村上春樹に読者の声を届けるよ!

 タイトル通りのエントリーです。呼びかけ文はこんな感じで。転送歓迎。

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 すでにご存知の方も多いかもしれませんが、村上春樹エルサレム賞を受賞することになりました。エルサレム賞というのは、ひとことで言えば、イスラエル占領政策を続けているエルサレム市長が、「社会における個人の自由」を描いた作者に贈る文学賞です。

 P-navi info:「拝啓 村上春樹さま ――エルサレム賞の受賞について」
 http://0000000000.net/p-navi/info/column/200901271425.htm

 個人的には村上春樹に特別な愛着があるわけでもないのですが、かりにも表現に携わる人間が、さわやかにエルサレム賞を受賞するって、どうよ?と激しく思うので、読者の声として出版社経由でメッセージを届けることにしました。

 便乗してくださる方、大募集中です。以下の条件に当てはまり、かつ時間のある方は、下のフォーマットをコメント欄*1から送ってください。メッセージはひとことでもOKです。

 授賞式は2月15日(日)に行われるそうなので、締切は2月5日(木)あたりでお願いします。

【条件】

  1. 村上春樹の作品(短編、エッセイも可)をひとつでも読んだことがある。
  2. 村上春樹エルサレム賞をボイコットするべきだ、あるいは、エルサレム賞を受けるなら授賞式でイスラエル占領政策を批判するべきだと思う。

【フォーマット】
名前:(ペンネーム、イニシャル、無記名でも可)
メッセージ:(ひとことでも可)
村上春樹の中で好きな作品:(あれば。なければ読んだことのある作品。)
公開可否(可の場合、名前以外の部分をブログで紹介させていただきます。)

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 いただいたメッセージは随時更新していきます。

メッセージ:村上春樹の小説、学生時代にたくさん読みました。世界に受け入れられていくことを日本人としてもうれしく思います。銃弾に倒れた学生の視界を闇が覆っていく様子を鮮やかに想像できる村上さんが今回の受賞という機会を通して、現在行われている、イスラエルガザ地区への虐殺行為を非難しない理由はない、と確信しています。

村上春樹の中で好きな作品:みな、同じくらい好き

メッセージ:「この政治的な状況に鑑みて、」人権侵害への抗議を行ったイスラエルの彫刻家ダニ・カラヴァンは言った。「アーティストならびに芸術は、上品さを取り払い、事実に正面から向き合い、社会に衝撃を与えようとする試みをなさなければならない」。『ハアレツ』の編集長が選考委員長にせよ「この政治的な状況に鑑みて、」受賞を辞退していただきたい。
村上春樹の中で好きな作品:受賞を受けたならば全てを破棄する予定です。

メッセージ:あなたの虚構(フィクション)をこれからも楽しんでいくために、現実に対する態度をあやふやにしないでほしいと思います。
村上春樹の中で好きな作品:中国行きのスロウ・ボート

メッセージ:村上さんの二項対立に回収されない思考にとても惹かれています。でも二項対立に回収されないということと、特定の場合に特定のポジションを取るということは矛盾しないと思います(選択肢は二つだけではないので…)。‘We have to be responsible for our memories. My stories are not written in realistic style. But you have to see reality. That is your duty, that is your obligation.’という言葉を、信じています。
村上春樹の中で好きな作品:羊をめぐる冒険』;『ねじまき鳥クロニクル』;『村上春樹河合隼雄に会いにいく』;『アンダーグラウンド』;『約束された場所で underground 2』;『神の子どもたちはみな踊る』(特に「タイランド」と「かえるくん、東京を救う」);『海辺のカフカ

メッセージ:2008年にイスラエルに滞在しておりました。村上春樹さんの作品があれほど読まれているとは、村上ファンの一人として誇らしく思えました。イスラエルであれほど人気がある作家ですから、その影響力は大きいと考えます。個人的にはイスラエルの対パレスチナ政策は、イスラエルおよびユダヤ人自身にとっても決してプラスにならないと考えています。それゆえ、イスラエルに対する批判は「親切」であると考えます。非暴力の平和を願う村上ファンの一人として、村上春樹さんにはぜひ「親切」な対応をお願いしたいと思います。
村上春樹の中で好きな作品:海辺のカフカスプートニクの恋人

