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2007年 10月 10日
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公開されている最終弁論の速記録から、被害者の供述を中心に、公判の資料として役立つように、客観性の高い部分を抜き出してみました。 速記録には、これらの文章に続けて、弁護士さんによる「反論・主張」などが述べてあるのですが、ここでは客観性を重視して「事実のみ」を抽出しています。 どのような反論を弁護側が展開しているのかは、速記録の方をご覧ください。 とくに「被害者の供述」は、公判では非公開となってしまったので、傍聴記さえも存在しないのです。ここで抜き出したモノが、私たちが得られる中では、最も正確な情報だと思います。 ********************* 【被害者の供述や、事件が起きた状況】 01(被害の様子) ・痴漢被害を訴えている女性は、品川駅を発車した直後から2~3分の間、被害者の後ろに密着して立っていた犯人から、被害者の臀部左側面付近や右側面付近を犯人の手のひらと指でなで回すようにさわられたと供述しています。 02(犯行を指摘) ・被害者は、痴漢犯人を注意するために、耳にかけていたヘッドホンを外して、「やめてください」などと言いながら右回りに振り返ったと供述しています。 03(犯人の手を確認) ・被害者が犯人を確認するために、みずからの左臀部をさわっている犯人の左手を確認したところ、その手が来る方向、角度から、真後ろの人間であることが確認できたという供述があります。 04(真犯人の傘の取っ手) ・茶色っぽい木材の取っ手というのは、(←取っ手が木製のカサ) 被害者の真後ろに密着して立って、かつ茶色っぽい木材の取っ手がついた傘を持った人物が、痴漢犯人であるということ 05(犯人の手を、被害者が確認) ・被害者が体自体を折り曲げずに、単に顔をほぼ横に向けて、視線をやや下に向けるという姿勢から、自己の左臀部をさわっている犯人の左手、さらには手首にかかった傘の取っ手を見ることは不可能なのです。(←供述では、これらを見えたと、被害者が供述している) 06(犯人の何が見えたか) ・結局、被害者が甲37の写真のような姿勢で、犯人の左手の人さし指、中指、薬指、小指、手の甲からそで口までが見えたという供述は、 07(右回りにふり返った時) ・被害者は、犯人が被害者のスカートをたくし上げて、下着の上から臀部をさわるという行為を始めたことから、痴漢犯為をやめさせるために、右回りに振り返って「やめてください」と言ったときに、犯人の顔、姿を見た、これが被告人であったという供述をしています。 08(ふり返ったあとの様子) ・被害者は、被告人が2~3歩ないし1~2歩下がって右を向いたという供述をしていますが、 09(植草さんの様子) ・被害者は、被告人が左手ないし右手を自己の顔の前に置いて、失敬、失敬というように軽くおじぎしたという供述をしていますが、 10(拘束後、被害者に向かって) ・被害者は、被告人がK証人にネクタイをつかまれたときに、被告人が被害者のほうに向かって歩いてきて、何だかはっきり覚えてはいないが、「ごめん」か何かそのような言葉を被害者に言ったという供述をしていますが、 11(犯行を否定する発言をしていない) ・被害者は、被告人は被害者に対して、「痴漢をやっていない」とか「人違いだ」とかいうようなことは全く言っていなかったという供述をしていますが、 12(被害者が振り向く直前の、犯人の様子) ・実は被害者も、「犯人は、私が振り向いているということに気づいたときに放したものだと思います」とか、「振り向く寸前におしりから手が放れました」というふうに供述しているのです。 13(真犯人の位置) ・被害者の事実説明によると、犯人は一、二、三歩後退して、右側を向いたことになります。これはTさんの公判供述と比較的近い内容ですが、やはり犯人が被害者からずっと離れたところに立っているのがわかると思います。 14(「やめてください」発言) ・被害者の発した声はやや大きめな声でしたが、それほど大きなものではありませんでした。その後、泣いていたとのことですが、(←植草さん) 15(被害者の服装) ・被害者はグレーのセーターを着用していたので、 【目撃者証言に関連して、出て来たこと】 16(植草さんのメガネとスーツについて) ・これは事件当時、被告人がかけていた眼鏡です。この眼鏡は、ごらんのように、セルロイドのフレームで、青と紫がまざったような特殊な色の眼鏡です。特に事件当時、被告人が来ていた紺の上下のスーツとはかなり違和感があって、印象に残る眼鏡です。被告人が眼鏡をかけている様子は、このようになります。 17(上記、スーツについての訂正) ・先ほど私、スーツの色について、紺と言いましたが、これはグレーの間違いですので、そのように訂正させていただきます。 18(植草さんのカバン) ・被告人は事件当時、肩に大きな重いかばんをかけていました。これは、かばんをかけている被告人の後ろ姿のイメージを図で示したものと見てください。 19(傘について) ・被告人は左手に傘を持っていました。 ======================= ★弁護士さんが、論点をまとめて述べた部分を、以下に抜き出しておきます。 ーーーーーーーーーーーー ・まず1つ目。Tさん(検察側目撃者)は、痴漢行為をしている犯人の目を注視していたのに、被告人が犯人だとすると記憶しているべき印象的な眼鏡について、眼鏡をかけていたかどうかも記憶していません。 ・2つ目。Tさんは、犯人の姿勢が不自然に右に傾いた状態で痴漢行為が行われたというふうに言っているわけですけれども、これは右肩に重いかばんをかけていた事実と合っていません。 ・3つ目。Tさんは、犯人の左手に注目していたのに、被告人が犯人だとすると記憶しているべき、左手首にかけていた傘について記憶していません。 ・4つ目。被告人が事件当時と比べて8キロから9キロもやせているのに、顔つきがやつれていることに気づいていません。 結局、これらは、Tさんが目撃した人物が、被告人とは別の人物だったという重大な疑問を提起しているのです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 以上、Tさんの供述の信用性についてまとめると、次のようになります。 ・Tさんの目撃した人物には、4つの重大な疑問がある。これは先ほど述べました。 ・Tさんは、犯人が被害者から離れた後、犯人を見失っています。 ・Tさんは、被害者が被告人を犯人と取り違えたことに影響を受けて、被告人を犯人と取り違えました。 ・Tさんは、被告人や犯人の顔を正確に観察、記憶していませんでした。事件後の友人からのメールやニュースに影響を受けて、被告人植草一秀が犯人であると確信するようになりました。 すなわち、Tさんの犯人識別供述の信用性は極めて低いと言えると思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
by mojo_on
| 2007-10-10 09:51
| 【資料】
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