湖国探遊記

滋賀の歴史や文化を中心に、たまにそれ以外も

SD Expressはカメラに採用されるのか?その問題点とCFexpressとの関係

最近、Nintendo Switch 2にSD Expressが採用されるとの噂が流れ話題となっています。

もちろん公式に発表されてないので、まだ確かとは言えません。

 

ただ、SD Express自体は既にちょこちょこ出始めているので存在感を増してきています。

特にカメラに採用されるのかは、写真を趣味にしている者としてかなり気になる点です。

 

そこで、SD Expressが求められる理由から、CFexpressとの関係まで一通り調べてみました。

個人的には、カメラにおいてはCFexpressの方がより適しておりSD Expressには弱点が目立つというのが結論です。

なぜSD Expressが必要?

まずSD Expressが求められるようになった理由は、大きく次の2つです。

  • 性能不足
  • 需要の減少が予想される

SDは、現在一般に手に入る一番速い規格のUHS-IIで理論値が312MB/sしかありません。

これではパソコンやスマホに内蔵される記録装置やUSBなどと比べ性能差が生まれるため、現時点でも問題となっています。

将来的にもこれらを基準にし考えられていくので、今のSDでは深刻な性能不足に陥ることは想像に難くありません。

 

さらに、SD需要の低減が予想されるのも追い打ちになっています。

特にスマホでの採用が減っているのが、この最大の要因です。

 

そもそもSDは10年くらい前にも需要に陰りが見え、少し危ぶまれたことがありました。

これは、当時SD需要の最大の担い手であるカメラの需要が頂点を過ぎたことが理由の1つです。

 

一方SDはスマホに採用され、むしろさらなる飛躍を遂げ今の地位を築きます。

それ程、SDにとってスマホ需要は無くてはならない大黒柱だったのです。

 

しかし、最近そのスマホにSDが採用されないことが増えています。

先の性能不足も、やはり大きな要因の一つです。

他には、スマホ内部がギッチギチで凄く大変という理由もあります。

極小のnanoSIMが生まれたことからも、この事情が伺えるでしょう。

 

それにも関わらず、バッテリーは大きくしてとか、カメラを複眼化してとか要求されたりします。

ならば、性能不足のSDを首にしてしまえとなるのは当然の帰結です。

またSDを普段から抜き差しするのは少ないとされ、内蔵の方を強化すればいいとも考えられています。

ちなみに、SDのより高速な規格にするにしても部品点数が増えるので結局難しいです。

 

こうした理由から、今後はSD対応のスマホがさらに減っていくことは避けられない状況にあります。

むしろ、クラウドやらCFexpressのカードリーダーを使いやすくするなど、SDが不要になる理由が増えてさえいるのです。

 

そして、この需要の減少もありSDの後継規格は単に高性能になれば良いわけでは無くなりました。

つまり、SSDにも使われ業界で標準的となっているPCIeとNVMeを採用したのです。

これによって大きなスケールメリットを確保でき、規格の安定につなげられます。

競合するCFexpressでも同じ選択をしたことからも、その重要さが見て取れるでしょう。

 

ただ、この抜本的な改革は逆に重大な問題をもSDにもたらしたのです。

SD Expressの問題

SD Expressでは従来のSDとは中身が一新しており、性能面で大きな飛躍を遂げました。

一方、従来のSDとの互換性をどうにか維持しようとした為にかなり無茶をしてしまったのです。

これにより、大きく次の2つの問題が指摘されます。

  • 中途半端な互換性
  • 無理やり感のある更新による弊害

まず今までのSDとの互換性があるとは言うものの、それは完璧なものではありません。

つまり、UHS-Iまでしか互換性が無いのです。

 

UHS-II以降だと、形状は同じなので使用することは出来るものの制約が発生します。

簡単に言うと、以下の場合でUHS-Iとしか動作しなくなるのです。

  • UHS-II以降のSDã‚’SD Express対応の機器で使う
  • SD Expressã‚’UHS-II以降に対応した機器で使う

そのため、性能がかなり低減されるだけではなく、非常にややこしく面倒なことになりそうです。

 

ただ、UHS-IIが使われているのはカメラ界隈くらいなので混乱が起きても限定的かもしれません。

UHS-Iまでのスマホやゲーム機などは、そもそも気にする必要はないでしょう。

需要の少なさゆえか、カメラ界隈には癪な話です。

 

