メールは「伝わったつもり」メディア
人と何かやりとりをするとき,メールでやりとりをするよりも,直接面と向かって話し合った方が,より正確なニュアンスを伝えることができるというのは,みんなが知っていること。
だから,「正確なニュアンスを伝える」という点において,メールは弱いメディアだと言える。
でも,メールにはさらに困った点がある。それは,「ニュアンスが伝わった」と勘違いしやすいということ。メールはニュアンスを伝えにくいけど,頑張れば伝わるに違いない! ……って頑張っても,結局,伝わらないんだよね。
ある社会心理学者による面白い実験がある。
Egocentrism Over E-Mail: Can We Communicate as Well as We Think?
被験者を集めてペアにして,用意された文面を使ってふたつの異なるニュアンス(「真面目に」「皮肉っぽく」)を相手に伝えるという作業を行ってもらう。被験者の半分はメールを使って,もう半分はテープレコーダーを使う。どちらも文面を加工してはだめ。ただ,ニュアンスを伝えやすいと思った文面を選んでいい。
伝える側には,ニュアンスが正確に伝わったかどうかを予想してもらう。受け取った側は,どんなニュアンスだったかを当ててもらう。
結果はこんな感じ。
実線が「伝える側の予想」で,点線が「受け取った側の正解率」。
メールの場合に正解率が低いのは,しょうがないと思うんだ。問題なのは,正解率が低いにもかかわらず,「伝える側」が,ちゃんと伝えられたって勘違いしていること。
ああ,だから,メールで微妙なニュアンスを伝えなきゃならなくなったときに,このグラフを思い出してみるといいよ。きっと伝えたいことの 56% ぐらいしか伝わらないってね……。
(via Advertising Lab)