メッセージ:貴兄の熱心な読者とはとても言えませんが、貴兄が「自由な表現」を心する作家であり、「人と人とのつながり」を重視するでありましたら、人道上重大な犯罪行為を繰り返して止めない、イスラエル国家が関わる賞は、さしでがましくも辞退されたほうがよいと思います。「政治と表現は別物」と思いたくもありますが、イスラエルの国家ぐるみの犯罪行為が止まない以上、また、その行為に対する非難も発表しないイスラエルの団体と関わるべきではないと考えます。どうか賢明なご判断を。

メッセージ:春樹さんの作品は、正直言ってあまり読みたくありませんでした。あまりの人気で、天邪鬼の私には「なにさ・・」って思う所がありました。でも、やはり人気の秘密が知りたくてひそかに読み始めてから、特に「アンダーグラウンド」を読んで「なるほど・・」と一人で合点しました。
 その春樹さんが今回の賞を受賞したというニュースを知り、「これはきっと、イスラエルの罠に違いない!」と、確信しました。 どうしてか? 彼らイスラエル人は「日本人の代表である日本政府はいつも事をあいまいにし、どんなことを言われても抗議も出来ずにへらへらと受け流す人たちだ。国民的人気作家である春樹が同じような態度で臨んだらもうこっちのものだ。日本人を懐柔するのはたやすいことだ。」と、春樹さんをリトマス試験紙代わりにしようとしているのです。
 ここはかっこよく受賞に対して「NO!]と言うか、授賞式で「ガツン!」と批判してやるしかないのです。
 へらへらと笑って受賞したら、あなたのその後の言葉は全て真実に対して目を瞑ってしまう事になるのです。どうか、ご一考下さい。

メッセージ:今この時期に、何も言わず「エルサレム賞」を受けるということは、イスラエルの占領と封鎖だけなくガザ攻撃を村上さんが認めていると世界の人々に思われるのではないでしょうか。何のために小説を書くのか、目の前ので起こっているが不正義なことであったら作家なら言葉でそれに「否!」と言っていただきたいです。授賞式が行われるという2月15日もガザへのイスラエル軍の攻撃は続いているでしょう。それでなくても封鎖で、ガザも人たちの生存権も保障されていません。今必要なのは、「エルサレム賞」を受賞されないこと、その理由をはっきり述べることではないでしょうか。
村上春樹の中で読んだことがある作品:「アンダーグランド」「ふしぎな図書館」「ノルウェーの森」

メッセージ:日本で最も知名度が高く人気もある作家の一人である村上さんが、イスラエルによる「エルサレム賞」を受賞すれば、授賞式も関連イベントも様々な媒体で報道されることでしょう。エルサレムイスラエルの都市、首都であると誤解する人も増えることでしょう。村上さんの意思とは無関係に、受賞そのものがイスラエルへの批判を弱める結果につながります。一部では村上さんの評価も下がることでしょう。それは、昔から愛読してきた一読者として非常に残念です。ぜひ、ご自身の言葉で忌憚なくお考えを述べていただきたいと思います。
村上春樹の中で好きな作品:羊をめぐる冒険中国行きのスロウ・ボート

メッセージ:イスラエルパレスチナのことについて、考えを発表してください。神の子どもたちはみな踊るは、私のバイブルです。

メッセージ:少なくとも何らかの形で、この時代に生きる作家としての良識と勇気を示して頂きたい。
村上春樹の中で好きな作品:アンダーグラウンド

メッセージ:この授賞式に参加に関しては、イスラエルが建国前から今に至るまでパレスチナの人達やアラブ諸国そしてイスラエルに住んでる人達に対して何をしてきたのかについてきちんと調べてから判断するべきです。
 村上さんの賢明な判断を切に求めます。

メッセージ:とても、めでたいことだとは いえない。レトリックにはまり込む前に、目の前のものを 救え。
村上春樹の中で好きな作品:風の歌を聴け のうすっぺらさ。もう、あまり思い出せないけれど。

メッセージ:少し前に、日本の日本文化賞だとかいう中曽根元首相らが主催する賞を賞金を裁判中の国鉄労働者たちに寄付したケンローチ監督のようにガザに人々に寄付してはどうなだべか?

