環境微生物学研究室 - 近畿大学生命科学科

近畿大学東大阪キャンパスにある牧輝弥教授の環境微生物学研究室です。

環境微生物学研究室の紹介

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近畿大学東大阪キャンパスにある環境微生物学研究室のブログです。

 

詳しい研究室紹介はこちら↓↓(ブログ内)

研究室紹介 - 環境微生物学研究室 - 近畿大学生命科学科

 

HPはこちら↓↓

https://www.life.kindai.ac.jp/laboratory/maki/

 

 

AAC牧教授レポート『蝙蝠の恩返し!?』

=== 牧教授レポート ===

春のシンガポール滞在中にシンガポール南洋理科大を訪問し、バイオエアロゾルをショットガンメタゲノムで解析する実験室を見学した。

研究室は、TSIで働いている内田さんに案内してもらった。

彼はシンガポール南洋理科大でバイオエアロゾルのショットガンメタゲノム解析を立ち上げ、いくつかの有名雑誌に論文を発表していた。解析方法や研究室の状況に詳しかったので見学案内を買ってくれたわけだ。その折、11月にAAC2024がマレーシアで開催され、自身も参加すると教えてくれた。

参加するか悩んでいたが、帰国して研究室のM2の田宮さんにAAC2024で発表してはどうかと伝えると、二つ返事で参加すると返答があった。

海外で発表するのに躊躇しがちな学生が多い中、珍しい。私も参加する気になり、折角なので口頭発表で申し込んでみた。

ちょうど大阪観測のモニタリングとメタゲノムを比較するデータ考察を深めたかったので、内容にも困らない。しかも、大阪のデータを自身で発表するのは初めてであり、近大でとったデータを初披露する場にもなりそうなので、やる気が出てきた。

 

マレーシアと聞いていたので、すっかりクアラルンプールで開催かと思っていたら、クチンというスマトラ島にある町が開催地だった。

クアラルンプールとクチン

クアラルンプールから更に飛行機で2時間弱移動する必要がある。

クチンは、猫という意味があるらしく、街には猫の像がちらほらあり、猫も人懐っこくすり寄ってくる。

映画「猫の恩返し」のテーマ「風になる」が聞こえてきそうだ。

スタジオジブリ「猫の恩返し」

クチンの公園

会場は、宿泊先のプルマンクチンホテルからバスで30分ほどで、大きな国際センターだった。

会場のボルネオ・コンベンションセンター・クチン

手続きするため会場に行くと、まず最初に内田さんに出会った。内田さんの声掛けがきっかけだったが、いきなり出会えるとは奇遇だ。

内田さんは、TSIのブースを担当しており、ほかのブースで展示されているバイオエアロゾルのサンプラーやモニタリング機器について教えてくれた。さすがシンガポール南洋理科大のエースだっただけはある。

基調講演や招待講演から研究発表が始まり、おもに汚染大気や地球温暖化に関連した発表が続く。

M2の田宮さんも、初めての国際学会とあり、フムフムと聞いている。いや、最初なので聞いているふりをしているだけかもしれない。いや、分かっていると帰国後に報告書を書かされると思っているかもしれないので、聞いているふりのふりをしているのかもしれない。

そんな感じで、発表が進行していき、我々の出番になった。

田宮さんは入口近くの聴衆が集まりそうな場所にポスターを掲示した。

内容は、「信貴山にフワフワと浮遊する微生物たちの雲をつくる能力も、旬の野菜のように季節変化するのだろうか」である。

私の知り合いの先生や、海外の研究者など、それなりに内容を聞いてもらえたようだ。

中には機関銃のように話す欧米系の方が来て、あまり話してくる内容がわからなかったとのことである。

おそらく一週間に10時間くらいはNOVAに通わなければならないと悟ってくれたと思う。

駅前留学!(画像引用:NOVA)

続いて私の発表である。

「バイオエアロゾルの自動モニタリング装置ウィブスは、本当に大気微生物を計っているのだろうか。計っているのならバクテロイデテスのような有機物粒子に付着している微生物を計っているのでないか」という内容について話した。

