月猫ツーリスト雑記帳

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東山魁夷と日本の四季@山種美術館

山種美術館で行われている、東山魁夷の展覧会を見てきました。
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丁度この日は日本橋三越での東山魁夷の展覧会も有りましたので、期せずして東山魁夷の梯子をしたような感じになりました。

三越の展覧会は東山魁夷の集めた美術コレクションを軸にした展示でしたが、山種美術館のほうは「東山魁夷と日本の四季」というタイトルの通り、日本の風景を描いた作品に照準を当てています。


以下、気に入った作品について、短文コメントを書き散らします。


まずは、展示室に入って最初に目に入る作品から。

東山魁夷「白い嶺」
蔵王だったかな?の樹氷を描いた作品。雪の質感を出すために白色を厚塗りにしているのが、東山魁夷にしては珍しい気がします。


最初の第1章は「風景画家への道」。ここでは東山魁夷の師匠として、川合玉堂などの作品が展示されています。山種にある玉堂さんの作品は何度見てもいいですわ。

川合玉堂「山雨一過」
峠道の風情が一枚に凝縮されていて。
川合玉堂「渓雨紅樹」
余白による雨もやが、雨の暖かさを伝えるような。小さめに人が描かれていることで、雰囲気が引き立てられています。
川崎小虎「草花絵巻」
川崎小虎は東山魁夷の奥さんのお父さんにあたる人です。明るい色が可愛らしいです。


第2章は「《満ち来る潮》と皇居宮殿ゆかりの絵画」。戦後に再建された皇居宮殿に飾られた作品が、皇居の中であまり人目に触れられないままとなることを思って、同じような作品をそれぞれの画家に描いてもらったものが山種美術館に所蔵されています。それを展示しようという企画です。

上村松篁「日本の花・日本の鳥」
扇面散らし屏風の屏風の中に、花や鳥が描かれています、。松篁さんらしいデフォルメされた鳥がなんとも可愛いです。
東山魁夷「満ち来る潮」
横に巨大な作品で、確か山種美術館の展示室は、この作品(と、奥田元宋の「奥入瀬」)が展示できるように展示スペースのサイズを決めたのではなかったかしら?
下からの照明もあることで、プラチナ箔の輝きが凄いです。また、岩の色を濃淡でなく金泥で表現する大胆さもあります。個人的な好みとしては、宮殿に飾られている作品よりも山種の作品のほうが、岩や波の表現が面白い気がします。
橋本明治「朝陽桜」
宮殿にある作品の写真と見比べて、(たらしこみや幹の位置が、そっくりだけど違うんだなぁと。
山口蓬春「新宮殿杉戸楓」(4分の1下絵)
下絵ですが、サイズが小さいだけで本物としか思えない丁寧さの作品。装飾的な紅葉ですが、下から上へのグラデーションが鮮やかです。
東山魁夷「山嶺白雲」(習作)
本当は4章の作品ですが、このあたりにありました。習作となってますが、どう見ても完成でしょ?、これ。朝もやの空気感が素晴らしいかと。


そして第3章は「京洛四季-魁夷が愛した京都の四季」。
京洛四季は1968に全18作が作成されたもので、川端康成に、今京都を描かないと無くなっちゃうぞと言われて描いたという逸話のあるシリーズです。何となく(四季なので)4作品だと勘違いしてたのですが、違ってましたね……。

東山魁夷「緑潤う」
修学院離宮の庭園を描いたもの。みどりを映し出す水面が柔らかく感じます。
東山魁夷「北山初雪」
川端康成のノーベル賞受賞記念か何かでプレゼントしたものとのこと。雪の積もる深山、が美しい。
東山魁夷「年暮る」
有名な京都東山の冬の夜。時の止まった感じがいつみても引き込まれます。


最後の第4章は「四季を愛でる」。タイトルの後半、日本の四季を感じる作品を展示します。

東山魁夷「春を呼ぶ丘」
東山お得意の白い馬が画面に現れますが、雪解け直後といった感じの畑を見ているうちに、白い馬が農耕馬に見えてきます……。
東山魁夷「白い朝」
雪の降る中、枝にとまる一羽の黒い鳥。鳥の背中が寒さを強調しているかのようです。

引き続き、東山魁夷と同時期の画家が描いた四季もありました。

山口蓬春「梅雨晴」
この絵は、絵葉書もクリアファイルも我が家にあるお気に入りです。アジサイが大きく描かれているだけとも言える絵ですが、このアジサイはグラデーションが良いのが素敵です。
山口蓬春「錦秋」
そしてこちらは秋の蓬春さん。蓬春さんの鳥は、ちと目が鋭いです。


山種の持っている日本画は趣味に合うものが多いので感想が長くなりましたが(というか、紹介する作品が多くなりすぎた)、やっぱり好きです山種美術館。



追伸:この展覧会、皇太子さまと雅子さまもご覧になったそうです。雅子さま、お元気そうで何よりです。