったそうです。
かつては街に銭湯の煙突がたくさんあったんですね。

伊勢町で生まれ育った宮坂さんは、社会人になって一度上京をされ、20年ほど松本の街に住んでいなかったため、その前後で街の様子がすっかり変わってしまっていた、とお話ししてくださいました。

生まれ育った伊勢町通りも、かつてはアーケードの商店街で、住宅兼店舗の建物が多かったそう。
今となっては住宅がほとんどない伊勢町通りに暮らしがあったというのは、知らないと不思議な気持ちです。
伊勢町だけでなく、本町通りや旧六九商店街など、かつてアーケードの商店街だった通りでは同じような生活が送られていたのかもしれません。

また、街の人々が伊勢町に松本PARCOを招致した頃のことや、井上百貨店が今の駅前に移転する頃のお話も聞くことができました。
それぞれの百貨店がもうすぐなくなってしまう松本ですが、かつては経済発展の象徴であり、松本のシンボルとして期待を寄せられていたのだなと感じます。
市街地生まれの宮坂さんが高校生の頃に感じた、同級生たちとの生活感のギャップのお話も、当事者ならではの言葉で素敵でした。

上演の際に、どんな言葉を編集できるか。とても楽しみです。
宮坂さん、ありがとうございました!

 

(下地)

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2月に迫る『まつもと、景の声』の上演は、お座席の数に限りがあります。
両日とも、お問い合わせはどうぞお早めに!

『まつもと、景の声』本チラシ


まつもと市民芸術館シアターパーク企画
『まつもと、景の声』


2025 年 2 月 8 日(土)9 日(日) 各回15:00 開演
まつもと市民芸術館2階 オープンスペース

出演:下地尚子、玉井夕海、小池廣美、小松由羽、仙波梨英子、前田紗希 他
構成・演出:藤原佳奈
制作:加藤なぎ
宣伝美術:大沢夏海

問合せ:まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)
TEL.0263-33-2200 FAX.0263-33-3830

主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団
後援:松本市、松本市教育委員会
企画制作 :すずめの会
助成:一般財団法人地域創造

*公演の詳細は、まつもと市民芸術館のウェブサイトをご確認ください。

【速報/シアターパーク企画】まつもと、景の声 プロジェクトによる上演 | まつもと市民芸術館

「まつもと、景の声」第2回ご飯会レポート

 

夜の冷え込みがどんどん厳しくなってきた12月2日。出居番丸西にて、第2回まつもと景の声ご飯会を行いましたので、今回はその様子をお送りいたします!

今回のご飯会では、カレーを準備。お値段と火の通り具合を鑑みて鶏むね肉とほうれん草、舞茸というヘルシーな具材でしたが、とってもおいしくできました。

作りたてのため、カレーはしゃばしゃば気味です(撮影:加藤)

参加者の皆さまからは、つけものなどカレーに合う具材が!まるで示し合わせたかのような集まり具合に驚きの声があがります。

参加者の皆さまからの差し入れの数々(撮影:加藤)

今回も豪華な夕食になりました。参加者の皆さまありがとうございました!

 

さて、第1回のご飯会では、参加者のみなさまに、松本での思い出や松本の景色の今昔の変化などをお聴きしました。

今回は第2回ということで、これまでに行った取材の報告をしたのち、取材を踏まえて気になった事柄について参加者の皆さまにお聴きした後に、今後についての公開ミーティングを行いました。

これまで取材したのは、丸の内ビジネス専門学校の代表である内川小百合さん、新橋屋飴店の田中忠子さんと仙波初代さん、2021年に閉校した松本衣デザイン専門学校の元理事長である太田正子さんの4名。

 

下地さんによる太田さんへの取材レポートはこちら↓

m-keinokoe.hatenablog.com

 

筆者は残念ながら内川さんと新橋屋飴店のお二人への取材には同行できなかったので、藤原さんからお話をお聴きしました。

内川さんからは、先代の内川明子さんにまつわるお話をお聴きしたほか、明子さんが残された短歌や、内川さんが綴ったエッセイを譲っていただいたそう。

 

新橋屋飴店の田中忠子さんと仙波初代さんは、今回のプロジェクトの最終目的である「まつもと、景の声」公演に出演してくださることになった、仙波梨英子さんのおばあさまとお母様です。

藤原さんは、取材の中でかつての暮らしについて様々なことをお伺いしたそうで、なかでも、「お菜洗い」という風習をはじめて聞いたのだとか。参加者のみなさまにも「お菜洗い」についてお話を聞きたい!ということで皆さんに問いかけます。