しかし、次の問題はより広く関係するSD Expressの根本的な欠陥とさえ言えます。

要は従来のSDとの互換性を維持した代償で、例えば大きなものでは次の2つです。

  • コントローラがUHS-Iにも対応させる必要があり特別仕様になる
  • 増大する発熱に対応した構造ではない

SD Expressの利点には、前述の通り標準的な規格を使うことでのスケールメリットがあります。

けれどもSD ExpressではUHS-Iにも対応させなければならず、どうしてもコントローラを特別仕様にする必要があるのです。

そのため、余計な手間暇が発生してしまいます。

 

次の増大する発熱の問題では、今まで通りの構造を引き継いだことが深刻な弱点です。

そもそもな話、SDが生まれたのは20年以上前であり最初は確か理論値でも十数MB/sくらいでした。

それに比べSDExpressは100倍以上の予定ですから、土台無理があるのも当然です。

 

これは大きなデータ量をやり取りし続けるカメラ、静止画での連写や動画撮影などで特に問題になると考えられます。

 

こうしたことから、SD Expressにて飛躍を遂げたは良いものの中途半端なものになってしまいました。

ここが競合するCFexpressにとっては、逆転の一手を打ち込む隙となったのです。

特に互換性が十分に確保できていれば、もっと話は違ったでしょう。

SD ExpressとCFexpressの関係

SD ExpressとCFexpressの関係にて最初に押さえておくべきことは、策定した団体が違うことです。

SD ExpressはSDアソシエーションによって、CFexpressはCFアソシエーションによってそれぞれ策定されました。

そのため、メモリーカードという括りは同じですが両者は基本的に競合する存在です。

 

かつては他にもいくつかあったものの、上手いこと住み分けられたのでこの2つは生き残れました。

SDは大きさや安価なことなどからより広く普及し、一方でCF勢は容量や速度の性能面により今の地位を死守したのです。

 

しかし、その住み分けも常に保たれてきたわけではありません。

例えばUHSやSDXCなどがSDに導入され、性能が良くなるたびにCF勢は追い詰められてきました。

 

そして、今回のSD ExpressではCFexpressにTypeCを除けば性能面でほぼ並びました。

最新のSD8.0の中で、2レーン化とPCIe4.0への対応が予定されています。

もちろん、策定しただけの段階なので実際の製品はまだです。

しかし、速度や容量の面でCFexpressはもはや優位に立てない前提で考えるべきでしょう。

 

その前提からは、SD Expressの方が有利な点が多く見えてきます。

例えばゲーム機などで採用されればより大きな量産効果を得ることができ、特に価格面で優位に立てる可能性が高いです。

さらに、SD Expressにはより小さい形状があるのでより多くの機器への採用が望めます。

搭載できなければ何の意味もないので、精密機器にとって大きさはことさら重大です。

 

おそらく、この問題がCFexpress TypeAを用意した理由の1つと考えられます。

当初CFexpressには、CFastとXQDの内部分裂状態を解消し、XQDの形状などを受け継いだ今のTypeBしかありませんでした。

そこにTypeAとTypeCが加えられて、ただのCFexpressだったのがTypeBと呼ばれるようになった経緯があります。

 

また、TypeAではSDの後継規格とも呼ばれるようにSDの後釜を目指してるのでしょう。

確かにCFexpressが生き残るには需要を増やすことが肝心で、今のSD需要をどれ程取り込めるかは今後を左右します。

少なくともカメラ界隈はCFexpressで占めたいのが、やはり本音かもしれません。

CFexpressの方が良い理由

SD ExpressがCFexpressに対し優れている点は、まず次の2つがあります。

  • microSDがある
  • ゲーム機などより普及している規格なのでより大きな量産効果が見込める

ただ、カメラにおいてどれ程の価値を持つか疑問もあります。

1つ目のmicroSDは、特にミラーレスにおいてあまり見かけません。

さらに、ゲーム機の需要が今後も堅調に続くのかも気になる所です。

 

また、価格ももちろん大事ですがメモリーカードは記録に関する極めて重要な存在で安ければいいとは言い切れません。

つまり、実用的な視点ではCFexpressに軍配が上がると考えられます。

特に発熱の問題は、SD Expressの古すぎる構造だと不安です。

 

例えばNextorageのTypeAは全面がプラスチックにも見えますが、実は放熱板を仕込むなど熱への対策が施されています。

世界初1次世代メモリーカード 「CFexpress Type A メモリーカード」 開発・製造開始のお知らせ – Nextorage

ソニーのTypeAに関してもNextorageが手がけているとされるので、まず同様の構造でしょう。

と言うよりも、上記のサイトは年月日から考えるとソニーのに関する発表かもしれません。

他のTypeAやTypeBにしても金属の筐体を使うなど、当然対策していると考えられます。

 

このメモリーカードの発熱は、通信速度が上るほど増えていくのが基本です。

つまり、根本的な解決は難しいため今後も悩ましい問題であり続けます。

 

中でもカメラは高速度を維持し続ける場面も多く、一方でパソコンの様なヒートシンクやファンなどを搭載できるとは限りません。

そのため、カメラの熱問題はより困難になり対策ができるなら少しでも積み重ねる必要があります。

 

この点から考えても、やはりカメラではCFexpressを中心に今後も進めていった方が良いかと思います。

共存はあるのか?

