kagamihogeの日記

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書きあぐねている人のための小説入門

blog をソレナリに長いこと書いてきてるせいか、ここ最近は自然言語による文章作成技法に興味を持つ時間が増えてきてます。そんな時に本屋をブラブラしてた時に見つけたのがこの一冊。いや、まぁ……小説書きたいわけじゃないんですけどね。そりゃまあ、SS とかラノベとかアレとかソレとか好きですが。書けるものなら書いてみたいな、って欲はあるんだけどさw

俺は、blog でそこそこの数のエントリを書き続けてきて、疑問というかもどかしく思いはじめたことが一つある。それは、文章というのは線形の構造であるということ。言い換えると、文章というのは、順番に読み進められていく性質がある、ということ。何を当たり前なことをと言う人もいると思うけど、人間が何かを考える・感じることと、それを文章にしたときのギャップというのはすごい差があるんですよ。

人は誰しも同時に様々なことを処理している・できるんだけど、文章は線形にならざるを得ない。文章で何かを示そうと考えるときに、これほど障壁になることはない。考えたことを文章に落とすには直列化しないといけないんだけど、落とし込むのも読むのも並列化されている人間なわけで。仕様書とか設計書なら図や表を入れられるけど、文章で書かないといけない部分はやっぱりあるし。人に何かを伝えるのって、伝える行為そのものが大変な労力を伴うんだろうね。

たとえば、朝起きて、電車に乗って会社に着くまでには、ゴミ捨て場が匂ってたり、カラスがギャースカ鳴いてたり、晴れ模様が広がっているわけで、人ってのはホントはそういうのを同時に知覚してるんだけども、文章では順番に書かないといけない。

本書では、その矛盾の克服について考え抜くことこそが良い小説を生む糧となる、と説いている。俺は小説を書いたことないけど「文章で書くと、こうなっちゃうなぁ」ってなったことって一度や二度じゃないんですよね。だからこそ、俺は文章を書くとは何なのか、という疑問を持ち始めたわけです。で、本書によると、どうも小説も似たような問題を多々抱えていて、それについて考えることが小説を書くことだ、といった趣旨のことを本書の中で繰り返し述べている。

「小説を書く」とは「小説とは何か?」を考えることだ、とくり返してきた。
しかし、それは、四六時中、小説のことばかり考えるという意味ではない。

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫) 2 章 小説の外側から - ジャズを聴きながら小説を考えてみる P.46 より抜粋

本書は文章を書くことが抱える構造的問題のほかにも、著者が小説を書く上で大事だと思っていることをいくつか記している。小説とは人を肯定するということだとか、小説のテクニックとはそもそも何なのかということとか、風景描写の持つ意味とか。

文章を書くとは一体何なのか? と疑問に思ったことがある人は、読んでみると何か得るものがある一冊。俺は小説家を志したわけじゃないけど、思う所がタクサンありました。