VCF の計画に Planning and Preparation Workbook を頼ってみる

この投稿は、vExperts Advent Calendar 2024 の 6日目です。

VMware Cloud Foundation(以下、VCF)は、主要なITインフラのハードウェアを抽象化し、包括的なプライベートクラウドプラットフォームを実現することができます。SDDC Managerからの統合管理によって設計を標準化し、導入や運用のプロセスを簡素化できるのが魅力です。

一方で、VCFの導入には十分な計画と事前準備が必要な側面があります。
本ブログでは、VCFの計画を助けてくれるPlanning and Preparation Workbookを紹介します。


1. 入手方法

VCFの計画にPlanning and Preparation Workbookを使用します。
Planning and Preparation Workbookは以下より入手します。
VMware Cloud Foundation Documentation

Planning and Preparation Workbook をクリックしてダウンロード

2. 入力

Planning and Preparation Workbookを開きます。

英語のExcelファイルです

まずは、"Deployment Options" シートで希望するオプションを選択します。

今回は、VCF Operationsを使用する計画を立てます。
この場合、"Intelligent Operations Management for VMware Cloud Foundation" を選択することで、Management DomainやVI Domainだけでなく、VCF Operationsをデプロイするよう想定されます。

"Exclude" のセルを選択するとプルダウンが表示されます

"Intelligent Operations Management for VMware Cloud Foundation" を選択すると、選択した項目の可否と、できない場合には何が原因であるかが表示されます。

赤色でハイライトされている場合、解消すべき項目が残っていることを示しています

不足しているものを "Deployment Options" シートで探すと、他の項目として存在することが分かります。対象がまだ計画に含まれていない場合(Exclude)は計画に含めます(Include)。 

不足している項目が連続している場合もあります

不足した項目の原因を解消すると、"Final Results" の列が ”Included” となります。

緑色でハイライトされている場合、対象の項目が計画に含まれたことを示しています

最初に選択した "Intelligent Operations Management for VMware Cloud Foundation" を確認してみると、まだ項目が不足しているようです。

VMware Validated Solution(VVS)は前提となる項目数が多いです

先ほどと同様に不足する項目の原因を解消します。

項目によっては、デプロイされる仮想アプライアンス数に影響するものがあります

VCF環境が標準アーキテクチャなのか、それとも統合アーキテクチャなのかを決めます。今回は、標準アーキテクチャを選択し、VI DomainのSSOドメインはManagement Domainに参加させる想定にします。

依存関係にある項目が自動選択された場合、手動で他の選択肢に変更することも可能です
例:調達予定のストレージデバイス的にvSAN ESAからvSAN OSAに変更するなど

以上で希望するオプションの選択は完了です。

done.

3. 出力

Planning and Preparetion Workbookのシートを移動して、"Management Domain Sizing" を表示します。

"Management Domain Sizing" では、"Deployment Options" で選択した項目に基づき、Management Domainにデプロイが想定される仮想アプライアンスの種類、ノード数、リソースなどが一目で分かります。
対象の仮想アプライアンスがManagement Domain、VI Domain、VVSのどのデプロイに要求されているかといった内訳も確認できます。

実際にはvSAN Ready Nodesな時点で満たせている場合が多い

サイジング内容を調整したい場合には "Management Domain Sizing Inputs" シートで修正が可能です。

他にも、VCFの事前準備に必要なネットワークを確認できます。
例えば、シンプルにManagement DomainやVI Domainをデプロイする場合、必ずしもNSX Edgeを展開する必要はありません。しかし、今回のようにVCF Operationsを使用する場合にはNSX Edgeの展開が必要であるため、NSX Edgeが使用するVLANを用意する必要があります。

ネットワーク名がパラメータシートと一致しているため、そのまま流用できて便利です

このように、VCFの計画段階で、想定している構成を具体的な形にできるのがPlanning and Preparation Workbookの利点です。


まとめ

VCFはまだ「サイロを統合した製品」というより、「管理されたサイロを実現するための製品」に近いと思います。プラットフォームや簡単という言葉を目にしても、含まれる機能(製品)を漏れなく知らないと始められないといった実情もあるかと思います。

Planning and Preparation Workbookは部分的に分からない製品があろうとも机上で形が作れるので、ステップとして優れていると思います。また、個別には理解していても、SDDC Managerで統合管理する場合のお作法はまだ把握していない場合も時短になります。

信頼に値するかと評価し始めるより、まずは叩きとして使ってみようとするのが、付き合い始め方としてよさそうです。