メモリーカード界隈全体であれば、SD ExpressとCFexpressは共に生き残れるかもしれません。

ただ、カメラ界隈で限るとやはり難しくなると考えられます。

 

両者は基本として競合する存在ですし、共存させる利点も特別な事情も無いからです。

むしろ別々に開発するものが増えるなどの、余計な手間がかかるでしょう。

 

逆に同じ規格内なら、例えばアダプターを利用できたりします。

SD ExpressからCFexpress TypeBでは、できそうな雰囲気は一応ありますが、UHS-Iに対応してることが邪魔しそうです。

それに公式でない想定外の使い方となってしまい、その点でもお勧めできません。

 

なので、やはり素直にどちらか一方を基本に進めていくのが良いかと思います。

 

もちろん、全てを一方だけにそろえることは難しいでしょう。

ドローンやアクションカムなど、どうしたってmicroSDでないと難しいものもあります。

ならばSD Expressでとなっても、ミラーレスなどは実用面でCFexpressが適してしていることは前述した通りです。

 

つまり、結局は適材適所なのは間違いありません。

それでも、ミラーレスでくくるなら今のままCFexpressでほぼ占めるようになるかと思います。

何より、ここからまた新しい規格に移るのは本当に面倒くさいですし理由もありません。

カメラはやっぱりCFexpress?

カメラにSD Expressが採用されるのかについては、少なくともミラーレスでは考え難いかと思います。

現状CFexpressでの普及が進んでおり、改めて新しい規格に手を出す理由が無いのが大きいです。

 

もしSD Expressを採用するのなら、何故わざわざTypeAを作ったのか意味が分かりません。

 

そしてCFexpressで行くと決めたのなら、より多くの機種に採用し普及を加速させて欲しいです。

次世代規格への移行自体は避けられぬ運命なので、もはや遅いか早いかの違いでしかありません。

 

中でもTypeAとBの使い分けは、そろそろ明確にした方が良いかと思います。

TypeBをどの機種までどの様にして採用するのか、大いに疑問です。

CFカードなどより小さくなったとは言え、SDよりも大きく同じ様に採用するのはまず難しいでしょう。

 

こうした諸問題を片付け、カメラでの次世代規格のあり方が早く決定されれば良いなと思います。

そうすれば、今後何を選べば良いかなど使う側での方針も決めやすくありがたいです。

年末に妄想するカメラのこれから|2024年コシナ編

年末なので適当にカメラについて話す回、最後はコシナです。

これについては、本当に個人的な話です。

そして、主観的な見解が多分に含まれています。

 

また、先にソニー編とキヤノン編を書きましたので、お時間があればお読みください。

年末に妄想するカメラのこれから|2024年ソニー編

年末に妄想するカメラのこれから|2024年キヤノン編

BESSAの復活はあるか?

今年はPENTAX 17が登場したことで、フィルム界隈が大いに盛り上がった年でした。

ならばこのビッグウェーブに乗るしかない、そうコシナには思います。

つまり、コシナのレンジファインダー機の復活です。

 

ただ、コシナとしては商業的に成り立たないそうで難しいと言われました。

フィルム需要の小ささもそうですが、コシナがレンジファインダーで儲けられる割合が少ないというのです。

例えば測光やシャッターに関わる技術は、残念ながらコシナにはありません。

 

しかし、PENTAX 17の登場で光明が見えてきたのではないかと思うのです。

例えば次の様な考え方や手法はどうでしょうか?