メッセージ:ガザの光景は哀しみ以外のものではありません。ホロコーストを受難したイスラエルの民にして、あのような虐殺ができること、暗澹たる思いです。授賞式に出るのなら、せめて許せんと、ガツンと言ったってください。

メッセージ:村上様もいろいろお考えのことと思います。可能な限り効果的な方法で、イスラエルの人たちにパレスチナ問題の解決を強く訴えてください!
村上春樹の中で好きな作品:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

メッセージ:表現をするものとして、根本にもつものを問われていると思います。どうか人に希望を与えてください。
読んだことのある村上春樹の作品:羊をめぐる冒険」 「ノルウェイの森」 「ダンス・ダンス・ダンス」 「ねじまき鳥クロニクル

メッセージ:村上氏のようにすでに国際的な成功を収めている人気作家が、およそ「賞」というもの自体を今さら必要としているとしたら、それがそもそも理解を超えた事象です。そのことはさて置いても、「賞」というものが贈られる側だけでなく、贈る側の名誉のためでもあるという政治性に無頓着でいられる精神の持ち主が、「作家」「文学者」の名に値するはずもありません。国際法を遵守せず、他民族と自国民の大量殺戮を仕掛けるアパルトヘイト政体の政治的立場の強化に貢献することのないよう、一・人・の・人・間・として適切な判断を下すことが、「作家」「文学者」の名誉を守ることにつながるはずです。
村上春樹の中で好きな作品:読んだことがあるのは『風の歌を聴け』だけ

メッセージ:私は、あなたの作品の良い読者ではありませんが、ガザ侵攻の直後に、不当な占領下の都市の名が冠されたこの賞を、あなたが無批判に受賞されることによって、あなたの作品とは関わりなく、日本と世界中のあなたの作品の読者とそうでない人々の間に、また何よりもパレスチナの人たちのなかに、虚無的な心情が広がることを恐れます。
 そのなかの一人に、もちろん私自身も含まれますが。
 どうか、良い対応をお考えください。
村上春樹の中で好きな作品:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

