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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

レーガン元大統領が認知症(アルツハイマー)を告白し、米国民に贈った最後のメッセージ

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101210#p4
にて「看護助手のナナちゃん」という作品を紹介しました。その流れで、この作品の大きなテーマのひとつになっている「認知症」に関連し、レーガン元大統領がアルツハイマーを公表したメッセージがある、という話をしました。そして「これの原文が無いだろうか」という風に募集したところ、コメント欄で紹介いただきました。有難うございます。

多くを翻訳オンラインソフトと、発表当時の翻訳文の記憶に負ったのですが、なんとか訳してみることができました。以下、紹介します。
 

ロナルド・レーガンがアルツハイマーを国民に公表したメッセージ。

アメリカ国民の皆さん。
私は現在、アルツハイマー病に悩まされるアメリカ人――何百万人もいます―― そのうちの一人だと告げられています。
 
私たちは、この知らせを聞き、私は妻のナンシーと、これを一私人の個人的な問題として留めておくか、あるいは公共の場にこれをニュースとして知らしめるべきかどうかを話し合いました。
 
かつて、ナンシーは乳がんに苦しみ、私もがんの手術をしました。私たちはそれを隠さず、広く開示することによって、国民のがん予防への意識を高めることができたと思います。結果として、多くの人々ががん検査をしてくれたことはたいへん幸せなことでした。彼らは初期の段階でがんを発見し、治療を受けて健康的な生活に戻ることができました。
 
ですから今回も、この問題を、あなたたちと共有することが重要だと思います。私たちがこのことを公にすることで、人々のこの問題に対する意識をいい方向に改善する可能性があると思います。おそらくそれはこの病気への理解を、その人自身やその家族、大なり小なりの関係がある人に促進してくれるのではないでしょうか。
 
現時点では、私はまだ大丈夫です。私は、神が私にそうさせようと思うことを行いながら、地上で私に与えてくれた年月の、残りの部分を生きていきます。私は、最愛の妻ナンシーと、私の家族と一緒に、人生の旅を続けます。私はそこにあるありのままの人生を楽しむために、私の友人や支持者とこれから連絡を取り合っていこうと思います。
  
残念なことに、アルツハイマー病が進行するにつれて、家族にのしかかる負担や責任は重くなっていきます。私は、ナンシーのこの苦しみをなんとか和らげることができるよう望んでいます。時が来ればあなたがたの助けを借り、彼女は信仰と勇気をもって、そんな事態に向き合ってくれるだろうと、私は確信しています。
 
最後に、私はあなたがたアメリカ人に感謝したい。あなたがたの大統領として仕事をすることができたことは私にとって、とても大きな名誉でした。主が私を御許に招いてくださるとき、私は、この国の未来に対して大いなる楽観と愛を携えながらそこへ向かうことでしょう。
 
私は今、人生の黄昏へ向けた旅に出発します。
その黄昏の向こうに、常にアメリカの明るい夜明けがあることを知りながら。
 
わが友人たちよ、ありがとうございました。そして幸いあれ。

原文
http://www.pbs.org/wgbh/amex/reagan/filmmore/reference/primary/alzheimers.html

Alzheimers Letter
My fellow Americans, I have recently been told that I am one of the millions of Americans who will be afflicted with Alzheimer's disease.

Upon learning this news, Nancy and I had to decide whether as private citizens we would keep this a private matter or whether we would make this news known in a public way.

In the past, Nancy suffered from breast cancer and I had cancer surgeries. We found through our open disclosures we were able to raise public awareness. We were happy that as a result many more people underwent testing. They were treated in early stages and able to return to normal, healthy lives.

So now we feel it is important to share it with you. In opening our hearts, we hope this might promote greater awareness of this condition. Perhaps it will encourage a clear understanding of the individuals and families who are affected by it.

At the moment, I feel just fine. I intend to live the remainder of the years God gives me on this earth doing the things I have always done. I will continue to share life's journey with my beloved Nancy and my family. I plan to enjoy the great outdoors and stay in touch with my friends and supporters.

Unfortunately, as Alzheimer's disease progresses, the family often bears a heavy burden. I only wish there was some way I could spare Nancy from this painful experience. When the time comes, I am confident that with your help she will face it with faith and courage.

In closing, let me thank you, the American people, for giving me the great honor of allowing me to serve as your president. When the Lord calls me home, whenever that may be, I will leave the greatest love for this country of ours and eternal optimism for its future.

I now begin the journey that will lead me into the sunset of my life. I know that for America there will always be a bright dawn ahead.
Thank you, my friends.

Sincerely,

かつて雄弁家としられ、また一方で不勉強や無教養を揶揄されたこともある大統領の、公に発した最後のレターである。
アメリカ国民への感謝で、レーガンの別のやり取りを思い出した。冷戦終結直後に功績をたたえられ、
「あなたは最も偉大な指導者だと言われていますよ」
と告げられたレーガンはこう答えた。
「いいえ、最も偉大な国民の、指導者でいられたのです」

…といういい話なのだが

海の向こうの島国に、いしいひさいちという男がいた(笑)
かれが当時描いた四コマ(記憶による)

1、レーガン「みなさんに告白があります」
2、「わたしはアルツハイマーを患っています」
3、記者たち「おお、なんと率直な!」「感動した!」
4、レーガン「発病は20年前(大統領在職中)でした」。記者団ずっこける。

・・・・ははは、いやいやこれが自由民主主義国の強みだ。一方で政治家は美文と格調の限りをつくして国民に訴え、風刺漫画家は機知と冷笑の限りを尽くしてそれを揶揄する。
そんな表現がつながりあって一体なのだ。
ということで、下のエントリにもちょっとつながる。