まず1つ目は、コシナの持ってない技術をどう用意するかに対する一手になります。

ペンタックスが将来開発するであろう35mm判の技術を、コシナでも使わせてもうのです。

コシナだけではそこまで需要が見込めず開発が難航するかもしれませんが、これなら超えやすくもなるでしょう。

 

反対に、ペンタックスとっても悪い話ではありません。

なぜなら、今現在のフィルム機の最大の問題はフィルム需要の少なさにあるからです。

これによりフィルムの生産が安定せず、入手困難になる上に価格の上昇が続いています。

さらには現像関連の需要も下がり、要はフィルム写真そのものが危機的状況なのです。

 

そのため、ペンタックスとって喫緊の課題はカメラよりも、この需要の問題にどう立ち向かうかにあるとさえ言えます。

そして、その最も効果的な対策がやはり仲間づくりなのです。

 

ペンタックスだけでは呼び込める需要に限りがあるのは目に見えており、何か別の要素が必要なのは間違いありません。

そう考えた時、コシナは次の理由でぴったりです。

  • レンジファインダーの技術を持っている
  • 質感の高い、ものとして愛でられるもの作りをしている

特に2つ目は、フィルム機とって最早なくてはならない要素です。

使っていて楽しい、操作感が心地良い、こうした自分で撮る面白さがフィルム機の大きな魅力になっています。

 

次の問題は、コシナがフィルム機を作る利点は本当にないのかです。

これについては、やはりあると私は考えます。

その最たる理由は、ブランド力を強化し埋没しない為です。

 

昨今、海外の特に中華系のレンズメーカーの台頭が目立ってきています。

性能も十分に良いものが出てきていますし、何より価格の安さが魅力です。

 

特にコシナはMFの単焦点レンズしか作っていないので、レンズ性能や作りの良さだけでは早晩厳しい戦いになるでしょう。

 

ズームやAFであればより技術力が問われますし、作れるレンズの幅も広いです。

実際、最近はこれまでになかったズームレンズが各社から出てきています。

 

ただ、無い物ねだりをしたって仕方がありません。

何よりコシナは小さい会社ですので、下手に手を広げるよりも今持っている魅力をとことん深める方が良いかと思います。

 

そこで、フィルム機の開発なのです。

カメラはレンズだけでは成り立たず、カメラ本体と合わさって機能します。

そのためカメラ全体を担うことができれば、自分達の世界観をより強く印象的に表現できるのです。

こうすれば、そこらのメーカーとは一線を画す存在と認知されることになり、平たく言えばブランド力が向上します。

 

そして、それが出来るのはもう今しかないと思います。

埋没してからでは遅いですし、何より技術の復活は早いに越したことがないからです。

使われなくなった技術はすぐに忘れ去られてしまい、時間とともに復活の難易度が上がっていきます。

 

それでも、元手が無ければどうしようもありません。

しかし、そこで最後のクラウドファンディングはどうかと思うのです。

この方法では元手が得られる以上に、需要がある程度予測できるという利点があります。

全く分からない状態で踏み出さずに済み、色々な要望も吸い上げることも出来るでしょう。

 

ここまで本当に適当に書き、本当にコシナには申し訳ない限りです。

でも、年末にいい夢を観させていただきました。

 

来年も相棒のカメラとともに、楽しい写真生活が送れそうです。

ここまでお付き合いありがとうございました。

年末に妄想するカメラのこれから|2024年キヤノン編

年末なので、適当に来年以降のカメラについて書いた雑文です。

今回はキヤノンの話をしていきます。

 

なお、先にソニーの話もしているのでもし時間があれば読んでみてください。

年末に妄想するカメラのこれから|2024年ソニー編

望遠単焦点の駆動装置はどうなる?

個人的にキヤノンで今一番気になっているのが、第2世代の望遠単焦点の駆動装置が何になるかです。

カメラではないのかと思うかもしれませんが、それは今年ので一旦落ち着きました。

 

なお、ここでの望遠単焦点は次の4本を指します。

  • RF400mm F2.8 L IS USM
  • RF600mm F4 L IS USM
  • RF800mm F5.6 L IS USM
  • RF1200mm F8 L IS USM

つまり、Lレンズの望遠単焦点です。

 

では何故これらのレンズの駆動装置が気になるのかというと、ミラーレスになりAFに大きな変化が起き駆動装置に求められることも変わったからです。

 

まず動画需要の高まりと共に、ミラーレスでもしっかりと応えられることが求められるようになりました。

この動画撮影では、ピントを合わせている最中も記録されることが静止画との最も大きな違いです。

なので、滑らかで静かに動く駆動装置が必要となります。

 

さらに静止画の撮影でも大きな変化が起きていて、先の望遠単焦点ではこっちの方が重大かもしれません。

一言で言うと微細駆動で、大きく次の2つの要因で求められるようになりました。

  • 被写体認識AF
  • 連写コマ数の激増

これら2つの課題は、一眼レフからミラーレスへの変化で求められるようになったことです。

 

1つ目の被写体認識AFでは、人や動物の瞳など特定の非常に細かい物体を認識して追従することが出来るようになりました。

当然、レンズの駆動装置がこの細かい上に細かく動く物体に合わせて動けなければ真価を発揮できません。

 

