2024年に出逢ったベストソング(下半期前編)

ご無沙汰しております。

 

毎年恒例の企画ですが、今回もやっていきます。
「下半期前編」ということで、昨年の7月〜9月に出逢ったベストソングを挙げていきます。

いつもの如く最新リリースの曲はあまりにも聴いた量が少ないので「2024年のベストソング」はやりません。
「2024年に出逢ったベストソング」ということで、過去の作品を聴いた中で特にハマった曲を年代問わず紹介していきます。一部2024年リリースの曲もあります。
今年初めて聴いた曲だけでなく、過去に聴いたことがあって今年その良さを再認識した曲も含んでいます。

YouTubeなど動画サイトにアップされているものは貼っています。
(※容量の負荷で重くなってしまっているかもしれません。ご了承ください。)

それでは本題に入りましょう。

 

【7月】

 

・桑江知子「黄昏をワインに染めて」(1990年)
作詞:荒木とよひさ
作曲:都志見隆
編曲:若草恵

 

桑江知子の8thシングル曲。デビュー曲「私のハートはストップモーション」のヒットで知られる歌手。この曲はアルバム未収録。お世話になっているフォロワーさんがこの曲を高く評価したいことで知り、シングルを探していた。
哀愁に溢れたメロディーで聴かせるバラードナンバー。恋人との別れをテーマにした詞世界も相まって、歌謡曲のような質感がある。
僕は作曲を手掛けた都志見隆のことを勝手にバラードの名手だと思っているのだが、彼の実力が存分に発揮された形。情感のこもった桑江のボーカルが限りなく映える曲になっている印象がある。


・櫻井智「アシタノキミ」(1999年)
作詞:三浦徳子
作曲:白川明
編曲:堀井勝美

 

声優・櫻井智の5thシングル曲。本人がメインキャラクターの声を演じたアニメ『スーパードール★リカちゃん』のオープニングテーマ。エンディングテーマ「その夢は何色?」と同時発売され、どちらも本人名義のアルバムには未収録となっている。
開放的な雰囲気溢れるポップナンバー。コーラスワークも相まって、サビは一度聴いてすぐに馴染むほどに強い。キーボード主体のアレンジは、メロディー自体のポップ性を高めるとともに、櫻井の甘く可愛らしい歌声の魅力を最大限に引き出している。


・忍者「最後のAnswer Phone」(1993年)
作詞:秋元康
作曲:岸正之
編曲:岩崎文紀

 

90年代に活動したジャニーズ系グループ・忍者の6thアルバム「Summer Ski」の収録曲。柳沢超と正木慎也の2人がボーカルを担当した。彼らは和やお祭りをテーマにした歌謡曲的な作風を展開してきたが、このアルバムでは普通のポップスを展開。その中でも一番好きなのがこの曲。
洗練されたメロディーとウォールオブサウンドの要素を取り入れたサウンドが心地良いミディアムナンバー。2人の歌唱力もかなりのもの。
作曲の岸正之には個人的に絶大な信頼を置いているのだが、期待通りの名曲だった。この人ほど上質なアイドルポップを作れる人はいないと思っている。


・佐倉楓子(CV:前田千亜紀)「Twilight Express」(2000年)
作詞:椎名可憐
作曲:宮島律子
編曲:鶴由雄

 

ゲーム『ときめきメモリアル2』のヒロインの一人・佐倉楓子のキャラソンで、サブストーリーのエンディングテーマ。ファン人気の高い曲とされ、この曲が収録されたシングル「Blooming Stories 7」はプレミアがついている。
訴求力に満ちたメロディーとボーカルで聴かせるミディアムナンバー。サビには一聴しただけで心を掴まれた。シリーズの中でも唯一の遠距離恋愛をテーマにしたキャラということで、それが反映された詞世界も印象的。
先日の「異常収穫旅行」で、フォロワーさんとの別れ際にこの曲が車内BGMとして流れてきた時、あまりの良さに感動してしまった。
その思い入れも相まって、ときメモ関連の曲では一つ抜けて好きな曲となった。きっとフォロワーさんも同じだろう。信じてるよ…


