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人体どろどろなんでも溶かす、脳喰いアメーバの侵攻を食い止めろ!-『アポピスの復活 微生物研究室特任教授・坂口信』

『アポピスの復活 微生物研究室特任教授・坂口信』

内藤了/2024年/272ページ

”人喰いの怪物”、全国に感染拡大! 「微生物研究×ホラー」戦慄の第2弾

ドロドロに液体化した男性の遺体の一部が都内で発見された。
死亡したのは坂口の友人・古屋教授。
現場からは人体の細胞を食い荒らして増殖する新種のアメーバが見つかり、その被害者は増加の一途を辿る。
凶悪な微生物の弱点は何なのか、そして目撃の相次ぐ奇妙な「蝉人間」との関連は――。
毒舌刑事の海谷、助教の二階堂と共に事件を追う坂口。
しかし、感染は身近な人物にも及び……。

「微生物研究×ホラー」シリーズ、待望の第2弾!

(Amazon解説文より)

 

 とある雨の夜。ホテルの屋上から落下した、ドロドロに液状化した死体が発見される。遺されたのは赤黒い液体と衣服、そして歯や髪の毛の一部のみ…。死亡したのは微生物学者・坂口信の友人である古屋教授だった。さらには古屋の教え子だった大学院生・滝沢も溶けた死体となって発見される。ふたりはなぜか蝉のように、高いところにしがみついたまま死亡したものと思われた。

 遺体の残留物を検査した坂口は、新種の人喰いアメーバを発見する。死してなお増殖するそのアメーバは、果たしてどこからやって来たのだろうか。そして人体がドロドロに崩壊するという、衝撃的な事件が次々に発生。坂口はアメーバの正体を突き止められるのか?

 

 人間を溶かす脅威のアメーバ‟アポピス”はいかにして生まれたのか。その凶暴さの正体は。犠牲者が‟蝉人間”と化す理由とは。そして何より、特効薬が存在しないこのアメーバに感染した人間をどのように救えばいいのだろうか…。サスペンスな雰囲気だった前作に比べるとバイオホラーとしての読みごたえが増しており、アポピスの文字通り「恐るべき」習性も印象深い。相変わらず地味ではあるが誠実さと柔軟さを持ち合わせる坂口、なぜか坂口と同居することになったチャラといったレギュラー陣も好ましい。犠牲者の派手な死にっぷりに反して全体的に小粒というか、外連味に欠けるイメージは拭えないものの素直に楽しめる1冊である。

 話としてはきれいに完結した感があるが、ある人物の行動が最後まで不可解だったことを考えると、まだ何か続きがありそうな雰囲気。坂口自身も他作品にゲスト出演してもおかしくないな~。

★★★(3.0)

 

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