さらに次の2つ目でも、やはり細かい動きが求められます。

一眼レフではフラグシップでも十数コマだった連写が、ミラーレスでは数十コマ、ソニーのα9IIIに至っては120コマにまで達しているのです。

EOS-1D X Mark IIIではライブビュー撮影で20コマで撮影できますが、それでも差がある上に例外かと思います。

それを一眼レフの撮影と言っていいのか、そもそも微妙な所でしょう。

 

それはともかく、こうなると10倍速く動かせばいいといった単純な話ではありません。

より短い時間で、より精度を高め、より微細に素早く動かす必要があり、難易度は指数関数的に増大しているそうです。

 

こうした変化を受けてか、キヤノンではリングUSM以外のナノUSMやステッピングモーターが採用されることが増えています。

これらの駆動装置は、リングUSMに比べて微細駆動が得意なのです。

少し古い記事ですが、キヤノンの方がそれをうかがわせる内容が述べられています。

第4回(特別編)開発者に聞いた「F2.8 L IS シリーズ」のヒミツ

実際、今でもミラーレスになって設計されたレンズではリングUSMの採用は次の4本だけです。

  • RF28-70mm F2 L USM
  • RF50mm F1.2 L USM
  • RF85mm F1.2 L USM
  • RF85mm F1.2 L USM DS

一方で、先の望遠単焦点もリングUSMを採用してはいます。

ただ、これらは基本的に一眼レフの頃の設計とそれに専用のテレコンを内蔵し焦点距離を伸ばしたものです。

もちろん、マウントを変えるにあたり色々と手を加えているとは思います。

それでも、やはり抜本的とまでは言えないでしょう。

 

それ故に、ミラーレス専用設計になったらどうなるのかが気になるのです。

中でも、前述の通りミラーレスではAF関連に大きな変化が生まれました。

これに対しキヤノンがどう応えるのか、実に気になります。

 

同じくリングUSMを採用するなら、先の苦手を克服する新しい技術がいるはずです。

他にも、より細かくより多く動かすので耐久性を上げる必要があるかもしれません。

あと振動を抑えないと、回転方向のブレが目立つ可能性もでてくるでしょう。

 

反対に新たな駆動装置に手を出すのなら、いったい何になるのか興味深いです。

先のナノUSMやステッピングモーターでは、これらの重いフォーカスレンズを動かすには文字通り力不足で適してはいません。

それでも工夫して採用するのか、あるいは最近登場したリニアモーターといった手もあるでしょう。

 

もちろん、結局はコマ数や光学設計など何をどう想定しどんな設計をするか次第な所があります。

そのため、外野にはどれが一番かはさっぱりです。

 

加えて、これらの望遠単焦点が直ぐに出るとも思えません。

しかし、何れにせよ1つの画期となりそうなので注目して待ちたいです。

EOS R6MarkIIIは立ち位置は?

次に気になるのは、技術的な話とは少し違いますが、EOS R6MarkIIIがどの様な立ち位置で出てくるのかです。

 

これはフィルムからデジタル、一眼レフからミラーレスの変化で、カメラの商品展開にも変化が生まれたことに端を発します。

要するに、フラグシップを頂点とする階層構造が崩れてきているのです。

 

まず、階層構造が形成されるには単純な指標が必要となります。

身分制社会では身分や生まれ、学歴社会では学歴といった具合です。

カメラで言えば、かつてはAF性能がその1つに挙げられるでしょう。

連写コマ数やAE性能なども、それに準じれば良かったのです。

例えば高いAF性能が必要なのに、連写コマ数は要らないのはちょっと考えにくいでしょう。

 

しかし、カメラのデジタル化と共に指標が複雑化ししていきます。

なぜなら、撮像素子はフィルムよりも多くのことができ、その個性がカメラの個性にもなったからです。

 

この変化は、撮像素子の個性がより前面に出るミラーレスで顕著となります。

例えばソニーの商品展開は正にその通りとなっており、撮像素子のメーカーならではの発想です。

 

別の見方をするなら、カメラで出来ることが増えた分、より使う側の目的に沿うことが求められるようになったとも言えます。

 

そうなると、階層構造に押し込めることがむしろ足枷となりかねません。

現行のEOS R6MarkIIがCFexpressを採用しなかったのも、その一つに見えてしまうのです。

近しい価格帯のソニーα7IVや、ニコンのZ6IIなどでは採用されているので余計にそう思えます。

 

なので次のEOS R6MarkIIIでは、他機種との関係よりも、まずは自分の役割に徹してほしいです。

特にキヤノンでは、EOS R1やEOS R3と似た個性を持つカメラがあり少々ゴチャついています。

 