【8月】

 

・Debbie’s Ally「夜明けのドリーミング」(1980年)
作詞:児玉伊津子
作曲:嶋村隆
編曲:Debbie’s Ally

 

Debbie’s Allyが1980年に制作した自主制作アルバムのタイトル曲。沖縄出身の女性歌手・デビーこと児玉伊津子がボーカルを担当していたバンドで、シティポップリバイバルの影響を受け、2022年にアルバムが再発された。内容の良さとプレス数の少なさから、長年高額で取引されていたという。
洗練されたメロディーと演奏が心地良い曲。同時代のディスコやAORの要素を取り入れたサウンド面は聴きごたえがある。デビーの艶やかな歌声もたまらない。
これだけの作品が長年埋もれ続けていたということに驚くばかり。


・天野滋「夏のかけら」(1988年)
作詞作曲編曲:天野滋

 

NSPのリーダーだった天野滋のソロ2ndアルバム「BECAUSE OF YOU」収録曲。このアルバムは結果的に最後のソロ作品となり、配信や再発もされていないため、かなり高値で出回っている。一昨年に昼間のラジオ番組で流れてきて心を掴まれ、それ以来アルバムを探し続けてきたが、この頃ようやく入手できた。
叙情的な雰囲気を持ったメロディーで聴かせるバラードナンバー。天野の素朴なボーカルとの組み合わせがたまらない。詞世界はタイトル通り夏を舞台にしたもの。今年の夏はこの曲ばかり聴いていた。
地味と言ってしまえばそれまでだが、不思議と引き込まれる名バラード。


・村井博「夏の隠れ家〜Weekend Resort〜」(1990年)
作詞:森浩美
作曲:羽場仁志
編曲:GREG MATHISON

 

村井博の3rd(ラスト)アルバム「NATURAL」の収録曲。90年代シティポップを代表する名盤として、ここ数年はかなりのプレミアがついている。僕も数年かけて探し続けてきた末、大枚をはたいて入手した。かなりの出費ではあったが、それに見合った名盤だった。その中でも一番好きなのがこの曲。
この曲を聴いた時、イントロからして勝ちを確信した。リゾート系のシティポップは数多くあるが、ここまで清涼感と穏やかな空気に溢れた曲は無いだろう。現実と空想の中間にあるような、どこか幻想的な雰囲気さえ漂っている。


・丸山みゆき「風になりたい」(1995年)
作詞:本庄哲男
作曲:MASAKI
編曲:京田誠一

 

丸山みゆきの通算13thシングル曲。1980年代後半にデビューした歌手。今作はメジャーレーベルからリリースされた最後の作品で、アルバム未収録。活動休止を経て、現在は出身地である長野県を拠点に活動しているという。
僕が思う90年代J-POPそのものと言いたくなる、爽やかなポップナンバー。イントロのキラキラした音色のシンセからして「あぁ〜!90年代の音〜!」と絶叫したくなる。丸山の凛とした美しい歌声も相まって、聴き心地の良さはかなりのもの。
ヒット性の高い曲だと思うが、そうはいかなかった。90年代J-POPの層の厚さを痛感させられる。


・吉田匠「太陽も君もこの街も」(1996年)
作詞:室井美樹
作曲:石川寛門
編曲:鷹羽仁

 

吉田匠の1st(デビュー)シングル曲。いつもお世話になっているフォロワーさんとの「異常収穫旅行」の中で偶然この8cmシングルを入手した。
彼はシングル3作をリリースして活動終了。その後はユニットでの再デビューやV系バンドのボーカルなど紆余曲折を経て、現在は「ヨシヒデ」名義で演歌歌手として活動しているようだ。
爽快なポップロックナンバー。タイトルのフレーズがサビ頭にくるので、一聴しただけで口ずさめるほどにキャッチー。力強いボーカルも相まって、何度も聴きたくなる。
「思わぬ掘り出し物 見つけたように」という歌い出しも素晴らしい。「お前が思わぬ掘り出し物だよ!」と言うほかなかった。

