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夏の部屋はダニ天国!? 手軽にできる寝具のダニ対策とは
2022年7月28日 07:05
世界は大きく2つに分けられる。目に見えるものと見えないものに。
害虫の世界でも、「ゴキブリ」は目に見えても「ダニ」は、よく見えないという違いがある。夏になると「ダニ対策」「ダニ対策」と注意喚起されるが、よく見えないため今ひとつ本気になれないというか、他人事のように感じがちだ。
見えにくいのも無理はない。私たちの住まいに棲んでいる主なダニの「チリダニ(ヒョウヒダニ)」は体長0.2~0.4mm、「コナダニ」は0.3mm、「ツメダニ」は0.3~0.5mmと非常に小さい。目の良い人なら肉眼でも目視できないことはない。
しかし多くの個体の体色は淡黄色ないし乳白色であるため布団の綿やじゅうたん、衣類などの繊維や小麦粉等の中に紛れてしまうと、一体化して判別は容易でない。
エアコンをかけた夏の部屋はダニ天国!?
ところで、ダニとはどんな生き物なのだろう。まず、虫ではあるが昆虫ではない。脚が8本ある。クモやサソリに近い。
このダニの仲間は世界中の熱帯から極に至るまで幅広く生息し、全体では2万種以上いると言われている。日本の住まい内で見られるのはそのうち15種類ほど。そしてそのいずれも高温多湿の環境、人体周辺のチリ、潜伏を好む。
そしてダニは乾燥に弱いという性質があるため、生きるため十分な湿気が必要不可欠だ。およそ相対湿度60%を超えると、ダニにとっての最適環境となる。気温は20℃以上あると良い。
つまるところ、人間にとっても心地いい、エアコンをかけた夏の部屋(気温26℃、湿度60%程度)の環境が、残念ながらダニ天国となる。
掃除をしていてもダニは増加。アレルギー症状の原因に
この整った環境で、ひとつがいのダニは3~4カ月で数百万匹にまで増える。よく掃除、換気された家でも家中には億を超えるダニが生息していると目されている。掃除、換気をしていなければ推して知るべし。
そしてこのおびただしい数のダニの排泄する糞、死骸の欠片は住まいの「ホコリ」として可視化されることになるわけだが、ホコリを見て即ちダニだと判別できる人はほとんどいないだろう。
ダニといえばよく「刺された」「噛まれた」などという話を聞くが、実際のところ刺したり噛んだりするツメダニはかなりの少数派で、主なダニの害とはチリダニの死骸や糞の欠片を吸い込んでしまうことによる、鼻炎や喘息、蕁麻疹といったアレルギー症状にある。
また、小麦粉やホットケーキミックスなどの常温保存の粉ものが開封してあると、コナダニが入り込み繁殖することもある。ダニが入った粉ものを食べてしまってアナフィラキシーショックが発生する事例も近年多く、問題視されている。
「目に見えないから」「いてもよくわからないから」「どうせ家で増えてしまうものだから」気にしない、関係ない、……とは言いきれない。微小でもあなどれない存在がダニなのだ。
除湿や掃除、ダニの捕獲で対応を
さてそんなダニに対して、私たちは何ができるのだろう。人間の快適環境がダニの快適環境でもある以上、方策には限りがあるが、主なものは以下の通りだ。
- 換気することで、湿度を上げすぎない
- 掃除・洗濯をすることで、餌を与えすぎない
- ダニ捕りマットを設置するなど、捕獲できる個体は捕獲する
- 掃除機がけや洗濯により、糞や死骸の欠片はこまめに除去する
- 潜みたがる箇所に香りづけすることで、ダニ除けを施す
大量に発生してしまったような場合には殺虫剤の使用や、專門業者による熱処理といった対応も選択肢となる。
以下、比較的容易に家庭でできる、寝具のダニ対策グッズを紹介、説明する。
本当にダニがいるのか目で見てわかる、日革研究所「ダニ目視キット」
そもそも「わが家にダニなどいるわけがない」「存在が信じられない」という人にこそ是非試してほしいのが、このダニ目視のためのキットだ。誘引剤でダニを寄せ付けるもので、付属のルーペで集まったダニを確認できる。
見えにくいダニを非常にわかりやすく可視化してくれる。布団やベッドなど気になる箇所に設置し、のちに回収するだけで観察できるので、非常に簡単だ。
さらにアプリと連動させることで自宅にいるダニの判別まで行なうことができる。注意点は、このキット自体はいわゆる「ダニ捕りマット」ではないので、たくさんダニの捕れた箇所には別途、専用のダニ捕りマットを設置しないといけない。
薬物不使用でダニを集めるマット、日革研究所「ダニ捕りロボ」
生きているダニを誘引して死滅、乾燥させそのまま捨てることのできる捕獲マット。薬剤を使用していないので化学的な臭いに弱い人も安心して使える。
基本的には、ダニがいそうな場所に「暗所」になるようマットを設置するだけと簡便。ダニがよくいる場所は、押入れの布団の間、敷いている布団の下、ベッドマットレス、布ソファのクッションの下、畳、カーペットなどだ。
筆者にはダニアレルギーで喘息発作を起こす子供がおり、このマットを使うようになってから夜中の救急搬送が無くなった経験を持つ。15年ほど愛用している。
洗濯時に使うとダニが寄り付かなくなる、ウエキ「ダニクリン」
ダニの潜伏が懸念される、洗える布物全般に向けてのダニ忌避剤。洗濯時に使うことで、寝具にダニを寄せ付けにくくする。シーツ、毛布、布団カバー、枕カバー、洗える枕、クッションなどのほか、洗えるカーペットやラグなどの洗濯に使える。
洗濯機の柔軟剤投入口に入れるだけと使用方法も単純だ。洗濯物への薬剤の臭い残りもごく少ないので、強い香料に弱いタイプの人にも向いている。筆者は季節外の寝具の洗濯時のほか衣替え時に冬物衣類にも使用している。
ニトリ「洗える珪藻土入り除湿シート」
ダニの潜みやすい寝具に含まれる湿気を減らす目的で、敷き布団の下に敷く除湿シート。筆者は他社製品も愛用していたが、家族の人数が多く使用数が多いこともあり、安価なこちらの製品も使っている。
湿気が溜まるとセンサーの色が変わり、目で見て判断がつくのが良い。洗濯もできるため、万一に粗相などで汚れてしまった場合にも衛生的に安心である。ただし頻繁に洗う必要はない。
レイコップ「レイコップジェネシス」
梅雨時に屋内に増えたカビは、ダニの餌にもなる。そのカビを殺す紫外線(UV-C)を照射しながら床掃除ができる特殊な掃除機だ。ヘッドカバーを装着すれば、布団クリーナーとしても使える。
スティックタイプなので軽く持ち上げ、吊るしたままのカーテン等、大きな布の掃除も容易。ちなみに、カーテンにもダニは潜んでいるのだ。私感としては畳、じゅうたんなどの部屋が多い住まいに向いている。
ダニを増やさないように対策を
見えにくいけれど住まいには確実に存在するダニとの攻防は、その絶対数をいかに増やしすぎないかに尽きる。
ゼロにはできない。しかしその繁殖を応援するわけにもいかない。むやみに躍起にならず、しかし無視せず、淡々と対策を講じ続けたい。