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2009年 06月 14日
J.S.Bachといえば、人類が産んだ最高のいや有史以来最高の音楽家と言っても誰も反対しないだろう。音楽好きなら最後にはBachに行き着くというのが常と言っても良い。トッカータとフーガ、平均律クラビーア、ゴールドベルグ変奏曲、ブランデンブルグ協奏曲、無伴奏チェロ組曲、無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ、フーガの技法、音楽の捧げもの、フランス組曲、チェンバロのためのパルティータ、マニフィカト、クリスマス・オラトリオそしてマタイ受難曲というように、数え切れないほどの不朽の名作品を大量に残している。Bachに対しては、天才という言葉さえあまりに軽すぎて使うことがきないほどで、それは一人コングロマリットというか、一人産業、いや一人帝国といってもいいくらいだ。
ここで話題にしたいのが、その中でも断トツの作品、Bachがライフワークとして残したカンタータである。現在楽譜が残っているのが、教会カンタータが約200曲、世俗カンタータが10曲というもので、これは当初Bachが作曲した量の80%にあたるとも50%くらいだとも言われている。しかし、この現在残っているカンタータを実際に聞くだけでも、トンデモない根性が必要になる。Ton Koopmanの全曲録音で例を示すと、教会カンタータ部分で1391トラック、4013分20秒、つまりぶっ続けて聞いても67時間かかる。三日弱必要なのだ。一日12時間聞いても5日以上必要だ。僕はこのTon Koopmanのカンタータ全曲をできる限り通して聴いたことが今までに一回だけある。実際にやってみるとわかるのだが、全曲聴き終わるのに一週間くらいかかるのだ。そして、全曲を通して聴いた後の一週間は、一切の音楽を聴きたくなくなる。ちなみにこの全曲集だが、CDだと67巻の化け物で、購入すると10万円を超える。お金のことも大きな問題だが、67枚のCDをiTuneでリッピングするなんて最初から考えたくない。だから、Naxosのオンライン会員になって、Ton Koopmanの全曲集をオンラインで聴いたのだ。 http://ml.naxos.jp/album/CC72201 カンタータと一口にいうが、内容は非常に多様性に富んでいる。コラール(合唱)あり、レシタティーボやアリア(どちらも独唱の形式)あり、デュオ(デュエット)あり、シンフォニア(器楽曲)ありという具合だ。ちなみに、僕は高校まではルター派の教会に所属する学校に通っていた。ルター派ではBachカンタータのコラールが賛美歌や聖歌隊合唱に普通に取り入れられていて、その意味で、カンタータ、その中でもコラールは僕が子供の時から慣れ親しんだ旋律なのだ。カンタータの全体構成や各曲の詳細については、日本語では葛の葉氏が運営する大変詳細なカンタータの情報サイトが参考になる。 http://www.kantate.info/ このサイトで一番のオススメは、著作隣接権の切れた古いカンタータの録音を聴くことができることだ。すばらしい。しかし、やはりなんと言っても網羅的なサイトとなると、次のBach Cantatas Websiteを挙げずにはおけない。 http://www.bach-cantatas.com/ このサイトは言ってみれば世界のカンタータファンのリファレンスサイトになっている。 教会カンタータの成立自体が、ルター派の教会暦に沿って行われる礼拝ごとに作曲され演奏されてきたもので、言ってみれば現代の週刊漫画雑誌連載の漫画家のように、Bachはほぼ毎週巡ってくる締め切りを持っていたのだ。そして一曲あたり、少なくとも5つのパート、多いときには15曲のパートにも分かれる曲を作曲し、演奏してきたのだ。教会付きサラリーマン作曲家兼演奏家兼指揮者、それがBachだったのだ。そうした作曲事情が、現存するカンタータだけでも200という膨大な生産性を可能にした理由の一つだと言われている。 http://www.bach-cantatas.com/Lutheran-Read.htm 教会カンタータで唱われるのは新約聖書の福音書だから、より深く楽しもうと思うと福音書を読んでいないとお話にならないというのが通常言われることだ。しかし、実は福音書を読まなくても、音楽自体があまりに素晴らしいものだから、楽しむのに全然問題ないと個人的には思っている。ただ、これは全ての西欧発のナレッジ、芸術について言えることなのだが、そういった西欧発の知的営みを腹で味わいたいと思うなら、どこかで聖書を通読していたほうがいい。西欧系の学問をやる人文系の日本人学者が圧倒的にダメなのは、聖書の知識がない人が多いからだと僕は思っている。素読しただけでは分からないことだらけだろうけれど、全然読まないよりずっと良い。なにより、日本には田川健三の新訳が出ていることだし。 http://kashino.exblog.jp/7339674/ 先ほども書いたとおり、僕は全曲録音集についてはTon Koopmanは一度だけ通して聴いたが、その他のGardinerやHarnoncourt/Leonhardtの全曲集については、ディスクユニオンでときどき見つけるバラものしか聴いていないので、教会カンタータの初心者に過ぎない。しかし、全曲を聴かなくても、いわばハイライトとも言うべき不朽の演奏があり、これを聴くとBachのカンタータの本質が掴める気になるのだ。 それが、Karl Richterが指揮をする、カンタータ75曲を収めた26枚のCD集である。 http://www.amazon.com/Bach-Cantatas-Volumes-Sundays-Church/dp/B000001303/ とにかく 演奏と合唱、そしてなにより独唱が素晴らしい。Richterが手綱を操るMunich Bach Orchestraのドライブ感溢れるダイナミックな演奏とそれと一紙違わぬ生気溢れたMunich Bach Choirの合唱、そしてDietrich Fischer-Dieskau, Maria Stader, Edith Mathis, Peter Schreierという各独唱者の無限に広がるような歌声に昇天すること間違いないというほどの出来映えなのだ。Richterのマタイ受難曲も大変な一品だが、こちらもトンデモナイほどスゴイ作品だ。ちなみに、Ton Koopmanの全曲録音もかなり素晴らしいもので、たぶん当時の古楽器使った演奏では断トツ一番だと思う。まあ、聴いているだけで昇天するかのようなRichterの演奏に比べてしまうほうが、おかしいのだろう。 ということで、僕の"Desert Island Discs"( http://www.bbc.co.uk/programmes/b006qnmr )といえば、まず第一にはこのカンタータ、それもRichterのヤツということになっているのだ。
by yutakashino
| 2009-06-14 12:26
| Music
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