オウンドメディアの記事制作ガイド【SEO記事・企画記事】

Hiroaki Inoue

Hiroaki Inoue

インハウスマーケティング部のSEO担当・井上です。

この記事では、オウンドメディアの運営を始めたばかりの初心者や記事制作が未経験の方を対象に、オウンドメディアにおける記事制作の具体的な進め方を「SEO記事」「企画記事」に分けて徹底的に解説します。

  • 自社メディアでどんな記事を制作すればいいか分からない
  • そもそもSEO記事と企画記事ってどんな違いがあるの?
  • 取材までに必要な準備ってなに?

こんな悩みをお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にオウンドメディアの記事制作に取り組んでみてください。


最終更新日:

前提知識:オウンドメディアの記事の種類

オウンドメディアの記事には大きく分けてSEO記事と企画記事の2種類があります。これらの記事は達成したい目的によって使い分ける必要があるため、まずはそれぞれの記事の特徴を押さえましょう。

以下にSEO記事と企画記事の特徴をまとめました。

SEO記事 企画記事
目的 流入獲得、リード獲得 採用強化、有識者のノウハウを発信、信頼性の獲得など
流入チャネル Googleなどの検索エンジン SNS、外部サイトからのリンク
記事内容 自社商材に関連するトピックの解説、他社商材と自社商材を比較して紹介するなど、特定の領域に強い会社として訴求 社員インタビュー、有識者へのインタビュー、導入事例紹介などでメディアの価値向上や自社ブランディングを図る
メリット 中長期的な流入獲得が可能、特定の領域に詳しい・強い会社だと認知してもらえる 採用ミスマッチの防止、取材相手のフォロワーにリーチできる、導入事例の場合は自社商材のメリットを第三者に語ってもらえるなど
デメリット 効果が出るまで時間がかかる、メンテナンスが必要 長期的に読まれづらい、公開まで時間がかかる、執筆難易度が高い

ここからはSEO記事、企画記事の詳しい作り方や制作フローについて紹介します。

※下記リンクをクリックすると該当箇所までジャンプします
オウンドメディアの記事の書き方【SEO記事編】を見る
オウンドメディアの記事の書き方【企画記事編】を見る

オウンドメディアの記事の書き方【SEO記事編】

SEO記事は以下のフローで制作を進めていきます。

  1. キーワードを選定する
  2. キーワードの検索意図を読み取る
  3. 記事の構成を作る
  4. 執筆する

① キーワードを選定する

記事制作を始めるためには、記事のキーワードと作成を進める優先順位を決める必要があります。キーワード選定のポイントは自社メディアのペルソナが検索しそうで、Webサイトの運用目的に合うキーワードを洗い出すことです。

たとえば弊社LIGの場合、メディア運用の目的のひとつにお問い合わせ獲得があります。弊社ではWeb制作・Web開発をおこなっており、オフショア開発やサイト制作後のコンテンツ制作まで支援できるのが強みです。

このようなサービスを求めているユーザーが検索しそうなキーワードを考えてみると……

  • 「オフショア開発 会社」(オフショア開発ができる会社を探している)
  • 「コンテンツマーケティング 会社」(メディア運用の支援や記事制作ができる会社を探している)
  • 「Web制作 ワンストップ」(サイトの企画から実装、運用まで一貫して任せられる会社を探している)

などが挙げられます。

まずは自社事業の特徴や強みを整理したうえで、考えうるキーワードを洗い出していきましょう。事業内容から考える以外にも、サジェストを見たり、競合サイトがターゲットとしているキーワードを見て参考にしたりするのもおすすめです。

キーワードを洗い出し終えたら、検索ボリューム数を考慮しつつ目的に近いものから作成していきましょう。リード獲得が目的の場合は「人気」「おすすめ」などのキーワードが有効ですが、これらのキーワードは競合他社も注力しています。

