こんにちは! 好きなうどんは温玉ぶっかけうどん。香川県出身のメディアコンサルタント太田ジョーです。クライアントのオウンドメディアを中心としたマーケティングの支援をしております。
讃岐うどんのコシのように強いWebサイトをつくるには、SEO対策が欠かせません。要するに自然検索の流入のことです!
自然検索からの流入を得るためにまず必要なことは、効果的な「キーワード調査」でしょう。キーワード調査とは、Webの世界における市場調査にあたります。
この記事では、SEO施策をするなら必須のキーワード調査の方法を、実際にキーワード調査をしながら詳しく解説します。
今回は入門編として無料ツールを使ったキーワード調査の方法をご紹介させていただくので、初心者の方もぜひ参考にしてみてください。
目次
キーワード調査とは? 基本概念や目的を整理します。
キーワード調査とは、冒頭でお伝えしたとおり、Webの世界における市場調査のひとつです。自社のビジネスに関係があるキーワードの市場調査をとおして、SEO対策やコンテンツマーケティングなどの戦略を立てるために行います。
検索エンジンを使う人にはなにかしらの「目的」や「知りたいこと」があります。「その需要に対して、どのようなキーワードを使って検索されているのか」「どれくらいの検索ボリュームがあるのか」、そして「それらのキーワードを同じように狙っている競合はどれくらいいるのか」などなど……。
このような検索キーワードの状況を戦略的に知るための調査のことをいいます。
キーワード調査はSEO対策やWebサイト運営には意味がない?
やはりオウンドメディアを運用しているとなによりも先に記事をアップしたくなるもの。そうなると、キーワード調査は本当に必要なのか? といった声もでてきます。
もちろん回答としては「キーワード調査は絶対にするべき」です。その理由は、記事やコンテンツ作りにかけた労力を無駄にしないためです。キーワード調査をすることで……
- 成果の上がるキーワードがわかる
- 狙うべきキーワードの優先順位がつけられる
- キーワードの背景を理解して、コンテンツを考えやすくなる
といったメリットが期待でき、効果的なコンテンツを制作できるようになります。
例として、讃岐うどんのオウンドメディアを運用する「LIG製麺(実在しません)」をモデルケースに考えてみましょう。以下の2種類のキーワードがあったとして、あなたならどちらのキーワードを狙いますか?
- 月間検索ボリュームが74,000の「讃岐うどん」
- 月間検索ボリュームが2,900の「讃岐うどん レシピ」
※後述の「Google キーワードプランナー」を使ってボリュームの調査をしてみました。
パッと見た月間検索ボリュームだけだと「讃岐うどん」のほうが数字的なインパクトがありそうですよね。
しかしキーワード調査を進めていくと、最終的には「讃岐うどん レシピ」を狙う方が良いという結論に辿り着きます。
なぜでしょうか。この結論に至ったステップを、次項目から詳しく解説いたします。
キーワード調査の方法を3ステップで解説
それでは具体的なキーワード調査の進め方を解説します。以下のようなステップで進めていくことがおすすめです。
- キーワードの候補を知る
- 検索キーワードの検索ボリュームを調べる
- 実際に検索して競合の状況を把握する
無料で使えるツールだけを使いながら紹介させていただきますね!
ステップ1. キーワードの候補を知るサジェストツール「ラッコキーワード」
目的とターゲットの明確化
Webサイトや記事など、コンテンツの目的を明確にしましょう。このコンテンツに触れた人はどのような気持ちになってほしいのか、どんな行動に移してほしいのか、それらのコンテンツに触れることによるユーザーの変化はなにが望ましいのか、今一度、目的を整理します。
獲得するキーワードの考察
それではその目的を持つべきユーザーがどのようなキーワードで検索しているのかを考えましょう。
ここで役立つのが「検索サジェスト」です。サジェスト(suggest)とは提案の意味を持っており、検索ブラウザに入力したときに、システム側から提案される関連キーワードを指します。
検索エンジン独自のアルゴリズムの影響もありますが、基本的には検索ボリュームの大きいものが表示されやすい傾向にあります。ほかにも位置情報や短期間的に検索ボリュームが急上昇しているトレンドの影響も受けます。
考えられるキーワードのほかにも、GoogleアナリティクスやGoogle Search Consoleを確認してすでに流入を確認しているキーワードがあれば、そのキーワードを検索してみてどのようなサジェストが発生するか確認してみましょう。
検索サジェストを探すのに使えるおすすめの無料ツールが「ラッコキーワード」です。
こちらは指定したキーワードに対して、どのような組み合わせキーワードが検索されているのかを網羅的に探すことができます。
▲このキャプチャの下にはすごい量のキーワード候補が羅列されています(懐かしいうどん屋の名前がいくつかあってエモい…)
