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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

妊娠出産や重度障害の国会議員が、例えばネットでの投票は不可能…憲法に「出席議員」と書いてあるから

憲法記念日ってことでちょっと書いておこう。
ただ、内容的にはタイトルの通り。


このことを当方が知ったのは、毎日新聞2019年4月14日の社説である。

mainichi.jp

 現在、衆院でテーマとなっているのは、国会質疑でタブレット端末の使用を認めるなど紙の資料削減や、女性議員の妊娠・出産時にインターネットを使い、自宅や病院からの議決参加を認める--などだ。

 紙資料削減の必要性は与野党とも認めているが、女性の議場外採決は自民党にも、採決は「出席議員」で行うと定めた憲法との兼ね合いなどを指摘する慎重論があり、「平成のうちに」実現するのは難しそうだ。


どらどら…うん、たしかにあった。

www.shugiin.go.jp
第五十六条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。


出席議員ということなら、妊娠出産だけでなく、大きな医療機器と接続された状態で無ければいけない重度の病気、障害などを持った人がもし議員に当選しても、出席は難しかろう(大幅な改装などでもするつかないか)。



…と書いた(引用した)けれど、何も別に「だから憲法改正が必要だ」と言ってるわけじゃない。
やはり世のなか、憲法を描く人がジェール・ヴェルヌやヒューゴー・ガーンズバック、A.C.クラークほどに未来技術を予測できるわけがないんで、不正などが外部から働いているということに疑問の余地が出ることなく遠方から
投票をする技術、なんてことは想定の外だったんだろう。
だから文章に「出席議員」とかいちゃった。テレビ会議も電子投票もアウトオブ眼中。
それはしょうがない。

そういうかたちで票が数票うごくことで、政治の結果も変わることがある(病気療養で普段は欠席の議員が、重要法案の時に無理にでも出席する、という美談だか悲喜劇もあったはずだ。与野党伯仲や、クロスボーティングの多いアメリカでは特に)

それでもなお、そんなドラマを織り込み、呑み込んだうえで「国会の採決は、出席して票を投じることができる体力、体調のものだけでなされるべきだ。これまでもそうやってきた。妊娠出産なども例外ではない」ということでこのままであっても、それもひとつの護憲論だろう。

それはいかんから改憲する、でもよろし。

法律は、「言葉の定義」のほうを変えるって抜け道があったよね。

この国では、自衛隊でも私学助成でも同性婚(まだアイデアに留まるが)でもそうやってきたっちゃあやってきた。

この場合「出席」というのの定義のほうはどうなんだろう。
いま、テレビ会議なんかでも、自宅で機器の前に座って、そこで「ハイ、わたしここにおりますよー。そっちの議論も聞こえてるし、自分の意見も述べますよー」という状態なら、それは『出席』と定義できるんじゃない???…いや、どうだろうな……。


この際、「言葉の定義」「『出席』とはなんぞや」という定義なら、これは法律屋さんじゃなくて、国語学者さんに話を聞く…というか国語学者さんが決めたほうがいいのかしらね。