上位表示を獲得するには、そのトピックに対する専門性が高いWebサイトだとGoogleに認識してもらう必要があるため、コンテンツが少ないうちはお問い合わせを獲得したい事業に関連するトピックのコンテンツを増やすことを優先してください。

② キーワードの検索意図を読み取る

SEO記事の制作においてもっとも重要な工程が、ユーザーの検索意図を探ることです。ユーザーは課題や悩みを解決するために検索で情報を得ようとしており、Googleはユーザーのニーズにもっとも応じた記事を上位に表示させます。したがって、SEO対策の本質はユーザーの検索意図に沿った記事内容を考えることにあるといえるでしょう。

ユーザーの検索意図はキーワードごとに変わります。たとえば「Web制作会社」と検索する人は自社のWebサイトを制作してくれる会社の候補を探している場合もあれば、どのようなWeb制作会社があるのかざっくばらんに知りたい人もいるでしょう。

一方で「Web制作会社 東京」のようにエリアを絞り込んで検索する人は、東京の会社と対面でやり取りしたい、東京にあるWeb制作会社に転職したいなど、より具体的なニーズが予測できます。

各キーワードごとにユーザーがどのような課題を抱えているかを類推することは、SEO対策において非常に有効といえます。そのためには、サジェストを見る、または上位にある競合ページを見るのがおすすめです。

サジェストを見る

サジェストとは、検索の際に関連性の高いキーワードを提案する検索エンジンの機能のことです。たとえば「Web制作会社」と検索窓に入力すると、「Web制作会社 大手」「Web制作会社 ランキング」など、そのユーザーが知りたい情報に沿ったキーワードを表示してくれるため、検索意図を読み解く上で参考にできます。

サジェストは検索窓にキーワードを入力する以外に、「ラッコキーワード」などの無料ツールで確認できます。ただし、無料ツールの場合は検索ボリュームが確認できなかったり、検索ボリュームが古い情報になっていたりする場合があるため、可能であれば有料のSEOツールを使うのがおすすめです。

競合ページをリサーチする

Googleはユーザーの検索意図に沿ったページを評価して上位表示させるため、現在上位に表示されているページ=ユーザーの検索意図を満たしていると判断できます。まずは上位5記事を参考にして、以下のような観点でニーズのある情報を読み解きましょう。

ユーザーのニーズを読み解くためのチェックリスト
  1. 上位コンテンツに2回以上書かれている内容は?
  2. ユーザーはどのような状態で検索している?(いつ、どこで、どんな状況で、誰が、どんな、何を、どのように、どうしたい)
  3. 顕在ニーズ(記事にかかれていることから読み取れるニーズ)
  4. 潜在ニーズ(記事に書かれていない事柄を汲み取る)
  5. 記事を読んだあと、ユーザーにどういった変化が見込めればベストか?

▼キーワードの詳しい調査方法やツールの使い方はこちら
【入門編】SEO対策に必須のキーワード調査方法を無料ツールで実践します

③ 記事の構成案を作る

各キーワードの検索意図を掘り下げたあとは、どのようなコンテンツがあればユーザーの課題を解決できるかを考えるために、記事の構成案を作成します。

見出しとタイトルの作り方

構成案を作る際は、まずタイトルと見出しを考えて全体の構成を明確にしましょう。全体の構成を決めずに書き進めてしまうと、軸が定まらずまとまりのない記事になる可能性が高いからです。

