kionachiの日記

中野でコミックやラノベの装丁やテキスト仕事や社長などをしている木緒なちの日記です。

たくさんの思い入れと共に『UNDERTALE』をお勧めします(非ネタバレ)

 僕はゲームが好きです。生まれた時、実家にはPC-8001というパソコンがあり、物心ついた頃にはAppleIIというパソコンがありました。小学校に入り、ファミコンに触れMSXに触れ、中学の頃には弟と小遣いを出し合ってスーパーファミコンを買いました。楽しかった。本当に楽しかった。

 醒めないゲームの夢は大人になっても続きました。20代は同人ゲームと共にありました。友人達とグラフィックを作り、シナリオを作り、慣れないままにパッケージを作り上げて楽しみました。そこから商業のPCゲームの制作に移り、更に手とお金と時間をかけたゲーム作りにハマるようになりました。

 気がつけば、僕の仕事の大半はゲームと共にあることに気付きました。いや、人生の大半がゲームと共にあると言っても過言ではないでしょう。目をつむれば、今でも鮮明に思い出される記憶の数々は、そのほとんどがゲームの記憶です。クソみたいに苦労したDQ2のラスダンだったり、FF5のアビリティポイントの振り分けだったり。そう、僕のゲームの記憶はそのままRPGの歴史でもあったのです。

 今回紹介する『UNDERTALE』は、海外の制作者による、「日本のゲームに対しての深い愛情とリスペクト、そして疑問とひとつの回答」を示した素晴らしいゲームです。プレイするとわかりますが、一見するとごく普通のRPGに見えるユーザーインターフェースと世界観の裏には、ともすれば意地悪く映るかもしれない、深い、考えさせられる内容が横たわっています。

 かと言って、やたら説教臭いとか、延々と誰かの自語りの入るゲームというわけでもありません。キャラのセリフや細かい動作、そして展開は思わずプレイする手を止めて笑ってしまうぐらいです。そう、このゲームは「楽しい」のです。

 しかし。ゲームが中盤に差し掛かり、最初のルートの終盤に来る頃になると、そこからはもう怒濤の展開となります。ここからが強烈なネタバレになるので詳細を書くことができないのですが、ゲームとは何か、RPGとは何か、僕たちが常識だと思っていることは一体どういう『常識』なのか。感情をグワングワンに揺さぶられ、フラフラになったところで突きつけられる選択と回答。こんな恐ろしい体験をゲームで示されたのは、これもよく話題にされ、作者がリスペクトを公言する『MOTHER』以来だと思います。

 世代にもよるのかもしれませんが、僕にとってゲームは思春期の大半を共に過ごした仲間であり、そして今も仕事の大半を委ねている相棒でもあります。何かと言えばRPGの共有知識をネタにした会話が生まれ、「経験値積んだ」「レベルアップした」「しんでしまうとはなにごとだ!」と、実生活にも照らし合わせてゲームは共に生きています。だからこそ、実体験とユーザーの心情をリアルタイムで揺さぶってくる『UNDERTALE』は、僕にとって特別なゲームになり得たのだと思います。

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 ゲームというものに、RPGというものに特別な感情を抱いている、そんな人たちにはぜひ一度、プレイしてみて欲しいです。そしてあの、一通りゲームが終わったあとの何とも言えない気持ちをぜひ体験して欲しい。きっと、すごく特別なものになると思いますよ。

Steam:Undertale

【注意】『UNDERTALE』は、ゲーム内のすべての言葉は英語で記述されています。現状、公式では日本語化されたものはありませんのでご注意ください。なお、非公式ですが、日本語化パッチの制作を続けていらっしゃる方がいらっしゃいます。リンク先の注意事項をよくお読みの上、個人の責任の上でご使用ください。

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