ガザで起こっているのは「戦争」じゃない(1)
イスラエル軍がガザへの地上侵攻を開始してから今日で3日。本日は、朝日・産経・東京などの各紙が、この問題を社説で取り上げていたので、そのうち朝日の記事をデバッグします。
ガザ侵攻 国際社会は停戦に動け(2009.01.06 朝日新聞 社説)
冒頭からいきなりのバグ発生。今ガザで起こっていることを「戦争」と呼ぶのは、ボブ・サップが咆哮するリングにあなたを放り込んでおいて、それをK-1だと言い張っているようなものだ。まさに血祭り。それって、紛争でも戦闘でも戦争でもなく、限りなくほぼ一方的な殺戮でしょ。
え?ハマスによるロケット弾攻撃でイスラエル側にも死者が出ているじゃないかって?はいその通り。ハマスの誇るカッサム・ロケットは、500発に1発というすさまじい割合で、イスラエル人を殺しているそうです。
ではパレスチナ人側の死傷者は?本日付のP-navi info によると、「ガザ全面攻撃に入ってから10日目、殺されたガザの人は534人、負傷させられた人は2530人(うち重体が300人)になったと報じられている」。繰り返すけれど、これを「戦争」と呼ぶなら、あなたが車に轢かれたとしても、それは一対一の「肉弾対決」だ。スポーツマンシップに則って、どうか成仏してください。
空爆でこれまでに500人以上が死んだ。ガザにある独立系の人権団体は、その2割が子供たちだと報告している。地上戦でも犠牲者が出ている。
同じく、P-navi info によると、地上侵攻が始まってからは、80人ほどが殺され、そのうち70人が民間人だという」。
この事態に、国際社会はまったく無力だ。国連安全保障理事会は即時停戦を求める決議はおろか、声明さえ採決できないでいる。イスラエルを擁護する米国が反対しているからだ。
「国際社会はまったく無力」・・・って、米国とイスラエルは「国際社会をまったく無視」の間違いじゃないのか?だって、米国が拒否権をふりかざさなければ、イスラエルへの非難決議は採択されるんだから。
ガザを支配するイスラム過激派ハマスが昨年来、イスラエルへのロケット弾攻撃を始めた。これに対して自国民を守る自衛権がある。これがイスラエル側の攻撃の理由であり、米国なども理解を示している。
一連の報道でいちばん気になっているのは、「ハマス」という単語の前にほぼ100%の確率で現れる「イスラム過激派」という枕詞。朝日だけでなく、読売・毎日・産経・東京など各紙がそろってこの枕詞を使っているが、ハマスは民主的な選挙で政権を獲得したパレスチナの合法的な政府である。2004年の怪しげな大統領選挙で勝利したブッシュ政権に対して、「キリスト教原理主義」共和党という修飾をつけることもなく、「2000年以降」「イスラエル人1人に対してパレスチナ人8人の割合でパレスチナ人を殺してきた」イスラエルの歴代政権に「過激派」という評価を与えることもなく、なぜハマスにだけ「イスラム過激派」というレッテルを貼ろうとするのだろう?まさか、ハマスの正式名称が「イスラム過激派ハマス」だと本気で思っていたりするのか?
それから、イスラエルのガザ攻撃を引き起こした責任がハマスの先制攻撃にあるといったような説明は、イスラエルが60年以上にわたってパレスチナ難民の帰還権を認める国連決議194号を拒否して、パレスチナの占領を続けている状況下では、ほとんど寝言のようなものだと思う。60年間DVに耐えてきた妻が、ある日、夫に平手打ちを食らわしたら、たちまち半殺しにされてしまったようなものだ。自衛権はイスラエルやDV野郎が支配を継続・強化するための道具じゃないんだから。
だが、空爆や侵攻はパレスチナ側の犠牲があまりにも大きく、過剰な武力行使というよりない。イスラエルは直ちに侵攻を停止し、交渉による事態の沈静化をはかるべきだ。
「空爆や侵攻」でなければ、パレスチナ側の犠牲もそれほど大きくはないし、武力行使も過剰とは言えない――と匂わせるあたりに、朝日の類まれなバランス感覚(ほめてません)が伺えます。本気で腐ってるな。イスラエル支援企業のリストに朝日も殿堂入りできるんじゃないのか?そしてあまりにもバグが多すぎるため明日に続きます。
パレスチナ情報センター 「主なイスラエル支援企業」
http://palestine-heiwa.org/choice/list.html