ユーザーの検索意図を読み解いた結果をもとにしつつ、どんな情報があればユーザーに役立つかを一覧で見れるようにまとめていきましょう。

▼SEO記事のタイトルづくりのポイント
  • 30文字以内を目安にし、キーワードを左(最初)に置くように書き出す
    Googleの検索エンジンはPC版で28文字、スマホ版で32文字程度しか表示されません。長すぎるタイトルは表示されないため、端的にまとめてユーザーがひと目見ただけでどんな内容の記事かわかるようにしましょう。
  • 記事の独自性がある部分をタイトルにうまく当てはめる
    検索上位に並んだときに他記事と似たタイトルになってしまうと、ユーザーの注目を惹きつけられません。競合記事とは異なるオリジナリティの部分を意識するなど、他記事と差別化したタイトル付けを心がけましょう。
▼SEO記事の見出し作りのポイント
  • 見出しを読むだけで書かれている内容が掴めるようにする
    タイトルと同じく、見出しもひと目で内容がわかるようにするのがおすすめです。ユーザーが記事の内容を把握しやすくするためだけでなく、クローラーが記事の内容を正しく理解できるようにするためです。また、見出しに書かれていることが本文に入っていないなど、内容に齟齬が生じないように注意してください。
  • キーワードを過剰に入れない
    検索に引っかかることを狙って、意図的にキーワードを多用するとペナルティを受けて順位が下る可能性があります。見出しにキーワードを入れる場合は、文脈や記事の流れに影響を与えないことを前提とし、全体の3〜4割程度に抑えましょう。

ユーザーの検索意図に合致しない情報は入れない

構成案を考える際に注意したいのが、ユーザーの検索意図に合致しない情報を入れないということです。

SEO対策では「キーワードや共起語を文中に自然に入れる」「上位のページより文字数を増やす」などのテクニック論が古くから語られてきました。

しかし、Googleは「ユーザーの役に立つかどうか」を重視しています。文脈を考慮せずにキーワードや共起語を入れたり、冗長な表現で文字数を増やしたりするのは絶対にやめましょう。

また、ユーザーのニーズを無視してやみくもに情報を増やすこともおすすめしません。たとえば、「Web制作会社 おすすめ」と検索するユーザーは、自社の希望にぴったりなサイトを制作してくれる会社を探したいという検索意図があると予測できます。

そのようなユーザーに対して「Webサイトに使われる主な言語」「Webサイトの歴史」といった情報を紹介しても、ユーザーにとって有益になりません。

ユーザーが課題解決をするために必要な情報を盛り込むことも重要ですが、ときには検索意図に合っていない情報を削ることも求められます。

E-E-A-Tを意識する

2024年現在、GoogleがSEOにおいて特に重視しているのは「E-E-A-T」という指標です。E-E-A-T(旧E-A-T)とはGoogleの品質評価ガイドラインで定義されている評価基準で、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の頭文字をとったものです。

  • 経験:経験を基に書かれたコンテンツであるか
  • 専門性:そのトピックに関する十分な知識や技術があるか
  • 権威性:コンテンツ制作者やWebサイトはそのトピックに対する情報源としての権威があるか
  • 信頼性:正確な情報を発信しているか・Webサイトは安全であるか(SSL対応をしていないなども検索順位下落の原因になります)

SEOに強いコンテンツを作るためには、これら4つの基準を満たすことが重要です。とくに「経験」(Experience)は2022年12月16日のアップデートで追加され、今後より重視されると考えられています。既存ページの最大公約数的なコンテンツではなく、自身の経験を根拠とした内容を記事に盛り込み、対策していきましょう。

④ 執筆する

記事の構成案が完成したら、あとは肉付けをして内容を膨らませていく作業が中心となります。ここではSEOライティングにおけるポイントや注意点を解説します。

結論から書く

ユーザーは悩みや課題に対する答えを求めてコンテンツにたどり着きます。SEOの基礎ともいえる「Googleが掲げる10の真実」の中に「遅いより早いほうがいい。」とある通り、ユーザーがいち早く答えにたどりつけるよう配慮することも重要です。

タイトルや見出しを読んだだけで内容がわかるようにする、記事の冒頭に答えを書くなど、課題や悩みを素早く解決できるような構成を考えてみてはいかがでしょう。

初めてライティングに取り組む人やライティングに慣れていない人の場合は、どのような文章構成にすればいいか迷う場合もあると思います。そんなときにはPREP法、SDS法などの文型を使うのがおすすめです。