この中でEOS R6MarkIIIがどの様な個性を打ち出すのか、期待して待ちたいです。

上の2ついずれかを小さくしただけの機種なのか、また別の個性を持つのか気になります。

 

また、EOS R3もEOS R1の登場でお株を奪われたので今後の展開がどうなるのか注目したいです。

 

なお、階層構造が必ずしも悪いわけではありません。

少々下世話ですが、例えば予算を基準にカメラ選びをする人には効果的です。

つまり価格が上るほど性能も上がる仕組みは分かりやすく、あと少し出せばもっと良いのが買えますよと伝えやすくなります。

 

他にも憧れの存在として君臨させることで、ブランド力をもたせることも可能です。

上手くすれば、メーカー全体のブランド力向上にもつながります。

なので、この点を考えると少なくともフラグシップはあった方が良いでしょう。

(2024年コシナ編に続く)

年末に妄想するカメラのこれから|2024年ソニー編

気づけば年末、と言うことで適当なカメラのこれからの話です。

来年、もしくはその先のカメラで気になることをゆるくゆるゆると書いてみました。

 

まずはソニーから始めていきます。

α7SIVが気になる

ソニーでまず気になるのが、α7SIVです。

巷ではシリーズの存続について色々言われていますが、まだまだ出来ることはあるかと思います。

 

個人的には、次の3つの技術に注目したいです。

これらは上2つがスマホにて、一番下はα1やα9などにて既に採用されている技術です。

なので、少なくとも絵に描いた餅ではありません。

 

まず一番採用されて欲しいのが、全画素オートフォーカス技術です。

その中でも、Octa PD方式が採用されれば画期的と言えるでしょう。

 

全画素オートフォーカス技術と言えばAFなので、α7SIVには合わないように思えるかもしれません。

 

しかし、特にOcta PD方式では次の2点の利点があり、暗所とダイナミックレンジに特徴のあるα7SIVに相応しいかと思います。

  • 暗所でのAFが強くなる
  • リアルタイムHDRが出来る

1つ目の利点は、全画素オートフォーカス技術の最大の特徴とも言えるものです。

撮像素子は要するに光の強弱を電気信号に変える装置なので、像面位相差もそれを元にピントを合わせています。

従って暗所では電気信号が弱まってしまい、ノイズの影響で十分な性能を発揮できなくなるのです。

 

それに対し全画素オートフォーカス技術であれば、全ての画素で位相差情報を得ることができます。

そのため、それらの情報をまとめることでノイズの影響を抑えられるのです。

通常の像面位相差では、ここまでの密度にすると画素欠損が大きくなるので出来ません。

例えばキヤノンのAFが暗所に強いと言われるのは、やはりここに秘訣があると思われます。

 

ちなみに、暗所でのAFが強くなれば暗いレンズにも恩恵が生まれるでしょう。

つまり、暗い分小さく安めの望遠レンズなんてのも使いやすくなるのです。

ソニー使いの間では、この要望が多い気がします。

 

次にリアルタイムHDRですが、これはどちらかと言えばQuad Bayer配列による機能です。

Quad Bayer配列では、4つの画素が同色の一塊となりベイヤー配列を形成しています。

これにより例えば1200万画素になったり、4800万画素になったり出来るのです。

 

リアルタイムHDRでは、この4つの画素の内2つを標準、残り2つを明るいのと暗いので分けます。

そうすると、1回の撮影でHDR写真が撮れるのです。

 

あと1200万という画素数にするなら、α7SIVが一番ふさわしく思えます。

 

これら全画素オートフォーカス技術や、Quad Bayer配列についてより詳しくは下記のサイトを参考にしてみてください。

全画素オートフォーカス技術 | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ

Quad Bayer Coding | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ

 

さらに、ここに2層トランジスタ画素が加わればもっと高感度に強くなる可能性があります。

ついでに、先と同じ様な理由で暗所のAFにも効果があるでしょう。

ただ、最近スマホに採用されたばかりで大型センサーにはまだ厳しいかもしれません。

また、価格の点からもここまで最新技術を盛り込むと恐ろしすぎます

少し先にして、高画素の分高感度が弱くなりがちなRシリーズに採用するのも一手かもしれません。

画素数は今のままにして、この方が使い勝手が良くなる気がします。

 

