MT車ならではの「謎の儀式」に注目! 駐車時に「よくやる行動」の意味は? 1速やRにギアを入れると「発進しない」理由とは?
クルマを駐車する際、AT車では一般的にパーキングレンジ(P)にシフトを入れたうえでサイドブレーキを使用します。一方で、MT車の場合は1速またはリバース(R)にギアを入れる方法が取られますが、その理由は一体何なのでしょうか。
MT車ならでは! 駐車する時に行う謎の儀式とは?
MT車は、ドライバーが手動でシフトチェンジを行う点でAT車とは大きく異なります。
特に駐車時の操作方法にも違いがあり、MT車にはAT車のようなパーキングレンジが存在しません。
そのため、MT車を駐車する際に「1速にギアを入れる」理由について疑問を持つ人や、そもそもそういった“儀式”があることを知らない人もいることでしょう。
そこで、MT車を駐車する時ならではの行動や、その理由について紹介します。
近年では、MT車の普及率は減少の一途をたどっており、現在販売される国産新車の多くがAT車(CVT車・DCT車など含む)です。
令和5年の運転免許統計によれば、新規取得者116万4801人のうち、AT限定免許を取得した人は78万9713人で全体の約68%を占めています。
このデータからも、AT車の運転が主流であることが分かります。
それでも、MT車には独特の操作性と運転の楽しさがあり、根強い人気を誇っています。
MT車の最大の特徴は、エンジンの動力をタイヤに伝えるトランスミッションの操作をドライバーが直接行う点です。
トランスミッションは歯車の組み合わせで構成されており、ギアを切り替えることで速度やトルクを調整します。
AT車ではこの操作が自動的に行われますが、MT車ではドライバーがギアを選び、クラッチ操作と組み合わせてシフトチェンジを行います。
MT車のシフトパターンは一般的に、1速、2速、3速、4速、5速、6速、リバース(R)から構成され、中央にはニュートラル(N)があります。
一方、AT車ではP(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)などが用意されており、駐車時にはPレンジを使用します。この違いにより、駐車方法もMT車とAT車で異なります。
AT車では、Pレンジにシフトを入れ、サイドブレーキを引くことで車両を固定します。
一方、MT車の場合、駐車時にシフトを1速またはリバースに入れるのが一般的です。
これは、サイドブレーキの効きが不十分な場合でも車両が動き出すのを防ぐための措置です。
特に坂道では、上り坂で1速、下り坂でリバースに入れることが推奨されます。この方法により、サイドブレーキが効かない状況でも車両が前後に動くリスクを最小限に抑えることができます。
サイドブレーキは、ワイヤーを引っ張ることで後輪のブレーキパッドを締め付ける仕組みですが、長期間使用することでワイヤーが伸びたり、ブレーキシステムに不具合が生じる場合があります。
このような場合に備え、MT車では1速やリバースにギアを入れておくことで、車両が不意に動き出すのを防ぐことができるのです。
ギア比が低く、トルクが高い1速やリバースは、車両をしっかり固定する役割を果たします。
近年では、MT車にも電子パーキングブレーキを搭載するモデルが増えつつありますが、従来の手動式サイドブレーキを採用している車種が依然として多く存在します。
そのため、現在でもMT車の所有者にとって駐車時に1速またはリバースにシフトを入れることは、安全対策として重要な手段です。
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MT車の操作は、AT車と比べると難しいと感じる人もいるかもしれませんが、ギアやクラッチを自分で操作することで車両をコントロールしている実感を得られる点が魅力です。
このような操作性は、運転そのものの楽しさを提供してくれるため、多くの愛好者に支持されています。
MT車は減少傾向にあるものの、その独自の操作感やドライビングの楽しさは依然として多くの人々を魅了しています。
運転の楽しさを求める人々にとって、MT車はこれからも特別な存在であり続けることでしょう。