PREP法:結論→理由→具体例→結論の順序で記載する文章構造
(例文)
最短で動画編集スキルを身につけたいなら、スクールに通うことをおすすめします。(結論)
独学の場合は不明点が出たときにネットや本を調べるしか解決方法がなく、効率的に学習を進めるのが難しいからです。(理由)
たとえばツールを効率的に使うための設定方法などは、実際に編集の現場で活躍している講師に聞くほうが情報の鮮度も高いでしょう。(具体例)
したがって、最短で動画編集を学びたい人はスクールに通うことを検討してみては。(結論)
SDS法:概要→詳細→要点の順序で記載する文章構造
(例文)
動画編集スキルを身につける方法には独学やスクール通学などがあります。効率的にスキルを身につけたいならスクールに通うのがおすすめです。(概要)
独学の場合は自分のペースで学習が進められるメリットがありますが、相談できる相手が身近にいないデメリットも忘れてはいけません。(詳細)

・現場の講師から直接学べる
・カリキュラムに沿って効率的に学習が進められる

以上の理由から、効率的に動画編集スキルを身につけたいならスクールに通うのが良いでしょう。(要点)

ユーザーファーストな表現を心がける

ユーザーの課題を解決するためには、どんなユーザーでも理解しやすく、読みやすい文章にする必要があります。具体的には以下4つのポイントに注意してください。

  • 冗長な表現や重複を避ける
    情報をわかりやすく伝えるためには、シンプルな言い回しが一番です。推敲の際に以下のような表現を整理し、ユーザーが読みやすい文章を心がけましょう。

    ということ、〜することができる
    →赤字部分はあってもなくても意味が通じるため削除

    約10名くらいまず最初に
    →赤字部分はそれぞれ「約」、「最初」が同じ意味のため削除

  • 専門用語は補足を入れるか、使わない
    専門的な知識がないと意味が理解できない単語を使う場合は、文中に補足を入れるか、使わないようにしましょう。
    NG:YMYL領域のコンテンツは専門家に監修を依頼すべき
    OK:YMYL領域のコンテンツは専門家に監修を依頼すべき
    (※)YMYL……Your Money, Your Lifeの頭文字をとったもので、医療、金融商品、法律などユーザーの健康安全や金銭、人生に関わるトピックのこと
  • 表記ゆれをなくす
    表記ゆれとは、同じ意味を持つ言葉が記事中に混在していることです。表記ゆれがあると、文章が理解しづらくなったり、記事のクオリティがコントロールできていない印象を与えてしまいます。記事を出す前に校正ツールを用いてチェックするなど、対策してください。

    〜する、〜するとき
    →漢字かひらがな、どちらかで統一する

    LIG、株式会社LIG
    →株式会社をつけるかトルか統一する

    参考までに、LIGブログの統一表記はこちらの記事で紹介しています。

  • 写真、動画、図表を活用する
    テキストだけで説明しているページは要点が掴みづらく、ユーザーの理解度にも影響を及ぼします。図や表を使って端的に表現できないか、画像や動画を挟むことで直感的に説明できないか検討しましょう。

適切にマークアップする

Googleなどの検索エンジンのクローラーは、HTMLタグを読み取ることでサイトの構造やコンテンツ内容を判断しています。

そのため、タグが持つ意味を考慮して適切にマークアップし、クローラーがコンテンツを正しく判断できる状態にページを整えることもSEO対策のひとつです。

たとえばHタグは記事の見出しを表現するものですが、フォントサイズを調整すればhタグを使った状態と同じ見た目にできます。しかし、これはレイアウト上で同じ見た目になっているだけであり、文字サイズを大きくしただけでは検索エンジンは記事の見出しとして読み取ってくれません。

したがって記事の階層構造を正確に表現するためには、適切なマークアップが必要です。

SEO対策としては効果が大きいものではないと考えられていますが、スクリーンリーダーや音声ブラウザなどを使用しているユーザーにとってはアクセシビリティの向上にも繋がります。基礎知識として覚えておきましょう。