「お菜洗い」いう言葉を調べると、「野沢菜を洗って漬けること」と出てきます。野沢温泉村で温泉のお湯を使った「お菜洗い」などが有名ですが、温泉のない地域では川で洗うようで、実際、田中さんは奈良井川で地域の方々と集まって野沢菜を作っていたそうです。

ただ、松本では野沢菜ではなく「稲核菜」を漬物にすることが多かったようで、参加者のなかにも昔作っていたという方がいらっしゃいました。女鳥羽川で「お菜洗い」を行っていた話や、親戚の分も合わせて自分の家の井戸水を使ったというお話も。

また、同じように身近なコミュニティのみんなで行う作業として、「味噌作り」をしていたという話もありました。

 

取材をしていた際に印象的だったこととして、筆者からは、車が普及していなかった頃は道路が舗装されておらず、土や砂、泥だったし、そこが遊び場だったことに驚いたというお話しをさせていただきました。

昭和に青春時代を過ごした参加者の方々からは「そうだった」「馬のにおいがしたよね」というお話が。

20代の参加者の方からは、「子供のころ、新興住宅地のまだ家が建っていない空き地で、近所のお姉さんと花の蜜を吸ったり、住宅地の車通りの少ない道路でバドミントンをして遊んだりしたことはあったかも」なんてお話も聞けました。確かに、車通りの少ない道路で遊んだり、というのは今でも見かける光景ですが、安全面では昔と今で随分違いそうです。

 

出入り自由の会ということで、もう時間だと帰る方もいれば、新たに暖簾をくぐる方も。そんな参加者の方々を交えながら、取材をしながら見えてきた景色を皮切りに松本について語らいます。

お喋りの様子(撮影:加藤)

 

話をしているうちに時間はあっという間に過ぎ、最後に、今後のプロジェクトの進め方についての公開会議を行いました。

現在、新橋屋飴店のお二人には今後も数回にわたり取材をさせていただく予定で、そのほかにも数名取材予定があります。

ほかにどのように取材を進めていくべきか。参加者の方にご意見を伺うと、「街往く人たちに突撃インタビューをするのはどうか?」というご提案が! 「松本に住んで何年ですか?」と街往く人々に尋ね、松本の街について思うことを聞いてみるのはとても面白そうです。

突撃インタビューから派生して、第1回のご飯会のような、人の集まる場所で雑然と話を聴く時間があっても良いねというご意見も。お酒を飲むのが好きなすずめの会のメンバーは、スナックやパブでお酒を交わしながら常連さんに話を聴きたい!といった話で盛り上がりました。

また、藤原さんから「外に出て散歩をしながら景色を眺め、話をする時間を作りたい」という話も。筆者は松本在住ではないため、普段あまり街中を歩くことがありませんが、これまで聴いた話を踏まえてあたりを見渡したら、これまでとは違った景色が見えそうです。

 

個々で話を聴く取材を続けながら、街中に出て話をお伺いする機会をつくろう!と話がまとまったところで、今回のご飯会は終了です。

参加してくださった皆様、今回もありがとうございました!

 

色々と書き込んだホワイトボード(撮影:加藤)

 

過去は現在に繋がっている。それは当たり前のことなのに、自分が経験していないことは、なかなか実感が湧かないものです。でもこれまでの取材やご飯会を通じて、写真でしか見たことのない昔の松本の風景が、ぐっと身近に感じられるようになった気がします。

筆者はすべての取材に同行できているわけではありませんが、2月の本番では、自分が聞くことのできなかった知らない景色が見えてくるのかもしれないと思うと、なんだかワクワクしてきます。

 

次回のご飯会は来年、2025年1月6日(月)。

公演前の最後のご飯会です。ご興味のある方はぜひ、いらしてください!

 

(記.加藤)

 

 

ご飯会の詳細はこちら↓

第3回 2025年1月6日(月)

時間:18:30~21:30頃   入退場自由

会場:出居番丸西https://maps.app.goo.gl/DLXhkCZvviKFMqq59?g_st=com.google.maps.preview.copy

参加費:500円

予約方法:Googleフォーム 〔https://forms.gle/txFG43ZSfCFVL2rs5〕

または電話 070-4002-5458

 

公演情報はこちらから↓

https://www.mpac.jp/event/41284/

 

【取材レポート】青葉文庫・太田さんの声を聞く

『すずめの会』と名付けた企画チームの1人、俳優の下地尚子です。

まつもとの街に縁がある人たちの声を聞き、取材を重ねながら2月の演劇上演を目指す『まつもと、景(けい)の声』プロジェクト。

すでに企画メンバーがあちこちで取材を始めてくれていて、私も遅ればせながら取材に加わり始めました。

といいつつ、取材レポートはこれが初めてですね。

 

