なぜアジャイルの方が成功しやすいのか?

スクラムギャザリングというカンファレンスの実行委員会がありました。実行委員会といっても、会議をやってるというより、淡々と決めて作業を進める会です。このカンファレンスは2011年からやっていて、来年でちょうど10年になります。紆余曲折ありながらも、ここ数年は実行委員業も枯れてきて、ああうまくいくアジャイルチームってこういう特性あるのかもな、と気づくところもありまして。今日はそのあたりを記してみます。

今日は趣意書の公開まで

今日は 4-5時間ほどで、趣意書(スポンサー向け資料含む)と、スポンサー受付のサイト作成までが終わりました。ちなみにWebサイトまでは終わらなかったので基盤まで整えたところで、次回の作業になりました。

趣意書はこちらです。

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うまくいってることは変えないでおく

やりながら考えたことは、

  • うまくいっていることは変えないでおく
  • というか問題なければ変えない
  • なので問題だけ議論して決めて
  • なる早でなるべく細かい単位でデプロイする

ということです。

趣意書は去年のものをベースに、昨年実績の追加記載と会場が変わるのでそれに伴う変更を入れてます。逆にいうとそれ以外は変えてません。

チームの中で作業を進めているので、面倒くさいところや、議論は盛り上がるけど前に進まなさそうな点は「あとで必要になったら話そう」と一旦話を切って進めました。今日中にある程度アウトプットしたいからです。

議論と作業のバランス

分業をしていないので、議論も作業も同じ人たちがやります。決定や作業計画だけ詰めたところで、作業ができなければアウトプットが出ません。一方で議論や決定が必要な部分ももちろんあるので、適宜、必要なタイミングで議論をやっていきます。

これが、多重請負のウォーターフォールだったとしたらどうなるでしょう。「私たちの責務は意思決定。今日は議論と意思決定に集中して、実作業は全体工程が決まった後でやりましょう。作業はそれぞれの担当や、その道のプロにお願いしましょう」ということになりがちかなと思います。たぶんそれ自体は「そういうもの」なのだと思いますので、悪い話ではないと思うのですが、問題は「いつ結果がわかるか?」です。もし今日、方針やスケジュールだけ決めたのだとすると、間違いがわかるのは実装後になります。来月か、もっと先か。

一方、趣意書の実装と即日公開で得られたものは以下です。

  • 会場見取り図でスポンサー受け入れ可能数を見積もる
  • 収益見込みを確認し、キャッシュフローとリスクのある変数について見当をつける
  • 公開後、すぐにスポンサーの応募を数件いただく。それによって趣意書が機能しているという認識を持つ
  • スポンサー申し込みフォームも機能していることがわかる。いくつか細かな改善を行いつつ今後のオペレーションの見当がつく

このようにいくつかのアウトプットと、その結果のアウトカム(成果)がありました。最大のアウトカムはスポンサーのお申し込みをすぐもらえたことです。嬉しい誤算。本当にありがたいご支援でした。

タイムリーなアウトプットがアジャイル成功のヒント

ほとんどが去年と同じことをしているにもかかわらず、「マンネリ」「つまらない」と感じることがない点も特筆すべきかもしれません。それどころか一年ぶりの作業なので、むしろ多くの発見や学びがありました。使っているサービスの機能が進化していたり、逆にうまく動かなくなってて直したり。ConfEngineというサービスの開発者に「前回のイベントからのコピーで新しいイベントを作る」という要望を出していたのですが、なんとそれが実装されていて、喝采が上がりました。

これももし多重請負のウォーターフォールだったら、企画会議で「昨年と同じではつまらないのではないか?」という話になって、アイデアが足された挙句に、実施部隊に情報が渡るのが遅れ、実施部隊は膨らんだ企画と変わった状況の狭間で右往左往しながらギリギリでリリースにこぎつけた後に問題が発覚して予定外かつ緊急の作業に追われる未来が見えます(知らないけど)。

アジャイルでは、というか別にアジャイルと呼ばなくても良いのですが、私たちが重視していたのは、ローコストで、タイムリーに、アウトプットしながら、結果を得て、それを通じて学びを得て、時間内で手仕舞いする。...ということです。私たちはアジャイルの実践を通じて、この「あたり前」のことを学んできたに過ぎないのかもしれません。

イノベーションは安定したチームから

あらゆる企業活動にこれが通じるなんて思いませんが、多くの作業はこうして日々回っていくような気もします。その結果、本人たちすら気づかないうちに「簡単には真似できないチームのノウハウ」が溜まってるような気もしなくもないです。小さなイノベーションの積み重ねは安定したチームから。...そんな気もしました。

きっとそんなことはみんなわかってるけど、意外とそこまで我慢できずに新しいアイデア投入をやってしまったり、人を入れ替えてみたり、売り上げが立たずに予算が尽きたり、ステークホルダーや偉い人お客さんに振り回されたりするものなのかもなー、とも思います。頑張っていきましょう。

アジャイルを始める時の成功のヒントは、今いる人で今できるアウトプットを最速で目指してみる。...そんなところにあるんじゃないかと思ったのでした。

 

...というわけで、今日も作業が進んで満足でした。早速のスポンサーのお申し込みもありがとうございます。「ほんとこのカンファレンスは愛されてるね(私たちではなく)」ということで、またちょっとやる気も補充できました。フィードバック大事ですね。次回作業日を決めて今日は終了しました。

 

P.S. 4-5時間作業して3時間飲んでたみたい。ワークライフバランス。まあ仕事じゃないですけど。

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実行委員のてやまぐさんの資料もいいですね。こんな話をいつもしてる。XP祭りの実行委員も2010年くらいからやってました。

Conference Organize Tips at 2019/06/22 #devlove #devlovex