以下に、よくあるタグの間違った使い方をまとめました。

NG OK
見出し フォントサイズを大きくする <h2>などのhタグを使う
見出しの順序 <h2>→<h4>など順序がバラバラ <h2>→<h3>、<h3>→<h4>など正しい順序で設定
リスト 「・」「1.」などテキストで表現 <li><ul><ol>タグを使う
強調 <b>で太字にする <strong>タグを使う
画像で作る <table>タグを使う
※公開後はリライトも必須
公開後の記事は、適宜リライトをして順位を高めていきましょう。最新情報に更新したり、読者にとってより有用な情報を追加するなどし、SEO効果を高めていきます。リライト方法の詳細はこちらでまとめているのであわせてご覧ください。

LIGブログのSEO記事事例を紹介

最後に、LIGブログにおけるSEO記事の事例を制作のポイントとあわせて紹介します。

LIGがおすすめするSEOコンサルティング会社を紹介した記事です。LIGもSEOコンサルティング事業を行っていますが、自社の訴求に偏らず、他社とフラットに紹介することでユーザーの課題や悩みに寄り添えるように意識しています。

 

Web制作会社を探しているユーザーの中でも、大手制作会社に絞って検討しているユーザーをターゲットにした比較紹介記事です。LIGに在籍しているクリエイターに信頼できる大手制作会社を挙げてもらい、公表時点での従業員数が100名以上の企業を忖度なしで紹介しています。

同業他社を含めて紹介しているこれらの記事ですが、2023年現在、どちらの記事も検索上位(1ページ目)を獲得しています。SEO記事の制作においてはユーザーの検索意図に寄り添うことが重要であることの証明になっているのではないでしょうか。

オウンドメディアの記事の書き方【企画記事編】

続いて企画記事の制作フローについて説明します。SEO記事と比べると工数が多く、1記事公開するまでに時間がかかる(経験上、インタビュー記事の場合は1ヶ月半〜2ヶ月程度)ため注意しましょう。

  1. 企画立案
  2. 取材対象者の選定、依頼
  3. スタッフのアサイン
  4. 質問案の作成
  5. インタビュー実施
  6. 執筆、確認、公開

① 企画立案

企画記事の場合はメディアの価値向上や自社のブランディングが目的となります。具体的には以下のような企画記事があります。

「社員、役員インタビュー」で採用強化を図る

社員や役員へのインタビューを通して、自社のカルチャー、ビジョンを発信する記事です。求職者とのタッチポイントを生み、入社後に「会社の雰囲気が合わない」といった採用ミスマッチを防止する目的で制作します。

「有識者へのインタビュー」で専門的なノウハウを発信

特定分野の専門家や著名人にインタビューを行い、自社にはないノウハウや、より専門的なナレッジを発信する記事です。特定の領域に強いメディアとしてブランディングをおこなう、メディア自体の価値を高めるといった目的があります。

「導入事例」で自社商材の信頼性を獲得

自社のサービスや商材を導入しているクライアントへのインタビューをおこなう記事です。実際に利用しているユーザーから第三者視点でメリットを訴求してもらい、見込み顧客の購買意欲を高めたり、信頼性を高めたりする狙いがあります。

② 取材対象者の選定、依頼

社内インタビューの場合は、インタビューの対象となる社員と適宜調整を進めましょう。当然ながら、相手の都合を考慮したスケジュール感で進めるよう注意してください。

社外の人へインタビューする企画では、まず記事のテーマに見合った候補者を選定してから出演依頼を進めます。

候補者選定のポイント

  • 有識者へのインタビューの場合は、自社にないノウハウを発信してもらえる人や、フォロワーやファンが多い人を狙う
  • 導入事例の場合は関係性が構築できている、またはこれから構築したいクライアントに依頼して関係性の向上を図るのも手
  • いずれの場合もSNSなどで記事の拡散に協力してもらえるか、依頼時に確認しておこう