『まつもと、景の声』は「人の声を通して街の景色を改めて(演劇作品を通じて)見る」ということに取り組んでいる公演企画。

取材対象になる方は、今より前の松本の景色を知る人生の先輩に当たる方々。もしくは、そういった方が身近にいる方が中心となっています。

11月29日は、穂高駅前にある『青葉文庫』の太田正子さんにお話を伺いました。

太田さんは、2021年に閉校した松本衣デザイン専門学校の元理事長さん。穂高にある青葉文庫は、専門学校時代のデザイン書や美術書などの蔵書や資料を豊富に保存している図書館的な役割として、また句会のイベントや子供たちの学習の場としての活用など、サロン的な場として運営されています。

すずめの会メンバーと太田さん(右)(撮影:藤原佳奈)

専門学校は、元々満州でご親族の方が立ち上げたそうで、戦後に松本市街地の埋橋に移転。太田さんご本人も、三十余年松本で暮らしながら学校運営をされていました。

高校時代までの友人らと過ごす景色、授業で当時徒歩20分で行けた塩倉池でスケートの授業をしていたこと、家の漬物を取りに行くのが寒くて辛かった……など、現在とは違う景色の中で生活をしていたことが伺える記憶の様々。

実感のある言葉から、知ることのない当時の冬の冷たさや空気の澄んだ様子も、なんだか想像できる気がします。

取材の中で、今回のプロジェクトとは別ですが太田さんと藤原さんを繋ぐ作家さんのお名前が出てきたりもしました。本やネットで調べたことよりも、出来事やや人物にぐいっと距離感が近くなるのも、取材の醍醐味です。

 

取材のはじめ、太田さんから「(景の声は)リノベーションに近い感覚だね」と仰っていただきました。

そうなんだろうなぁ。私たちがやろうとしてる事は、リフォームじゃなくてリノベーションなんだな。過去の話をどうこうだけでなく、今見えてる景色と、これから語ることになる景色の記憶の様々と、繋がっていく、続いてく工程の、きっとほんの一部なんだな。

私たちが取材で得ている身体を通した感覚が、作品化した時にお客様にも届けることができたら最高だな〜と思っているところです。

 

🍚🍚🍚

さて、そんな取材のあれこれをシェアする『ご飯会』の第二回が行われます。

第2回     12月 2日(月)

第3回 2025年1月6日(月)

時間:18:30~21:30頃   入退場自由

会場:出居番丸西https://maps.app.goo.gl/DLXhkCZvviKFMqq59?g_st=com.google.maps.preview.copy

参加費:500円

予約方法:Googleフォーム 〔https://forms.gle/txFG43ZSfCFVL2rs5〕

または電話 070-4002-5458

ご興味のある方、ぜひ気楽に覗いてみてください。作品の創作過程をたくさんの人と共有できるのも嬉しいですし、何してるのあなたたち? と不思議がってる人も気楽に来ていただけたら嬉しいです。

まつもとで生まれた人も、そうじゃない人も。

私も移住者の視点で参加させていただければと。

 

[2月の公演概要はこちら]

https://www.mpac.jp/event/41284/

 

(記:下地尚子)

 

「まつもと、景の声」第1回ご飯会レポート

 

2024年11月11日。出居番丸西にて、第1回の「まつもと景の声」ご飯会を行いました!

少し遅くなってしまいましたが、今回はそんなご飯会のレポートをお送りいたします。

 

11月に入り、夜も随分と冷えてきた今日この頃。お米だけではなく身体の温まるものを用意したいと、今回は大根と卵、練り物の入ったおでんを準備しました。会場として使用させてもらった出居番丸西を運営している岩田さんからは、豚汁の差し入れも!

 

岩田さんからの差し入れの豚汁(撮影:藤原)

 

また参加者の皆さまからは、サラダや金平ゴボウといったおかずや、炊き込みご飯のほか、林檎やゆでた落花生、お菓子などのデザートなどの差し入れをいただき、豪華な夕食になりました。

 

食卓の様子(撮影:藤原)

 

今回のご飯会は、第1回と言うこともあり、公開ミーティング兼、出居番丸西を運営している岩田さんをはじめ、松本に住んでいる方々に話を聴こう!という形で進行することに。

はじめにバイキング形式で食事をよそったら、順番に自己紹介をしていきます。

 

参加してくださったのは、大学生から70代まで、幅広い世代の方々。松本出身でずっと暮らしている方から、実家は松本だけど今は別の場所に住んでいる方、信州大学の学生に、移住してきた方など、松本との関わりも様々です。

