KAWAGOE NEW SOUNDS

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MUSICS 2024 ~ 川越ニューサウンドが選ぶ2024年のベストアルバム

Mリーグの音響が気になっているという話を去年のベストアルバム選出のついでに書こうと思っていたが当時はルールも知らず、まさか欠かさず観るようになるまで嵌ってしまうとも思っていなかったので先送りにしていた。そもそも将棋ファンの私はプロ棋士鈴木大介九段がMリーガーになるという仰天ニュース(2023年)きっかけでMリーグを見始めたわけだが、そこから本格的に鑑賞するに至った要因の1つに臨場感ある卓上の音がある。モノラルであることからピアノやドラムのように色々な箇所にマイクを設置しているとは思えないが(機械音が聞こえるのは卓の内部に仕込んでいるからか?)、過去の放送を見返してみると最初は今よりも空間的に聞こえ、徐々にその指向性が高くなっているように感じた。これまで麻雀のTV放送もまともに観た覚えがないが、音が気になったのは初めてのことだ。特に音楽的感動を覚えたのは、2023年12月7日の第2試合。ライブセッションのようなテンポ感の良い牌の音や息遣いなどから生まれる一種の「混沌」がジョンコルトレーンの"Ascension"をも想起させるほどであった。また最近、某選手の強めの打牌がマナー的に問題視されていたが、手の甲を卓の縁に当てる氏のツモり方は「カッッ」という小気味良い音がして個人的には好きだった(スネアドラムで言うと弾かずに止めて叩くタイプ)。麻雀に慣れ親しんだ御仁には何気ない音なのだろうが、アンプリファイドされた環境音という意味でこれはフィールドレコーディングだ。もし実況を抜いたバージョンも配信してもらえたらリアルタイムでダブミックスしてみたいくらいだ。手短ながら去年保留した前口上をこの辺で下げつつ、ここからは生粋の音フェチを自称する弱小レーベルオーナーが選ぶ今年のベストアルバムを列挙させていただく。

- BEST ALBUMS -
1. Lily of the Valley / 22º Halo
Lily of the Valley

music.apple.com
70年代後半に発売されたTASCAMのカセットMTR・Portastudio(私は2000年前後に中古で買ってしばらく使っていた)がいまやステレオコンデンサマイク内蔵のデジタル仕様になっているらしい。本作にそういった類の機材やローファイ系のプラグインが使われたかは定かではないが、個人的な郷愁の念を差し引いても今年の1位にしてしまうくらい総じて音作りが驚異。

2. Scope Neglect / Ben Frost
Scope Neglect [Analog]

Scope Neglect

Scope Neglect

  • Ben Frost
  • エレクトロニック
  • ¥1528
music.apple.com
その驚異的音作りにおいて暫定1位であり続けたベンフロストのメタルサウンドエスケープ。サンプリングやオーディオデータのカットアップとは一線を画す未曾有の脱構築音楽。具体的にどのような装置が使われているのか分からないだけに謎は深まるばかり。

3. Bleed / The Necks
Bleed

Bleed

Bleed

  • The Necks
  • ジャズ
89年のデビュー作"SEX"に絶対的な音響観(価値)を持つ私は彼らの新作が出る度にこれに次ぐ改新作だと自らを納得させるという行為を繰り返しているわけだがそんな中でも本作は変調を促すエフェクト処理や武満徹の図形楽譜のような循環性の中に無調の悦びを発掘せしめるような発見や更新が顕著に見られるまさに改新作。

4. Dream Trio / Sam Gendel, Benny Bock, Hans Kjorstad
Dream Trio

Dream Trio

Dream Trio

  • Sam Gendel, Benny Bock & Hans P. Kjorstad
  • ジャズ
  • ¥1375
サムゲンデルが竹村延和のカバー(傑作"10th"収録の"FallsLake")をやっているというだけで一興。年の継ぎ目もあやふやになるほど精力的なリリースを続けるゲンデルの作品群の中から本作と共に、まるでライブラリィミュージックのような体裁をとったSam Wilkesとの共作シリーズ第3弾"The Doober"もリストアップしたい。

5. Cartoon Darkness / Amyl and The Sniffers
Cartoon Darkness [国内流通仕様盤CD / 解説書・歌詞対訳付き] (RT0510CDJP))

Cartoon Darkness

Cartoon Darkness

リリース元のラフトレードレコードの語源であるカナダのロックバンド・Rough Tradeへ帰結する鉱脈の入り口にある作品。カナダ〜イギリス〜オーストラリアを結ぶパイプ(パンク)ラインを早急に掘り返すべし(と自分に言い聞かせる)。アートワーク部門とダブル入賞。

6. NOA / ANOTA

NOA

NOA

  • ANOTA
  • エレクトロニック
  • ¥1222
当レーベルの近年のテーマであるコンテンポラリーとアシッドリヴァイヴァルとカラオケ化を体現。

7. Modern Vintage Future / 高野寛

YMO(テクノドン)からPupa、META FIVEを経由するエレクトロポップ。 砂原良徳マスタリング 。

8. My Method Actor / Nilüfer Yanya

複数プロデューサーを立てた前作から単独プロデューサーにしたことで統制感が抜群に増した本作にニンジャチューンが目をつけるのも頷ける。

9. You Never End / Moin

Raimeがバンドをやるとこうなるとは、感服。しかも年々良くなっている。

10. If I don't make it, I love u / Still House Plants

フリーキーなロックが時に数学的ずれを模索し、音色、構造、編成に施した余白が全体的なテクスチャーを紡いでは分断する。

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‎Placenta - Album by Carlos Niño & Friends - Apple Music
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