依頼時のポイント

  • 依頼から承諾を得るまで1〜3週間の期間をみておく
  • 取材依頼書を提出し、媒体の説明や記事に出演していただくメリットをしっかり盛り込む
  • なぜその人に出演してもらいたいのか、理由を明記する

③ スタッフのアサイン

自社スタッフでの記事制作が難しい場合は、外部のパートナーをアサインする必要があります。取材対象者への出演交渉と同時に、ライターやカメラマン、ヘアメイクなど、企画を進めるうえで必要なスタッフのアサインも並行して進めましょう。

オウンドメディアを立ち上げたばかりで外注の経験がない場合、パートナー選定の基準に迷う場合もあるでしょう。最低でも以下のポイントを押さえておくのがおすすめです。

ポートフォリオを見せてもらう

原稿や写真のテイストがイメージと合っているか確認するために、ポートフォリオを必ずチェックしましょう。ライターやカメラマンとひとくちに言っても、得意な分野、作風などは人によって大きく異なります。企画のカギとなる領域・分野の知識を持っているか、ロケやインタビューでの撮影経験が豊富かなど、企画の趣旨に合ったスタッフに相談することが重要です。

依頼内容とギャランティは必ず事前にすりあわせる

後々トラブルを防ぐために、文字数や撮影予定の写真枚数、取材予定時間やギャランティは必ず依頼時点で合意を得ておきましょう。ログを残すためにメールなどテキストでのやり取りがおすすめです。

▼外部パートナーに依頼する際のポイントはこちらの記事にもまとめています
外部ライター・カメラマンと気持ちよく仕事するために押さえたい10のポイント

④ 質問案の作成

質問案は取材が正式に決まった段階で作り込んでいく資料です。まずは取材対象者の情報を知ることが重要なので、過去の取材記事、著書、SNSなど、取材対象者が発信・出演している情報をまんべんなくチェックしましょう。

過去に他媒体などでインタビューを受けている人の場合は、その記事と同じ質問ばかりにならないように注意してください。ユーザーはまだ世の中に出ていない情報を求めています

リサーチの結果、自分が聞きたいと思った情報を聞けると、独自性のある質の良い記事になるでしょう。取材対象者が考えを整理できるよう、1週間前には先方にも共有しておくのがおすすめです。

また、記事の目的を意識しながら質問を作ることも重要です。たとえば新卒採用強化が目的の社員インタビューの場合、学生が読んだときに社風や働き方などの解像度が上がるような内容が求められます。一方、社内報など社内コミュニケーションを目的として社員にインタビューする場合は、趣味や今後目指すキャリアステップなど「人となり」に切り込んでいくような切り口の方が興味を持って読まれるでしょう。

記事の目的を表現するためにはどのような話を引き出し、どう結論づければいいのかを考えつつ質問を作っていきましょう。

▼質問案の詳しい作り方を知りたい人はこちら
「聞く力」を高める質問案とは?質問される側になって考えてみた

⑤ インタビュー実施

ここまで準備ができれば、あとはインタビューを実施するのみとなります。企画内容にもよりますが、インタビュー記事の場合は取材・撮影込みで1.5〜2時間ほどかかります。取材対象者やスタッフには依頼時点で伝えておきましょう。

私の経験から、ちょっとした取材のコツも3点紹介します。

質問案をまるごとトレースする必要はない

事前に用意した質問案の流れをそのまま取材で聞いていく必要はありません。気になった点や記事の目的に見合った話が聞けそうであれば、適宜深掘りしていきましょう。

録音機材は2つ以上用意する

万が一のトラブルに備えて、インタビューの際はICレコーダーやスマホなど、必ず2つ以上の録音機材を使いましょう。私も過去にICレコーダーの容量が途中でいっぱいになり、最後まで録音できていなかったことがありました。そのときは別のスタッフの録音機材も同時に回していたため無事に取材終了できましたが、それ以来は必ず2つ以上持っていくようにしています。