それからメモリー内蔵のセンサーですが、これはあれば嬉しいぐらいです。

特にリアルタイムHDRなどを実現しようと思うと読み出す情報量が増える為、この技術が鍵になります。

一方で読み出し速度を上げすぎるとノイズが増えてしまうので、その兼ね合いも考えなくてはなりません。

α7Vの登場にα7IVとα7CIIの値下げ

そろそろ後継機が出るのではと思われるのが、α7IVです。

 

ただ、標準機である以上は価格もより重要になるので出来ることはそう多くはなさそうに思えます。

高くても30万前半、出来れば20万台にいて欲しいのが本音です。

 

この場合、例えば次のことが実現できれば良いくらいでしょう。

  • AIプロセッシングユニットの搭載
  • 連写コマ数の増加
  • α9III系のボディデザインの採用

1つ目はそこまで難しくはなく、むしろ実現出来なければ問題です。

 

なので注目すべきは、連写コマ数がどこまで増えるかでしょう。

この点について難しいのが、α7IVのセンサーの読み出し速度がそれ程速くはないことです。

つまり高速連写をするならまず電子シャッターになるのですが、ローリングシャッター歪みなどにより使い難くなると予想されます。

 

一方でこの読み出し速度を上げようとメモリーを貼り付ければ、どう考えても40万くらいになる可能性が高いです。

例えば部分的にメモリーをくっつけた、ニコンのZ6IIIでさえ安くても40万近くします。

 

そのため、メモリーに頼らない形でどうにかする方法が理想的です。

順当な方法では画素数を減らすことですが、後退と受け止められかねません。

加えて新たにセンサーを開発することになるので、この先どれだけ売り続けられるかを考える必要があります。

 

こうしたことから、やはり今のセンサーを使い回すことが一番素直な方法です。

特に価格のことを考えると、これ以外の方法は難しそうに思えます。

 

あるいはローリングシャッター歪みの問題はひとまず置いておき、コマ数だけ改善するのも手かもしれません。

実用性は少し頼りないですが、出来ないよりかは良いでしょう。

 

奇策としてα9IIのセンサーを使う手も想像しますが、流石に厳しいでしょう。

しかし、せめて40万くらいでBIONZ XR世代の高速連写機がソニーにはないのでα7Vとは別に検討しても良いかもしれません。

 

次に期待したいのが、α7Vの登場に伴うα7IVの戦略的な値下げです。

希望だけで言えば、20万前半になればと思います。

ついでに、α7CIIも安くなればかなりいい感じです。

 

この値下げと一緒なら、α7Vの価格帯が上がってもまだましかもしれません。

また、価格帯が上がるなら出来ることが増えるので、α7Vの性能面で期待できることも増えます。

 

もちろん、より安い機種を開発する方法も考えられるでしょう。

ただ、安くしたα7IVよりも魅力的な機種に出来るのかが問題です。

当然、それより高くなることは許されません。

そうなると出来ることはかなり限定されるので、結局は安いだけでちょっと高くてもα7IVが良いとなれば元も子もないです。

(2024年キヤノン編に続く)

西郷隆盛の直筆書簡はなぜ滋賀に伝わったのか?大津との絶妙な繋がり

瓢箪から駒を正に体現するように、滋賀から西郷の直筆書簡が再発見されました。

 

書簡の内容自体は別の資料によって残されていて、欧米を歴訪中の大久保利通に留守政府の西郷隆盛が送ったものです。

当時の日本の様子や西郷の考えなど、様々な情報が満載の非常に重要な資料として知られています。

 

しかし、この書簡が興味深い点はその内容だけではありません。

その伝来自体も非常に数奇なもので、より明らかにされていくことが期待されているのです。

例えば大久保利通が暗殺された際、大久保が書簡を持っていたのではと指摘されています。

 

その中でも滋賀県人として特に気になるのが、なぜ滋賀にこの書簡が辿り着いたかです。

ただ、その詳細はまだ明らかになってはいません。

 

なので、分からないからこそ想像を楽しめる内に、なぜ滋賀に伝わったのかあれこれ考えてみました。

滋賀の歴史に西郷隆盛が絶妙に影響を与えたこと、やはりこれが1つの鍵ではないかと思うのです。

大津と西郷隆盛との絶妙な因縁

滋賀と西郷隆盛が直接関わる出来事は、残念ながら無いです。

 

ただ、非常に微妙な線ではありますが大津事件にて因縁があります。

 

大津事件は、明治24年(1891年)に大津にて警備中の津田三蔵巡査がロシア皇太子を襲撃した事件です。

ロシア皇太子一行はシベリア鉄道の極東区起工式に出席する途中に来日し、各地に転々と訪問している最中でした。

 

この事件では、何よりもロシアなのが極めて大きな問題となります。

 