試しに「讃岐うどん」で出してみると、上図のような形で表示されます。検索ボリュームが大きい組み合わせキーワードをピックアップして提案してくれながら、五十音順に候補となるキーワードが一覧で表示されています。
これらのキーワードを見ながら……
- 実際にどのようなキーワードで検索されているのか
- このキーワードで検索している人はどのような状況なのか
- このキーワードで検索している人はなにを求めているのか
など、実際の検索しているユーザーの状況理解をおこないます。ちなみに今回の例で見てみると……
- A. そもそも「讃岐うどん」について調べている層(Know)
- B. 地名や店舗名など「讃岐うどん」を扱っているお店を探している層(Go)
- C. レシピや通販など「讃岐うどん」を自宅で食べるための情報を集めている層(Do,Buy)
※ Know,Go,Do,Buyについては以下でご説明しています。
の3パターンがいることが推測されます。LIG製麺の場合はCを目指して獲得を狙う形が良さそうですね。
ちなみにラッコキーワードでは出てきたキーワード候補からそのまま検索結果画面を確認できて便利です。
ステップ2. 検索キーワードの検索ボリュームを調べる「キーワードプランナー」
たくさんのキーワード候補が見つかりましたが、実際にそのキーワードで検索をするとすでにたくさんのページが存在することがわかります。
果たしてそのキーワードをもとに記事を書いてもすぐに結果が出るのでしょうか?
ここで確認したいのが検索キーワードの月間検索ボリュームです。要するに月間どれだけ検索される需要があるか、ということになります。
月間検索ボリュームの調査におすすめなのは、Google広告の機能のひとつである「キーワードプランナー」です。Google広告を出していなくても、アカウント開設さえすれば誰でも使うことができます(リスティング広告を運用している場合のほうが精度は高くなります)。
上部メニューにある「ツールと設定」より「キーワードプランナー」を選びます。
右側の「検索のボリュームと予測のデータを確認する」を選びます。
調べたい検索キーワードを1行にひとつずつ入れたら「開始する」をクリックしましょう。
csvデータで一括アップロードもできます。さきほどのラッコキーワードから候補のキーワードを一括でダウンロードして、一気に入れてみるのもアリですね。
今回は比較がしやすいように3種類のキーワードだけで見てみます。
なるほど、やはり一番検索ボリュームが大きいのは「讃岐うどん」ですね。一番インパクトもありそうですが、ボリュームが大きすぎるがゆえに上位表示も難しそうです。
次に「讃岐うどん レシピ」は検索ボリュームは小さくなりますが「競合性」のスコアも低いことがわかります。リスティング広告自体の表示も少ない検索結果となりそうなので、自然検索対策をするには良いかもしれません(あくまでこの「競合性」はリスティング広告を運用した際の競合を指すので、自然検索の競合が低いわけではないことをご理解ください)。
さいごに、LIG製麺にとってダイレクトなキーワードとなりそうな「讃岐うどん 通販」について見てみましょう。こちらは思ったより検索ボリュームは少なそうです。しかし、3つのキーワードの中で唯一競合性が「高」となりました。要するに、比較的少ないボリュームのキーワードを多数の企業がリスティング広告で獲得しようとしている状況ですね。
たしかにわざわざ「通販」とまで検索してくれるユーザーがいれば、EC事業をしている事業者からすると絶対に逃したくないユーザーでもあります。競合性が高くなることも頷けますね。
余談ですが、2021 CTR Research Study:The Largest Ever for SEOによると、日本では検索結果1位に表示されるとクリック率が13.94%と推測されています。仮に検索順位1位が取れたら月間平均検索ボリュームの約13%ほどの自然検索流入が見込まれる計算となります。
ステップ3. 実際に検索して競合の状況を把握しよう
キーワードの可能性やボリューム感がなんとなく把握できました。
それではこれらの情報を頭に入れた状態で実際にそのキーワードで検索してみましょう。検索ボリュームが大きいキーワードの検索結果画面、検索ボリュームが小さいけど競合性が高いキーワードの検索結果画面を比較してみましょう。
ここで意識したいのは、自社のコンテンツが今の検索結果のコンテンツに勝つことができるかということです。
検索結果に大きな影響を与える「ドメインパワー」は既存の流入数や検索結果の実績、リンク数などに影響を受けます。すでに表示されているWebサイトはドメインパワーが高いことが多く、そのようなWebページに勝つためにはコンテンツを充実させて、ページ自体の評価を上げることが効果的です。