机は片付けておく

インタビューシーンの写真を撮影したいなら、取材中に同時に進めるのが効率的です。はじめに取材対象者にも断りを入れたうえで、机の上に資料や飲み物は置かず、きれいな状態にしておきましょう。

たとえば序盤はプロフィールに関わる部分など定番の質問で場の雰囲気をつくりつつインタビューシーンを撮影し、必要な写真が撮れたら資料や飲み物を戻してインタビューに集中する流れで進めるのもおすすめです。

⑥ 執筆、確認、公開

取材後は記事の執筆、取材対象者への確認、公開の順番で進行します。それぞれのポイントや注意点についても解説します。

企画記事の執筆のポイント・注意点

  • インタビューの順番通りに構成しない
    記事の構成とインタビューの流れは切り分けて考えても問題ありません。大切なのは、記事で伝えたいテーマを最大限表現するために、どのような構成が適切かを考えることです。可能であればSEO記事とおなじく、企画後に構成案を作り記事のゴール(伝えたいこと)のイメージをつけておくとよいでしょう。
  • 脱線した話は思い切ってカットする
    記事の趣旨と関係ない部分はカットしてください。せっかく取材に協力してもらい話を伺ったので、カットするのは忍びないと感じるかもしれませんが、読者が見たときに興味のない部分であれば、思い切って削りましょう。

原稿確認のポイント・注意点

原稿が完成したら取材対象者への確認も必ず行いましょう。依頼時点や取材の際にスケジュールを共有し、原稿戻しの日程に遅れが出ないようコントロールしておけるとベターです。経験上、初稿の確認に1〜2週間程度、その後2稿、最終プレビューの確認に各3営業日ほど時間が必要です。

公開・記事の拡散について

記事の公開後は取材対象者に報告するとともに、SNSで拡散してもらえるようにあらためて協力をお願いしましょう。

インタビュー記事はSEOを狙いに行く構成ではない場合が多く、取材対象者や自社のSNSも大きな流入経路となります。インタビュー記事は公開後が情報の鮮度も高く、読者の興味度が一番高い時期なので、なるべく早いタイミングで告知するのがおすすめです。

LIGブログの企画記事事例を紹介

最後に、LIGブログにおける企画記事の事例を制作のポイントとあわせて紹介します。

 

LIGが運営するWebクリエイター育成スクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」の新講師を紹介したインタビュー記事です。最前線でエンジニアとして活躍している有識者に、仕事の楽しみ方や業界のトレンドを伺いつつ、新たな講座のPRにもつなげた例となっています。

 

LIG社長である大山の「人となり」に切り込むインタビュー企画。あえて経営以外のテーマを設定することで、LIGのカルチャーや経営陣のマインドをフランクに紹介した連載記事です。LIGという会社全体の雰囲気も掴んでいただける記事になっているかと思います。

 

Web制作におけるLIGの担当者の提案や対応について、クライアントの視点で語っていただいていたサイト制作事例紹介です。この記事のように第三者の目から見て安心感や信頼性を訴求できるのが導入事例記事のメリット。見込み顧客に自社商材の強みを印象付けたい場合などに有効です。

オウンドメディアの成功事例

手前味噌ではありますが、成功事例として弊社LIGの運営する「LIGブログ」についてご紹介させていただきます。

LIGブログではBtoB、BtoC分野での認知拡大と問い合わせ獲得を目的に、社員自身が記事コンテンツを執筆しています。

たとえば、DXやシステム開発支援の会社を探している企業に向けたノウハウコンテンツや、テクノロジー分野の最新トレンドなど、弊社の事業領域に関する記事を日々発信することで、「この分野に関して強い会社」というイメージを持ってもらうことを目指しています。

下記の記事では、全13社のオウンドメディア成功事例を紹介していますのでぜひご覧ください!

オウンドメディアの成功事例13選を見る

記事制作でよくある質問

オウンドメディアの記事制作は内製、外注どちらがいい?