 


【9月】

 

・The Whotens「SAIKAI」(2024年)
作詞作曲:かんざわりあむ
編曲:The Whotens

 

長年お世話になっているフォロワーがボーカルを務めるバンド・The Whotensの8thシングル曲。前シングル「1999DRIVE」に続いて、今回も紹介する。
爽快なポップロックナンバー。ライブハウスで出逢った観客や仲間との「再会」への願いや、彼らへのメッセージが綴られた詞世界が印象的。吉田やもりの語りかけるようなボーカルが詞世界の魅力を最大限に引き出している。実際にこの曲をライブで聴いたが、これ以上無いほどライブ映えする曲だと思う。
2024年のフウテンズの充実ぶりは凄まじいものがあった。今後の活動が楽しみで仕方がない。


・吉田朋代「Because you are」(1998年)
作詞:山田ひろし
作曲:吉田朋代
編曲:角松敏生
ストリングスアレンジ:大谷和夫
ホーンアレンジ:数原晋

 

吉田朋代の9thシングル曲。角松敏生プロデュースの「VOCALAND2」に参加したことでも知られる歌手で、このシングルも彼のプロデュース。アルバム未収録のシングルで、高値で出回っている。
いかにも角松らしいディスコナンバー。生音主体のサウンド面は豪華そのもので、どこを切り取っても聴きごたえがある。吉田本人によるメロディーは非常にキャッチー。クレジットを見るまで角松が作曲したと勘違いしていた。
ここまでの名曲が埋もれてしまっているのが惜しい。シティポップリバイバルが下火になるまでに再発やサブスク解禁が実現してほしい。


・織田裕二「All my treasures」(2007年)
作詞:溝下創・広保宣
作曲:溝下創
編曲:シライシ紗トリ

 

織田裕二の28thシングル曲。TBS系『世界陸上』の中継番組のテーマソングとして長年使用されていたことで知られる。サブスクにありそうで無かった。
サビだけ聴き馴染みがあったが、フルで聴いて「なんていい曲なんだ…」と改めて感動した。甘く力強い歌声も素晴らしく、この曲の熱量を演出している。歌手としての織田裕二の魅力がよくわかる。
今年9月開催の世界陸上で、彼がスペシャルアンバサダーとして戻ってくるという。この曲もテーマソングとして復活してほしい。


・CYCLES「君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-」(2001年)
作詞:松本隆
作曲:Y.M.O.
プロデュース:MITSUO TATE(舘美津男?)

 

CYCLESの5thシングル曲で、YMOが1983年にリリースしたヒット曲のカバー。
原曲は80年代前半に流行したテクノ歌謡の代表と言える存在だが、こちらはギター主体のシンプルなバンドサウンドでのカバー。ネオアコ的な質感も持ったギターサウンドと森川のボーカルが清涼感を演出している。
時代を反映したテクノ歌謡という色が強かった原曲とは異なり、エバーグリーンな魅力を持った曲に仕上がった感じ。こちらもいい。


・水谷麻里「春休み」(1988年)
作詞:サエキけんぞう
作曲:平井夏美
編曲:川上了

 

水谷麻里の8th(ラスト)シングル曲。この直後に芸能活動を休止し、1990年には江口寿史と結婚して芸能界を引退。
爽やかな中に切なさを忍ばせたポップナンバー。曲調自体はかなりポップなのだが、「バキバキ」という表現が似合うサウンド面がインパクト抜群。このアレンジが曲に切迫感や焦燥感をもたらしているように思う。
旅立ちを描いた詞世界や、アウトロにデビュー曲「21世紀まで愛して」の一節が引用されている演出など、活動を終えることを前提として作られた印象がある。


以上です。10月〜12月の下半期後編もお楽しみに。
いつ書き終わるかわかりませんが…