コンテンツを作成するときは、最低限上位10位以内に表示されているWebページを確認しましょう。共通で訴求されていることはなにか、各社で個性が出ている部分はなにか、自社独自の情報を加えるにはなにが必要か、ということを考えます。
ちなみに現在お読みいただいている記事を書く前にも「キーワード調査」で検索をかけて、上位10社様のタイトルや中身を確認した上で執筆しています(みなさんがお読みになるときには、自然検索の上位で表示されていると良いのですが……!)。
今回の候補の3キーワードを例に出すと……
- 「讃岐うどん」:Wikipediaや行政サイト、外食チェーン店など権威性が高いWebサイトが多い
- 「讃岐うどん レシピ」:メーカーのレシピコンテンツやレシピサイトの上位表示が多い
- 「讃岐うどん 通販」:楽天やAmazonなどのモール系通販から、地場企業までさまざま。広告表示も多い
というような結果となりました。
キーワード調査のコツは顧客行動の理解と、優先順位を考えること
キーワード調査をすると、たくさんの検索キーワードの候補が出てきます。
実際にラッコキーワードを使って「讃岐うどん」のキーワード候補を出すと、703個の候補キーワードが出てきました。すごい量ですね……。703個すべてのキーワードを対策しようとすると、途方もない年月を要し、現実的でない施策を行うことになります。
そこを見誤らないために必要なことは、キーワードに隠れている顧客行動を理解することが必要です。「検索インテント」ともいわれており、4種類に分類できるといわれています。
ただ、こちらはあくまで「ざっくり分けるとこの4種類だよね〜」という温度感であり、検索キーワードによってはインテントが複数にまたがることもあれば、明確に属さないキーワードもあることを忘れないようにお願いします。
Know(知りたい) | ユーザーの知的好奇心を満たすものであり、なにかを知りたいときのクエリ(実際に検索画面に入力する言葉)です。 例:「讃岐うどん とは」「きつねうどん 作り方」 |
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Go(行きたい) | ユーザーの行動欲求を満たすものであり、リアル・Web問わず、特定の場所へアクセスするためのクエリです。 例:「LIG製麺 アクセス」「LIG製麺 通販サイト」 |
Do(やってみたい) | なにか行動したいユーザーの意図を表すクエリです。 例:「讃岐うどん 踏み方」「上手な湯切り方法」 |
Buy(買いたい) | 商品購入を考えている人のクエリです。 例:「讃岐うどん 送料無料」「讃岐うどん 通販」 |
キーワード調査をとおして触れるキーワードのインテントはなにに属するのか、そのキーワードで調べている人はなにを求めて検索しているのかを考察しましょう。
そしてキーワードに優先順位をつけます。その優先順位は、ユーザー感情に寄り添い、自社のサービスに誘因できるかが重要なポイントです。
「自社にとってメリットの高いキーワードは?」「競合視点で狙いやすいキーワードは?」「このキーワードを調べている人はどんな人が多い?」
キーワード調査をとおしてキーワードそれぞれに対する解像度を上げていきましょう。
キーワード調査をもとにコンテンツの企画を考えよう
無料のツールを使っても十分に調査を広げることができました。これまでの傾向から同じような「讃岐うどん」に関連するキーワードでも、それぞれ個性が分かれることが判明しました。
では、これらの情報をもとにして、それぞれのキーワードに対する企画や目的を考えてみましょう。
企画の方向性を考える
企画例①「讃岐うどん」
「讃岐うどん」のキーワード調査を振り返ってみると、検索ボリュームが大きく、検索結果も権威性が高いサイトが目立っていましたね。
他のキーワードと比較しても需要がまだハッキリしていない状態なので、そもそもの「讃岐うどんについて」という内容が必要そうです。
このキーワードを対策するなら「讃岐うどんの歴史」や「自社の讃岐うどんへの想い」など、讃岐うどんを起点とした理念などを伝えて、「讃岐うどんを扱っている製麺企業」ということを理解させることが必要なコンテンツとなりそうです。
企画例②「讃岐うどん レシピ」
一方「讃岐うどん レシピ」は、検索ボリュームが比較的小さく、検索結果はレシピ系サイトが多い結果でした。
キーワード自体も「レシピ」という言葉が入っているくらいなので、検索結果のスマホを片手にスーパーに行ってもらったり、台所にスマホを置いて一緒に料理を作ってもらったりするような場面を想定して作っても良いかもしれません。
材料にLIG製麺のうどんを入れ込むなど、レシピをとおしてLIG製麺のうどんを選んでもらうことが一番理想的なゴールです。
企画例③「讃岐うどん 通販」
さいごに「讃岐うどん 通販」は、検索ボリュームが小さいながらも、すごく直接的なキーワードのために競合も多いキーワードとなりました。