オウンドメディアの記事制作は自社のみで進める内製と、外部のパートナーに制作代行を依頼する外注の2パターンあります。

どちらが自社に見合っているかは社内体制や記事の制作本数にもよるため、一概には言えません。外注を検討する場合は、1記事あたりのコスト、時間、質の3軸で比較しつつ考えてみましょう。

内製 外注
コスト 社外にお金は出ないが人件費が必要 記事1本ごとに制作費が必要
時間 社内メンバーだけでまかなう必要があり、他業務と兼業している場合は制作が追いつかない 記事制作のみにコミットできるため、スケジュール立てて進行しやすい
自社事業や、顧客像を理解しているため、メディアの目的に見合った記事を考えやすい 依頼したスタッフによってクオリティに差が出る場合がある

▼内製と外注のコスト・時間・質を詳しく比較した記事はこちら
オウンドメディアの記事、内製する?外注する?【徹底比較】

オウンドメディアに必要な記事数の目安は?

具体的な目安はメディアのKPIによって調整していく必要があります。

たとえば月間1万PV達成したいなら、月間1,000回検索されるキーワードでSEO記事を70記事制作し、すべての記事が掲載順位1位(CTR14%換算)を獲得すれば理論的には達成可能です。

まずは100記事を目指そうという意見もありますが、むやみに数を追うのではなく、メディアの目的やKPIを達成するために質の高い記事制作に注力すべきです。

SEO記事の文字数は多い方がいい?

キーワードによって目安となる文字数は変わります。上位ページの平均文字数が目安となりますが、SEO記事はユーザーの検索意図を満たすためにどの程度の情報が必要かを考えることが重要です。

文字数ありきで考えるのではなく、ユーザーが求める情報を書くために文字数が増えるという捉え方をしましょう。

オウンドメディアの記事制作はSEO記事・企画記事の両輪で回す

オウンドメディアの記事制作で効果を出すためには、SEO記事と企画記事を両輪で回していくことが大切です。

企画記事はメディアとしての価値を高めたりブランディングのために有効ですが、魅力的な記事ができても、ページにアクセスしてもらえないと意味がありません。そのためにも、SEO記事でサイトへの流入を獲得し、企画記事へ回遊させるような戦略も考える必要があるでしょう。

しかし、SEO記事は上位表示されなければほとんど効果がありません。実際に検索順位1位と10位では平均クリック率に10倍以上の差があることもわかっています。この記事で紹介したポイントを押さえて制作を進め、上位表示を狙いましょう。

検索順位とクリック率の関係
  • 1位:13.94%
  • 2位:7.52%
  • 3位:4.68%
  • 4位:3.91%
  • 5位:2.98%
  • 6位:2.42%
  • 7位:2.06%
  • 8位:1.78%
  • 9位:1.46%
  • 10位:1.32%

引用元:SEOラボ「【2023年最新】検索順位別クリック率!1位~10位のCTRは?」

SEO記事と企画記事を両輪で回すためにはリソースやコストもそれなりに必要です。外部パートナーとうまく連携しつつ、じっくりと時間をかけて記事制作を続けることが、オウンドメディアの成長につながります。

LIGは自社メディア「LIGブログ」で培ってきた経験をもとに、お客様のオウンドメディア運用のお手伝いをしています。オウンドメディア立ち上げからSEO施策の提案、記事制作の代行まで伴走いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

詳細はこちら

この記事のシェア数

Hiroaki Inoue
Hiroaki Inoue In-house Marketing / SEO Marketer / 井上 寛章

愛媛県の出版社で、地域情報誌の編集者として6年半勤務。グルメ、レジャーなどライフスタイルに関わる雑誌・WEBアプリの記事制作や、広告制作を行う。2020年にLIGへジョインし、クライアントのオウンドメディア運営支援を経験。その後、LIGブログのPR記事制作ディレクターとなる。

このメンバーの記事をもっと読む
オウンドメディア | 32 articles
「LIGブログ」のノウハウを活かしたコンテンツマーケ支援
お問い合わせ サービス詳細/実績