メッセージ:村上さんの物語の中では、距離や時間、時には時空を超えて人々の思いが共振しています。現在は読書の時間を取るのが難しいですが、かつては私も村上さんの作品に没頭し、前述の「共振」に自分の心が触れる度、涙しそうになったものでした。
 善悪の二項対立や薄っぺらな正義、感情論を小気味よく打ちのめしながら、深く静かな目で「人間という存在」を語る、その語り口が好きでした。私が一番好きな作品は「かえるくん、東京を救う」です。かえるくんは普通の・凡庸な人々の生活を慈しみますが、その慈しみも、単純な性善論に堕することはありません。
 ダニ・カラヴァンは「イスラエル建国前のパレスチナ」の記憶をあからさまに隠蔽し、その上でイスラエル人にとって都合の良い「土地の記憶」をテーマに作品を制作しながら、厚顔無恥にも「無名の人々を敬うことは、著名な人々のそれよりも難しい。歴史の構築は無名の人々の記憶にささげられる」というベンヤミンの言葉を引用しています。私は村上さんに、カラヴァンのように振る舞って欲しくないのです。数多の「無名の人々」に対するイスラエルの暴力については、今さら私がここに記すまでもありません。イスラエルにおけるエルサレムという場所の位置づけも、明らかに、それら暴力の延長線上にあります。
 エルサレム賞を受けるかどうか、選択するのは、もちろん村上さん御自身です。しかし村上さんの作品に流れる「人間という存在に対する鋭い考察」とは正反対の虐殺・戦争犯罪プロパガンダ・洗脳を、つまりは人間という存在を根底から否定する行いを、恥じることなく行っているのがイスラエルという国なのです。
 私は一ファンとして、もし村上さんがイスラエル賞を肯定したら、とても悲しく思います。また今更このような賞を受けずとも、村上さんの作品が世界中で愛読され、評価されている事実は変わりません。
追記:ダニ・カラヴァン自身は「自分の作品と政治は無関係」と語ります。彼は、一方でナチスユダヤ人弾圧を人権侵害と糾弾し、原爆犠牲者への祈りを表現するのとは裏腹に、(間違いなくこの世界で最も悲惨な人権侵害に数えられる)イスラエルのアラブ系の人々への弾圧についてはノーコメントです。私は、このノーコメントであること自体が、何よりも彼の政治的立場を雄弁に物語っていると思います。即ちアラブ系の人々を最初から同じ人間と見做していないか(いくら殺しても人権侵害に当たらないということです)、もしくはイスラエルの「建国神話」を無邪気に信じ、自国の虐殺行為を対岸の火事と捉えるほどの無神経かの、どちらかとしか考えられません。
 「敢えて触れないこと」も、立派な政治的立場の表明なのです。
 そして「触れないでおこう」とするほど、その問題から無関係でいようとするほど、逆に簡単に政治に巻き込まれ、いいように利用されるだけです。
 カラヴァンの芸術は、芸術の蓑を被ったプロパガンダです。敢えて政治の顔を隠すことで、あからさまな非難を受けることなく「イスラエル=平和を希求する国家」というイメージを広めることに成功しているのです。たとえカラヴァン自身にその自覚がなくても。
 村上さん、どうか政治に自覚的であってください。あなたが無批判に受賞することにより、あなたがイスラエルの政治に組み込まれることが、私は腹立たしくてなりません。どれだけあなたの作品に力があろうと、いや、力があるからこそ、それはイスラエルにとって「有効な政治の道具」となり得るのです。
 この賞を受けなくたって、あなたの作品の価値は変わりません。この賞を受けなくたって、あなたの作品は世界中で読み継がれます。
村上春樹の中で好きな作品:神の子どもたちはみな踊る」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

メッセージ:村上春樹様。ずいぶん長い間、あなたのファンです。現代文学の可能性を示唆してくれた「風の歌を聴け」に始まる3部作から、あなたの人生の最高傑作「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」、そして比較的最近の作品に至るまで。あなたがオウム真理教に取材した本を書いたり、神戸の震災救済に文字通り立ち上がったり、作家として人として、あなたの時代を駆け抜ける姿のひとつひとつ、すべて注目して来ました。
 誰もが知っているように、あなたの作品は海外でも大きな注目を受け、日本人として稀有なほど、高く評価されています。
 今回のエルサレム賞の件、本来ならばファンとしてとても喜ばしいことだと思っています。しかし、この情勢の中、仮に意図せずとも、この賞を作家村上春樹が無批判で受賞してしまうことは、イスラエル戦争犯罪を容認しているようにも受け止められかねません。あなたの発言・行動は、残念ながら、いまや世界に対してそれ程の影響力を持ってしまったわけです。貧乏学生だった頃とはずいぶんと様変わりしてしまって...
 受賞を受けられるかどうかの選択はあなた自身のご判断ですので、ただの読者である私達に、こうして下さい、と言うことはできないと思います。ただ世界中に読者を持つ作家として、この情勢に対するメッセージ発信は避けて通れないのではないでしょうか。今、ガザで起こっていることはジェノサイド以外のなにものでもありません。人殺しに批判すらできないのなら、作家であり続けることは不可能だと思います。以上、失礼があれば、お許し下さい。でも、あなたの出発点は、世界を変えるための旅であったはずです。
村上春樹の中で好きな作品:世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

*1:このブログはコメント承認制なので、他の人に読まれることはありません。