車窓から見える夕焼けの景色が綺麗だった。このままずっと満足するまでどこまでも続けばいいのにと思っていた。隣に立つ同僚の声が列車の走る音でかき消されて聞こえなかったけど、雰囲気で笑ってみた。列車を降りて、いつもはバスに乗るけど、音楽を聞きたくて30分の道のりを歩いて帰る。肌寒い風が心地よくて、まだ家に着かなくていいのになと思いながら歩き続けた。通勤が唯一の1人の時間。
無邪気な年下が、無邪気に発する言葉に嫌悪感をほんの少しだけ抱いたりして。私もこんな風に、無邪気や無知を剥き出しにして傷つけてきたんだろうな。大人げない。疲れている。家にいるより仕事をしている方がいい。家事をしてもお金はもらえないし、義務でもないのに、自分のことを馬鹿みたいと思う。思うけど逃げられない。これもまたバカ。
私は私の人生を、時間を人に使うのが好きじゃないみたい。「誰かのために」を自分の意志以外でやりたくないみたい。毎日、私の時間をテキトーに消費してるくせに、消費している側の人間が「ありがとう」とか言う。それすらストレスに感じることもある。誰でも思うようなことも、文字にすると薄情で過激な発言みたいに言われる。じゃあお前が全部やれよとかも思ったりする。私は私以外の誰かのために時間を消費する。それが悔しくて、ときどき折れそうになる。ここにいることがマイナスにならないように理由をみつけて生きてる。
大人になると、言葉を飲み込むようになっていく。言わないということを選ぶようになる。相手のことなんてどうでもいい。この人がこの先、こんな発言や態度で失敗することがあっても私には関係ないから。めんどくさい。勘違いした相手も同じくらいめんどくさい。