そのため、まずは長く住んでいる方から、かつての松本の様子をお聴きする形に。

何を隠そう、出居番丸西を運営している岩田さんは松本の市街地出身。そこで岩田さんにかつての街中の様子についてお伺いしてみると、今とは違った松本の様子をお聴きすることができました。

 

松本市は現在でも文化的な都市と言われることが多いですが、昭和の頃は更に様々な商店が様々あったそう。アミューズメント施設も豊富で、百貨店の屋上にあった遊園地、映画館や本屋、レコード店、ジーパン屋(!)など、当時遊びに行っていたという場所が次々と話題にあがりました。そんなかつての街の風景に、驚く人もいれば、同じように懐かしむ人も。

松本市の郊外に住んでいる方からは、学生時代など、松本市内に電車で向かうのは年に数回の一大イベントだったという話もありました。気になるのは、市内に来たらどこで遊ぶのか?という点。

例えば現在、松本の商店街というと、中町通りを思い浮かべる人も多いかと思います。しかし、昭和の頃は六九通りや本町など、かつてアーケードがあった通りが賑わっていたようです。けれども、そういったアーケード通りは、平成に入り、区画整理事業によって随分と変わってしまったそうで……。20代の参加者の方に話を聴いてみると、パルコができたり、イオンモールができたりと、大型ショッピングセンターが作られていくなかで、学生のたまり場も変化していた様子が伺えました。

 

また、近郊から松本へと向かうときに欠かせない松本駅ですが、駅前の様子も昔とはずいぶん違ったようです。

筆者は学生時代などに電車を使っていたので、駅前から先はもう「街」という印象です。しかし、長年松本にすんでいらっしゃる方などは、アーケードがあった女鳥羽川周辺の、より密集したエリアが「街」というイメージが強いようでした。

 

今と昔の様子の違いといえば、8mmフィルムを市民の方から収集して地域映画をつくるまつもとフィルムコモンズさん制作の『まつもと日和』を見れば、よりその様子が具体的に見えてくるかもというお話もありました。参加者のなかには、実際に『まつもと日和』を見た人だけでなく、まつもとフィルムコモンズの活動に関わった学生もおり、取材したときの様子についてもお聞きすることができました。

 

他にも、四柱神社の神道祭や深志神社の天神祭、青山様や松本ぼんぼんなどの地域のお祭についてや、飲み屋街について、校庭や城のお堀、みすず湖での冬のスケートについてなど、様々な話に花が咲きました。

ときには一人の話に耳を傾け、ときには隣の人と会話をして、そしてなにより美味しい食事を堪能ながら、ゆったりとした雰囲気の「ご飯会」となり、筆者としてもとても嬉しいです。みなさまと松本の街について語らうことができ、とても充実した時間になりました。

参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!

 

(記:加藤)

 

「まつもと、景の声」プロジェクトでは、地域に埋もれている記憶や、表に出ずに隠れている声など、これまで語られることが少なかった松本の景色について取材していきます。

プロジェクトの進捗状況はこちらのブログで綴っていくほか、今回のような「ご飯会」も定期的に行っていきます!

第2回のご飯会は12月2日です。興味のある方はぜひ、お尋ねください。

 

会場の出居番丸西についてはこちら↓

deiban-marunishi.com

 

ご飯会の詳細はこちら↓

 

「まつもと、景の声」ご飯会

各回、地域のゲストを招きながら「まつもと、景の声」プロジェクトの取材状況を報告し、相談する持ち寄りご飯会です。少しご飯の準備はありますが、食べ物や飲み物など、ご自由にお持ちください。お酒もOK!

ただご飯を食べに来るだけでも良し、昔の松本についてお話を聴かせてくださる方もぜひご参加ください。どこか一日のみの参加も大歓迎です!

 

日付:

第1回 2024年11月11日(月)

第2回     12月 2日(月)

第3回 2025年1月6日(月)

時間:18:30~21:30頃   入退場自由

会場:出居番丸西

参加費:500円

予約方法:Googleフォーム 〔https://forms.gle/txFG43ZSfCFVL2rs5〕

または電話 070-4002-5458

 

公演情報はこちら↓

まつもと市民芸術館シアターパーク企画「まつもと、景の声」

2025 年 2 月 8 日(土)9 日(日) 各回15:00 開演

まつもと市民芸術館2階 オープンスペース

出演:下地尚子、玉井夕海(渋さ知らズ) 他

成・演出:藤原佳奈

制作:加藤なぎ

宣伝美術:大沢夏海

問合せ:まつもと市民芸術館チケットセンター(10:00~18:00)

TEL.0263-33-2200 FAX.0263-33-3830

主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団

後援:松本市、松本市教育委員会

企画制作 :すずめの会

助成:一般財団法人地域創é€