きちんと使えない人はWebから引用すべきでないんでない?

 試験とレポートの話、続き。
 わたしはWebからの引用は非推奨と講義中に明言したと思うのですが、Wikipediaについて、少し。

にて、

フェミニズム」の項の「女性労働への影響」のところなんかは1922年の次が1999年と、とんでもない時代の飛躍になります。

と、書きましたが、それ以前の問題がありました。

には、こんなふうに出てます。

〈 女性の労働への影響 〉
日本では1922年に婦人弁護士制度が制定され、初の女性弁護士が誕生するなど、女性の職業選択の面で重要な成果をあげた。1999年には男女雇用機会均等法の大幅な改正によって、雇用上の女性の権利、育児休暇の権利が獲得された。

 ところがですね。同じWikipediaの項目で。

女性が弁護士になる事を可能とする、婦人弁護士制度制定(弁護士法改正、1933年・昭和8)等

という記述もあったりして。
 で、どうも後者が正しいようです。たとえば、松山大の田村さんも、

の「中田正子」のページで、1933年の弁護士法改正について触れ、中田さんたちが「1940年に初の女性弁護士となり」と書いていらっしゃいますし。
 たぶん「33」と入力しようとして、となりのキーを押してしまったんですネ。(超好意的解釈)

■ところで改正均等法について

 ここに書いてあること、鵜呑みにしてる人もいるのだろうか。
 「雇用上の女性の権利」ってすごくあいまいな記述でよくわかんない上に、「育児休暇の権利が獲得」って、それって1991年成立の育児・介護休業法で定められたことなんじゃないの。

■紙の百科事典だって間違ってることはある

 以前平凡社大百科事典でおかしな記述を見つけてみんなで検討したことがあります。(ある恒星までの距離がヘンだったという記憶が。)岩波の『女性学事典』だって変なこと書いてることもある。わたしが訳したマギー・ハムの辞典にも誤りはあります。(メアリ・ウルストンクラフトの著書の発行年が間違ってる。これは原著の誤りだけど、訳者も気づいてなかったし、わたしも監訳してて全然気がつきませんでしたよ。orz)
 でも上で見たように、Wikipediaとかはそういうのの比じゃないわけで(もちろんちゃんとした項目もあります)、やっぱきちんと使いこなせる人に使ってほしいなと。特に「インターネットで調べました」は調べたことにならないよ、ということで。何を調べたのか、それだけじゃ検証不可能だから。同じ意味で、「参考にしたURL http://homepage1.nifty.com/」とか書く人も使っちゃダメです。(笑)*1

*1:このあとに ~……/……/ と続くはずで、その部分が大事なわけですから。