当時、日本にとってロシアは侵略してくる可能性も考えられた大国で、その外交関係をどうするのかはそうでなくとも悩ましい問題だったのです。

一方でその頃の日本は近代化に向け邁進中であり、列強国に近代国家として認められる為にも相応しい振る舞いをしなければなりませんでした。

要は、ただロシアにおもねることは出来ません。

 

この2つの問題の間でどの様にことを進めるべきか、正に命運を分ける決断を日本は迫られたのです。

 

しかし、今回注目するのはこの決断に関する話ではありません。

津田三蔵の動機が、今回のみそです。

 

この動機ついては、現在でもはっきりとしたことは分かりません。

明確な思想信条にて行われたわけではなく、津田の内面にあった何かが引き起こしたというのが大方の見方です。

この何かが判然としない原因で、津田自身でさえも分かっていなかったかもしれません。

これは津田の証言が周りに影響された節が見られ、むしろ自分に対して納得させられる説明をしようとしていたと思われることから伺えます。

 

そして、津田の内面に大きな影響を与えたとされる出来事こそが西南戦争なのです。

津田は戦争で従軍しており、その時のことを記した津田の書簡も見つかっています。

大津事件・津田三蔵の新資料発見│大津市歴史博物館

 

個人的な見解ですが、西南戦争でのPTSDが引き金になったのかもしれません。

 

いずれにせよ、大津事件には西南戦争が背景にあると考えられます。

そのため、大津事件を理解するためには西南戦争を知る必要があるのです。

さらに、最早連想ゲームの様ですが、西南戦争から西郷隆盛が導かれます。

 

薄いつながりに思えますが、西郷隆盛に対し関心を持つには十分なきっかけにはなるでしょう。

服部岩吉と西郷隆盛

西郷の書簡は大久保利通から安楽兼道、坪田光蔵と渡り、服部岩吉の所で落ち着くことになりました。

服部岩吉は滋賀県で初の民選知事であり、書簡が今滋賀にある理由と考えられます。

 

ただ、なぜ譲り受けたかの経緯や理由は不明です。

京都の政治家である坪田光蔵からおそらくは無償で譲り受けたことだけが、残された書面から明らかになっています。

 

一応、状況から考えて服部自身に西郷への何らかの思いがあったことは伺えます。

やはり、それ無くしてこれほど貴重な逸品を無償で譲られることなど無いでしょう。

 

なので服部と西郷にゆかりがあれば良いのですが、直接的なのはどうにも無いようです。

 

要するに、これ以上ほとんど何も分かりません。

ただ、それでは少し物足りないので滋賀をからめて想像を膨らませてみたいと思います。

もし滋賀が関わっていたのなら

ここからは、滋賀関連から服部が西郷に関心を持ち書簡を譲り受けるきっかけになったとの仮定で話を進めてみます。

 

服部は文化行政にも力を入れており、自身も江南の雅号で書画に親しむ程でした。

文化行政では、例えば琵琶湖文化館の前身に当たる滋賀県立産業文化館に携わっています。

 

こうしたことから、滋賀県の歴史にも相当な関心があったのではないかと思われるのです。

 

とっぴな想像ですが、要は大津事件から西郷隆盛にひかれたのかもしれません。

 

また、大津事件が起こった時、服部は6才で金勝村に住んでいたと考えられます。

金勝村は、今の栗東市にある金勝山近くの村です。

年齢や村の場所から考えて、何かを見たことはなく詳しい事情も知らなかったでしょう。

それでも当時の雰囲気くらいは、子供心にも覚えていたかもしれません。

 

当時は恐露病という言葉が生まれるほど、ロシアは恐れられていました。

そのため、大津事件の前からも普段とは違う空気が漂っていたでしょう。

 

さらに物心がつく時期から考えると、服部にとって動乱の時代の初めに位置づけられる出来事としても印象に残っていたかもしれません。

書簡に聞いてみたい

つくも神になったら、この書簡はさぞかし興味深い話をしてくれるでしょう。

世界を一周したことや、大久保利通の西郷隆盛への想い、譲り渡されたそれぞれの経緯、本を出したら飛ぶように売れそうです。

 

ただ、現実はそれほど都合よくはないので頑張って解き明かすしかありません。

 

今回の推理も、全くの的外れの可能性もあります。

例えば服部が書画の愛好家なことや、単純に西郷を敬愛していたことが理由とも考えられるでしょう。

 

しかし、想像することで色々と知れるのでそれ自体楽しいです。

西郷隆盛が実は大津事件の背景にいた、というのは今回のことで改めて知ることができました。

 

やはり、今回のは単なる再発見にとどまりません。