今回は、時間内に話を終わらすことができ、質疑の方も岸田元首相なみにまあまあ答えることができた。

しかし、いくつかの質問は聞き取れなかったので、「タイガー&バニー」に出てくるジェイク・マルチネスのように心を読む超能力を駆使して答えた。

ジェイク・マルチネス:相手の心を読む特殊能力を持つ

画像引用:https://renote.net/articles/324455/page/2

その後、バイオエアロゾルのセッションでは、室内環境の気中微生物の話がいくつかあり、北京大のグループも黄砂によって運ばれる微生物の研究に着手しているのには驚いた。

ワレワレもウカウカしていられない。

 

学会を終え、フライトまでにまる一日時間があったので、ワニ園と洞窟を見学した。

ワニ園(ジョンズクロコダイルファーム)

クチンから車で 20 分の距離にあるジョンズ クロコダイル ファーム & 動物園は、マレーシア初で最大の飼育下繁殖クロコダイル ファームです。背の高い熱帯樹木、青々とした植物、地元の果樹の魅力的な背景に囲まれたこのユニークなファームでは、飼育下で繁殖した 2,000 匹以上のワニが飼育されています。(HPより引用)

ワニ園はジャングルを切り開いた中にあり、熱帯雨林を見回るのにもちょうどよかった。ただ、赤道よりやや南寄りなので、温帯の樹木も多く、ワニのにおいもぷーんとして、天王寺動物園の茶臼山を散歩している雰囲気に近かった。

ワニが泳ぐゲージはいくつもあり、ワニもこれでもかと言うくらい無数おり、まさに無限ワニ園といったところである。

無限ワニ(画像引用:Wikipedia)

中には、浮草が大発生している池もあり、そこからワニが這い出てくると、ミドリの巨体が動き回っているように見える。ミド、ミド、ミドリワニである。

密林のツタ!!

洞窟は、照明植生を見るつもりであったが、驚くべきことに、洞窟には一切照明がなく、真っ暗だった。

洞窟の入口

自然光の洞窟

入るときにヘッドライトが渡され、それを頼りに洞窟を回っていくのである。滑って転んでも自己責任なのである。なんと自然にやさしく、すがすがしいのだろう。

ここでは、蝙蝠も無数にいて無限蝙蝠だったのだが、照明がなく蝙蝠もこころなし、「風になる」を歌って喜んでいるように見えた。

洞窟の中の蝙蝠

無限蝙蝠

よし、次は「蝙蝠の恩返し」だ。

(完)

===

13th Asian Aerosol Conference(第13回アジアエアロゾル会議)in マレーシア

第13回アジアエアロゾル会議(AAC)で教授と大学院生1名が発表してきました。

 

口頭発表タイトル(牧教授):Fluorescent sensors and DNA metagenomes targeting urban bioaerosols changed suddenly during Asian-dust season.

 

ポスター発表タイトル(M2):Seasonal variations in community structures and ice-nucleation levels of airborne microorganisms in forest area.

会場のボルネオ・コンベンションセンター・クチン

海上からのクチン

ココナッツジュース

クチンは猫の街

牧教授も院生も忙しいため写真のみお送りしました。

第16回大気バイオエアロゾルシンポジウム開催決定!

第16回大気バイオエアロゾルシンポジウムの開催が決まりました。

今年度も近大で開催いたします。

日時:2025年 2/22(土)~23(日)

会場:東大阪キャンパス C館102教室

近畿大学 東大阪キャンパスC館

以下の幅広い分野を扱いますので、興味のある方はぜひご参加お待ちしております。

<内容>

  • バイオエアロゾルの起源・発生機構や拡散メカニズムの解明
  • バイオエアロゾルの測定手法や検出手法
  • 国内外の乾燥地・都市部・森林や海洋での観測調査
  • ヒトや動物その他の健康影響
  • 農業や漁業への影響
  • 雲形成・降水との関わりや気候変動影響
  • 食文化や産業との関係
  • 天然物や遺跡の汚損