もちろん通販(EC)ページに直接流入させることも必要ですが、他者との差別化を考えると、「讃岐うどんを通販で買うときに気を付けるポイント」「讃岐うどんの通販のおすすめ会社10選」など、ユーザーにとって有益な情報を出すことで、接点を設けられるかもしれません。
目的や優先順位を考える
これらの結果を踏まえると、まずは「レシピ」系の検索キーワードなどの「自宅でうどんを楽しもうとしている層」に対してアプローチすることが効果的だと考えました。自然検索の競合や広告の表示状況も比較的落ち着いているので、まず結果が出てきやすいでしょう。
一方で、一番顧客化しやすい「讃岐うどん 通販」に関しては売上に直結する重要なキーワードであり、無視できません。もし予算に余裕があるのであれば、LIG製麺としてもリスティング広告を出して、ユーザー流入の対策を打つことも考えられます。それと並行しながら自社サイトのコンテンツを拡充して自然検索の流入が得られるようになったら、リスティング広告を終了しても良いでしょう。
このとき「讃岐うどん 通販」のページのPV数の伸びが悪くても、「このキーワードはボリュームが小さいからPVの伸びが悪いのも仕方ない。その代わり流入したユーザーのEC誘因率が上がっているからOK」というように、目的に沿ったPDCAを回していくようにしましょう。
このようにキーワード調査をすることで、似たような検索キーワードに対しても、それぞれ違う目的を見つけることができます。
キーワードを深掘りしたいときに使いたい「Googleトレンド」
さいごに、さらにキーワードを深堀りしたいときに使えるツール「Googleトレンド」を紹介します。こちらも誰でも使うことができる無料のツールです。
こちらは指定したキーワードが時系列で相対的に見るとどのような傾向があるのか。一緒に検索されるキーワードはなにか、ということを調べることができます。
試しに「讃岐うどん」で調べてみると、このような結果が出てきました。この棒グラフの見方で注意いただきたいことは、グラフの期間中でもっとも検索数が多かった日を「100」とした場合の、検索ボリュームの時系列の傾向を確認することができます。検索ボリュームではないことに注意してくださいね。
ただ……これだけだと考察するヒントは少なく見えます。若干の浮き沈みはありますが……。
試しに調べる地域を「日本」から讃岐うどんの本場「香川県」に変更してみましょう! プルダウンから地域に「香川県」と直接入力してみます。
いかがでしょうか。「日本」と比較すると4月末〜5月上旬の期間の伸びが非常に高くなっています。おそらくゴールデンウィークの時期に、香川県で讃岐うどんと調べる人が増えた。つまり観光需要が高まっていた、ということが考えられますね。
最大、過去5年間まで表示することができるので、せっかくなのでやってみましょう。
やっぱり2019年のゴールデンウィークの時期が一番高いことが確認されました。また、コロナ禍の間は下がっているものの、今年のゴールデンウィークはボリュームが戻ってきていることも確認されました。
そのため「讃岐うどん」という検索は香川県現地でお店を探している観光客向けに発信されていることが多そうなので、そのようなユーザーに届くような店舗紹介コラムや、お土産コンテンツは響きやすい内容かもしれません。
またGoogleトレンドには、簡易的ですが関連キーワードについて確認できる機能もついています。ユーザーが一緒に検索しやすいキーワードを確認できますので、一緒に有効活用しましょう。
【まとめ】まずは無料でOK! キーワード調査はコンテンツ作りの準備運動!
今回も「LIG製麺」をモデルケースにキーワード調査を実践してみました。
無料のツールを使っても十分な調査ができることをご理解いただけたかと思います。もちろん有料ツールを使うと、もっと短時間で情報を取得できたり、競合サイトの状況を短時間で理解することも可能です。日常的にキーワード調査を進めたい方はぜひそちらもご検討ください。
ちなみに私は有料のツールではahrefs(エイチレフス)を使ってキーワード調査始め、SEO施策の企画検討を行っております。
ただ、ここで忘れてほしくないのは、重要なのはツールの良し悪しではなく、それをもとにどのような仮説を立てて施策に落とし込むかです。
私が頻繁に例えさせていただくのは「データは食材で、コンテンツは料理」ということです。できるだけ多くのデータ(食材)を集めて、それをもとに上質なコンテンツを料理するものだと考えることが重要です。あくまでツールは食材を集める道具が違うだけです。無料ツールで手に入る食材からも腕の良い料理人は良い料理(コンテンツ)を生み出します。
そのために、キーワード調査から知ったキーワードや、競合の状況から、検索しているユーザーの状況を考察しながら根拠を持ったコンテンツ作りを行いましょう。最初は間違えていても良いんです。PDCAサイクルを回しながら、ユーザーに良い情報を届けられるコンテンツを作りましょう。
LIGのオウンドメディアの運用支援でも最初はキーワード調査を行います。ご興味がある方はぜひ一度ご相談ください。