申し込み方法

以下のGoogleフォームから記入、送信お願いします。

第16回大気バイオエアロゾルシンポジウム出欠入力フォーム

※お問い合わせのみでも大丈夫ですので、お気軽に質問欄にご記入後送信ください。

日本微生物生態学会第37回広島大会

今年の微生物生態学会は広島原爆ドームの隣、国際会議場で行われました。

当研究室からは大学院2年生が2名、ポスター発表で参加。

『秋芳洞の鍾乳洞を緑化させる光合成微生物の風送拡散の解明』

『東アジア上空を黄砂とともに長距離輸送されるバイオエアロゾルの微生物群集構造』

質問等に訪問した研究者とバイオエアロゾル研究の現状(特に観測技術と遺伝子解析手法)について議論を交わしました。

研究室の入り口に当該ポスターを展示していますので、ぜひご覧ください。

MBS毎日放送に出演します!

毎日放送の深夜バラエティー『Aぇ‼‼‼ゐこ』に、当研究室の牧教授と大学院生が出演します!

2024年11月2日(土)毎日放送4チャンネル 深夜1:28~

そんな時間起きてない~という人でも、TVerで見逃し配信がありますのでぜひ!

『Aぇ‼‼‼ゐこ』は、よゐことAぇ! groupのメンバーが関西を盛り上げるべく様々なことを全力調査する番組で、10/19日放送分では近大相撲部の特集がありました。

今回も引き続き、近畿大学のいろいろなところが紹介されています。

予告映像では学生が結構映っていました。楽しみです!

www.mbs.jp

2024年度 卒研中間発表会

先週土曜日、今年度の卒研生5名の中間発表会が無事に終わりました。

2024年度 環境微生物学研究室 卒業研究発表タイトル

この先さらに忙しくなる4年生ですが、身体に気を付けて、今度は卒研発表会本番まで走り抜けてほしいです。

 

2024夏出張レポート【第3弾:ニュージーランド オークランド】

オークランドのスカイタワー

=== 牧教授レポート ===

ニュージーランドと日本の森林に風送される大気微生物の違いを調べるため,オークランド工科大学のKevin Lee助教とともに,ニュージーランド北島において,農場に寝泊まりしながら,雄大なカウリが茂る森とで観測を実施した。

雄大なカウリ

この時,国立農業研究所のSteve Archer博士から大気サンプラーを借りることで,採取する大気粒子量を従来よりも大幅に増やすことができたのは大きな収穫であった。

また, 英国マンチェスター大学と共同解析している大阪のメタゲノム(大気微生物の遺伝子)解析データを,Lee助教のバイオインフォマティクス解析技法で解析することで,大阪に浮遊する有害微生物を種レベルで自動測定できるようになる可能性が高まった。

よって,観測と解析の両方で,有意義な国際的成果が得られそうだ。

オークランド工科大学

しかし,不運は襲った。オークランドから上海経由で関西空港に帰国を予定していたところ,台風の影響で上海に足止めとなり,帰国が1日遅れになった。

この足止めに間に準備されたホテルに移動する際に,自身が移動するバスと別のバスに,預け荷物2個を入れたところ,ホテルに到着すると荷物が届いていなかった。

その後,探索しているが未だに荷物は見つかっていない。

紛失したものと思われる。

「天平の甍(井上靖著)」の業行(唐からの帰路,一生をかけた写経書が海底の藻屑になった)のごとく,苦悶した。

画像引用:Amazon

===(完)===

デボンポート

デボンポートはオークランド市街からフェリーで15分弱の場所にある港町。

市街の対岸に位置し桟橋からのびるビクトリア通り沿いには、コロニアル調の歴史ある建物が立ち並び、おしゃれな雑貨店やカフェ、レストランが軒を連ねています。

また、海軍基地のある場所としても知られており、歴史的な街としても有名。

引用:JTB